4.愛されない私
公爵家へ着くと、私はすぐにお父様の執務室へ向かう。扉の前で一度深呼吸をしてからノックした。
「お父様、ただいま帰りました。」
「入れ。」
扉を開けて入るとお父様はゆっくりと顔を上げた。
「随分と早かったな。…リリーナはどうした?」
「実は…」
お父様に卒業パーティーでの事を話した。
「…婚約破棄だと?しかもリリーナを虐めていたのか?」
「いいえ、違います!私はリリーナを虐めてなんて…」
「言い訳は結構。お前が殿下との婚約を破棄されたのは事実だ。それに、いつもリリーナは何故かお前に怯えていた。虐められていたというなら説明もつく。」
「そんな…。」
その時、執務室の扉が勢いよく開いた。
「お父様ぁ!」
「リリーナ!…システィーナから全て聞いたよ。今まで辛かっただろう。よく頑張ったな。」
「うん。でも私が言ったらお姉様が怒られちゃうと思って…。お姉様だって悪気があったわけじゃないのよ。許してあげてお父様!」
「ああ、リリーナ。お前は本当に優しいな。お前のような娘を持てて私は本当に幸せだよ。」
「待ってください、お父様!私は本当にリリーナを虐めてなんていません!」
「ならどうしてリリーナはこんなに泣いている!…まさかリリーナが嘘をついているとでも言うんじゃないだろうな?」
「そうです!リリーナは嘘をついて…」
「っひどいわお姉様!私、嘘なんてついてない!」
「もちろんわかっているさ。システィーナ!嘘をついているのはお前だろう?…もういい。お前は部屋で謹慎だ。私がいいと言うまで部屋から一歩も出るな!」
「分かり、ました…。」
…ああ、やっぱりお父様は私を愛してなんていないのね。