兎版:寿限無寿限無?
お久しぶりです。
こんなタイトルですが、『寿限無寿限無』のちゃんとした内容があやふやな私です
m(_ _ )m
さて、今日も平和なうさうさ町。いつものように、素直で良い子のうさぎの子どもたちは、うさうさ小学校の教室にて、きちんと席に着いて、うさ先生の授業を受ける準備をして待っていました。
やがて、キンコンカンとチャイムの音が鳴り、うさ先生が入ってくると、それまで静かにしていた子どもたちがザワザワしはじめました。
転校生がやって来たのです。それも男の子と女の子の二羽!
「えー、みなさん。今日からここで学ぶことになりました……えーと、さぁ、自己紹介をお願いします、で、うさ先生」
一羽目の子は男の子です。
「あっちにぴょんぴょんこっちにぴょんぴょんくるりとまわってまたぴょんぴょんです」
その自己紹介に、教室中のうさぎの子どもたちは、ポカンと口を開けっ放しにしていたり、つぶらなお目々をキョロロンとさせたり、かわいらしい声で「はぁ↑? はぁ↓?」と、ひたすら短い首を傾げていたり……
そうです、実は、「純粋・無垢・単純」の三大要素を兼ね揃えた、この『ぬいぐるみに良く似た特別なうさぎ』たちは、あまりたくさんの言葉を一気に覚えることができないのです。
案の定、うさぎの子どもたちは転校生の男の子の名前を覚えることができず、その様子を見たうさ先生が慌てて黒板に彼の名前を書きました(うさ先生はとても優秀なうさぎさんなのです!)。
しかし、子どもたちの中には、まだ完全に文字を読めない子もおり、その子たちが(本当に素直な良い子たちなので)「なんてかいてあるのかよめませーん」と両手をパタパタさせたので、最終的にはみんなで黒板の文字を十回音読しました。(ちなみに、一回読み終えるごとに、転校生の男の子は「はい! はい!」と返事をしていました。)
さて、みんな何とか一通り名前を言うことができるようになったので、次はもう一羽の女の子に移ります。
「うさぎぴょんぴょんにぴょんぴょんさんぴょんぴょんよんぴょんぴょん子です」
これまた長い名前の子だったため、うさぎの子どもたちは先ほどと同じような反応をしたので、うさ先生は彼女の名前も黒板に書きました。みんなで十回ずつ音読をしました。
すると、今度は一羽目の男の子の名前を忘れてしまった子がたくさん出てきたため、またもう一回最初から男の子の名前を覚えることになりました。
覚えては忘れ、覚えては忘れ……
結局その日の六限すべての時間を使って、うさぎの子どもたちは新しいお友だちの名前を覚えました。
「わーい、わーい! うれしいな、みんなに名前を覚えてもらえて……ボク、たまにお父さんやお母さんからも名前を忘れられてしまうんだ……で、あっちにぴょんぴょんこっちにぴょんぴょんくるりとまわってまたぴょんぴょん」
「まぁ! 実は私もそうなのよ。やっぱり、お名前が長いと苦労しますわね……で、うさぎぴょんぴょんにぴょんぴょんさんぴょんぴょんよんぴょんぴょん子」
そうして、転校生の男の子と女の子は、心からの握手をしました。そして、帰りのミーティングが終わった後、クラスの一羽一羽とも握手をして、みんなでニコニコと仲良く下校していきました。
その後ろ姿をそっと眺めていたうさ先生は一羽、ひっそりと涙をぬぐったのでした。
次の日、登校してきた「純粋・無垢・単純」なうさぎのお友だちたちのほとんどは、昨日覚えた転校生二羽の名前を忘れてしまっていました。
「では、みなさーん! あっちにぴょんぴょんこっちにぴょんぴょんくるりとまわってまたぴょんぴょん君と、うさぎぴょんぴょんにぴょんぴょんさんぴょんぴょんよんぴょんぴょん子ちゃんに、呼びやすいようにアダ名を付けてあげましょう! で、うさ先生」
「はーい!」
「あっちにぴょんぴょんこっちにぴょんぴょんくるりとまわってまたぴょんぴょん君」→「あーくん」
「うさぎぴょんぴょんにぴょんぴょんさんぴょんぴょんよんぴょんぴょん子ちゃん」→「ぴょん子ちゃん」
※同人誌『うさぎの短編集』にも収録されています。
詳細は活動報告を読んでください。




