表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/40

A strange experience ‐奇妙な経験‐

気をつけて! そのドアの向こうは……



 家の鍵を開けて中に入ると、まったく違う部屋だった。間違えてしまったのか? そんなはずはない、だって鍵を開けて入ったんだし。

 間取りは同じだった。でも今まで住んでいた部屋では見慣れない家具とか、その配置とか、壁紙まで全然違う。おまけにタバコなんか吸わないのにヤニ臭い。

 テーブルの上に置き手紙があった。差出人はわからない。ちょっと癖のある筆圧の強い字で、こう書いてあった。


【あなたと私の家の中身が、入れ替わってしまいました。ごめんなさい、しばらくこのままです。】


 これを書いたあんた、今すぐ出て来いや! どこの誰か知らないけど、冗談じゃないよ、仕事で必要な資料やら何やらあるだろが、どうしてくれるんだゴラァ!?

 やり場のない怒りを持てあましながら、置き手紙をビリビリに破いてやった。犯人がわかったら、一発ぶん殴ってやろう。

 で、だ。問題はあの資料なしで仕事をどう切り抜けるか。幸いにも今日は金曜日で、期限にはまだ時間がある。でも自分の部屋が今どこかわからんし、しかし間取りは同じなのだから、この団地のどれかと入れ替わったのだろう。


「とりあえず、まずは冷蔵庫の中を拝借するとしますか」


 冷蔵庫を開けると、中身は自分の家の冷蔵庫そのものだった。また貼り紙がしてあった。


【ところどころそのまんまの部分もあるみたいです。】


「まぎらわしいわ! コンチクショォォォォォォォォォォォォォォォ!!!!」


 仕方なく、缶ビールを一杯グビリとあおっておいた。

 こうして正体不明の相手との奇妙な半共同生活――とも言い難い、これは一体何と表現すれば良いのだろうか――が幕を開けたのである。



To be continued.


※同人誌『三猿霊媒師』『うさぎの短編集』にも収録されています。

詳細は活動報告を読んでください。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ