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「長い一日だった」


 日和はそう言うと、ペンダントをにぎりしめて「ふん!」鼻息をいた。


「春日日和。いま、あなたのもとへ――」


「ヒヨリ、わすれてるぞ」


 志村から声がかかり、日和は首をめぐらせた。


「なにが?」

「古文の授業、おまえ寝てたろ? 補習だってよ。おまえだけ」

「なんだとぅお!?」

「……オレにキレずに自分にキレろよ。起きなかったおまえが悪い」


 日和はペンダントをにぎりしめ、血の涙をながさんばかりに号泣する。


「そんな馬鹿なあああああ!!!!」


 ひとしきり叫ぶと、どこかひとつ物足りなさを感じて志村にたずねた。


「なぁ、何かオレ、わすれてなかったっけ?」

「おまえの物忘れはいつものことじゃん」

「いやいや。冗談じゃなくマジで」


 日和は気づいた。


「そういや委員長は?」


 いつもならこういう状況で一番に馬鹿にしてくるヤツがない。


「おまえ、気づくの遅すぎ……」


 志村は三時限目以降、美鈴が保健室へ行ってからもどっていないこと、その後内山が半ゴロシの状態で発見され救急車で運ばれこと、しかもとある情報筋(=御堂)からそのことをまったく覚えていなかったと証言を得たこと、さらにはその犯人が委員長で実は暗殺武術の達人ではないかとウワサが立っていることを日和に伝えた。


「暗殺武術……」


 日和はそこに気をとられた。


「ああ、あれはまちがいなく、中国四千年とかがからんでいるぜ」

「おそろしいな」

「しばらく委員長には逆らわないほうがいいな」


 日和は友人の忠告に耳をかたむけると、古文教師兼担任の溝口にあうため、職員室へ向かった。


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