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恋の罠  作者: 桜井雛乃
それぞれの戦い
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信じ合いたい 参

 早く真実を確かめる為、あたしたちは走っていた。これから向かう場所に対し、恐怖の感情も持っていた。しかし何があったのか、それを知らない恐怖に背中を押され走り続けた。

 お兄ちゃん、待っててね。妹としてあたしが、真実を突き止めてあげるから。そして、お兄ちゃんに教えてあげる。もし本当に光秀君が犯人なら、あたしは容赦しないから。

 確かに大切な恩人、そうは思ってる。だからと言って、お兄ちゃんを裏切ったことを許したりはしないから。でも光秀君じゃなかったら、その時はもっとあたしが成敗してあげるから。お兄ちゃんと光秀君を苦しめたそいつを、許さないから。

 分かってる。お兄ちゃんが敵討ちを望まないことくらい。でもお願い、仇はあたしに打たせて。織田家を乗っ取られてしまうことがないように、妹としてあたしが頑張るから。

「市、大丈夫か? そろそろ休憩しよう」

 息を切らすあたしを見て、優しい長政様はそう言ってくれる。だからあたしは、無理しても仕方がないと思い休憩することにする。

「もう大丈夫。行こう、長政様。早くお兄ちゃんのところに行かないと、誰かが先に行って小細工をするかもしれない。光秀君を陥れる為」

 こうでも考えなきゃ、光秀君を信じることは出来ない。あたしは悲しみをそこに置き、再び走り出した。

「お兄ちゃん! 光秀君!」

 あたしが辿り着くと、そこは酷い戦いの跡が残っていた。

「市、長政、誰からの知らせだ。まあいい、入って隠れてろ」

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