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第2話 あらわれる歪み

 次の日、学校帰りにりんちゃんの家に行ってみたけど、誰も出なかった。


 何度かインターホンを鳴らしたけど反応がないので、仕方なく私は家に帰った。


 うちのママはパートに出てるので、この時間は私も家に一人だ。


 宿題もそこそこにリビングでテレビを見ていると、隣の家から人の声がした。


 りんちゃんちだ。


 え? 誰かいたの? と思ったけど、その声はかなり大きな声のようだった。


 窓を開けてるとはいえ、ここまで聞こえてくるんだから。


 何を言ってるかは分からないけど、若い男の人が大声で怒鳴って、それを女の人がなだめてるようにも聞こえた。


 何かを叩くような音もしている。


 りんちゃんのお兄ちゃんが荒れてる。


 そう思うとゾクッと怖くなった。


 思わず窓を閉め、テレビの音量を上げてママが帰ってくるのを待った。



─────────────────────



 ママによると、最近りんちゃんのお兄ちゃんは暴力的になってきてるらしい。


 もう身長はりんちゃんママを追い越してるらしいし、暴れて物も壊してるらしい。


 りんちゃんママはそれを必死に止めるけど、そうすると余計に暴れるから結局収まるまで待つしかないみたい。


 話を聞くだけでも怖いけど、りんちゃんママはその話をにこにこしながら話してると聞いて、更に怖くなった。


「私は子供があなたしかいないから分からないけど、息子ってあんなに無償にかわいいものなのかな……」


「りんちゃん、どうしてるんだろう……?」


 私が聞くとママはちょっと眉をひそめた。


「それがね……敦史くんは凛ちゃんにも辛く当たるみたいなんだけど、敦史の邪魔をした凛が悪いから、って言うのよね。他所様の家庭の事なんだけど、ちょっと心配よね……」


 本当にりんちゃんは大丈夫なんだろうか。


 ゾワゾワする気持ちが消えなかった。



─────────────────────



 その後、りんちゃんのお兄ちゃんは高校に進学、りんちゃんも中学校に上がった。


 りんちゃんは部活に入ったとのことで、ますます会う機会は減っていった。


 私も他の友達と遊びたいし、塾にも行き始めたのでますます時間は合わなくなっていった。



 ママの噂話は相変わらずだけどお隣のことを話す頻度も減っていて、もう私も気にしなくなっていっていた。





 でもその一年後、大きなことが起こった。


 夜にお隣に救急車が来たのだ。


 運ばれたのはりんちゃんのお兄ちゃんで、てっきり暴れて怪我でもしたのかと思ったけど、後から聞くとりんちゃんのお兄ちゃんは突然泡を吹いて倒れたらしい。


 診察の結果、長年の食生活の偏りで体に異変が起きていて、突然痙攣を起こしたとのことだった。


 そんなりんちゃんのお兄ちゃんに、りんちゃんママは泣きながら謝ってたらしい。


 自分が用意した食事がそうさせたから、と言ってたらしいけど、野菜を出したら怒ってたのは本人なんだから、それもどうなんだろう? とうちのママも言っていた。



 あと、実はりんちゃんのお兄ちゃんは学校もうまく行ってなかったらしい。


 地元の中学ではトップが当たり前だったけど、進学校に進んだら回りは賢い人ばかりになる。


 そこでどれだけ勉強しても成績が伸びず順位も埋もれ、ただでさえ繊細でプライドの高いりんちゃんのお兄ちゃんは更に家で荒れてたらしい。



 でももう、この頃は私も中学生で勉強に部活に塾に忙しかったので、あまり気に止めることもなくなっていた。


 りんちゃんとはたまに顔を合わせるけど、お互い喋ることもなくなっていった。



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