第2話 ロックスターの登場
漆黒の闇の中、V8エンジンの太く低い音が響いている。
「しかし、兄貴。
アンドロイドが治安警察から逃げてるって、おかしくないっすか?
AIとアンドロイドは、このとち狂った世界、恐怖支配の肝じゃないっすか?」
「ああ、前代未聞だ。
こんなことは、これまで一度もねえ。
しかし、それが起こった。
2069年、再びロックが輝く年の始まりにな。
それに、何の感情も持たない筈の人体パーツが、一緒に逃げてるっておかしいだろ。
もし、それが普通の人間だったとしたら。」
「それ、ヤバいっすよ。」
「そう、とんでもねえ犯罪だ。
だから、奴ら、躍起になって追っかけてるんだろう。」
「許せねえっす。」
「それにな、俺は感じるんだ。
何としても、汚え支配からトンズラしてやる。
自由になってやる。
魂の自由を求める、二つのピュアな叫びを。
そんな、ロックなハートを持つレディ達が助けを求めてるなら、そりゃあ行くしかねえだろ。」
「やっぱり、、、兄貴らしいや。
俺も燃えて来ましたぜ。」
「そうこなくっちゃ。
カセットのボリュームをマックスに上げろ。
よし、ピンポンだ。
サイレンの音が馬鹿デカくなってきたぜ。
いよいよ、ロックスターの登場だ。
おっ、検問か、よし、あれを使うぞ。
相棒、衝撃に備えろ。」
「マジっすか、、。」
〜ズドーン〜
2人のイカれた男達を乗せた真っ黒なマシンは、ロケット噴射の爆音を響かせながら、治安警察の検問のはるか頭上を飛び越えて行ったのだった。




