復讐への誓い 壱
知らせが届くのは早いものだ。まだ皆の墓も作ってやれてないのに、市と長政はやって来た。しかしどう考えても二人は犯人じゃない。だから二人には、俺と一緒に隠れていて貰った。
次に来たのは猿だった。会話をする気もなく、ただ光秀を倒すことしか考えていなかった。そして、確信に変わったんだ。
だって抑々、俺の生存を喜ぶべきだと思わないか? 光秀に犯人と言われたときも、上手な演技ではあったのだがな。しかし一瞬の表情を見逃しはしない。
「信長……、なぜ。なぜ生きている」
やがて猿は認めた。自分が犯人であることを認め、俺に対し敵意丸出しで睨み付けていた。
「許せない。よくも光秀を悲しませてくれたな」
猿を拾ったのは間違いだったのだろうか。優秀で気が利いて面白くて、興味を持った。しかしそういえば、会った時点で光秀は猿が怖いと言っていた。
いつも怯えているから、俺はそれを気にも留めなかった。だがそれは正しかったとでも言うのだろうか。いいや、怖くなんかない。こんな猿が、俺の脅威になる筈がない。
「計画は台無しだ。しかし、またいいことを思い付いた。楽しみに待っていろ」
この俺にそんなことを言い、猿は去って行った。追おうかとも思ったが、それを光秀が止めた。
「フフッ、楽しみに待ってようよ。ソレに、コノママタオシテもオモシロくないでしょ? リアルにも支障を与えるクライにしてやらないと」
俺の耳元で光秀はそう囁く。そして、恐ろしく微笑んだのであった。最初光秀は殺すこと自体に反対していた。
しかし俺が言ったんだ。絶対に許さない、痛い目に遭わせてやるって。本気で後悔させてやるから、お前も協力してくれって。それで罪滅ぼしは終わりだって。
「そうだな。絶対に敗北なんて有り得ない。我が織田軍は無敵、最強の将がついてるから。光秀、頼んだぜ」
万が一ということもある。本当に危なかったときには、市にも協力して貰うつもりでいる。だから二人には残って貰った。




