3.心配性なうちの子
会場を出て馬車に戻ると従者のレイが待っていた。
「あれ?お嬢随分と早かったな。…なんかあったのか?」
「ええ、殿下に婚約を破棄されたの。しかも私は嫉妬してリリーナを虐めていたそうよ。」
「あ?うちのお嬢がんな事するわけないだろ。それにアイツに負けてるとこなんかひとつもないしな。まず嫉妬する要素がねぇ。むしろ逆だろ。」
「もちろん虐めてなんてないし、その場でできる限りの抵抗はしてきたけど…殿下は納得してないみたいね。」
「アイツ…お嬢という婚約者がいながら浮気しただけじゃなく、公衆の面前で婚約破棄だと?どんだけお嬢を貶めれば気が済むんだ!お嬢はこんな口も性格も悪い俺に対しても優しいし、頭もいいし、美人だけど実は中身はめっちゃ可愛いし…」
「わかった、わかったからそれ以上はやめて!…私のために怒ってくれてありがとう、レイ。愛してる。」
「…っ。別に、お嬢は俺の全てだから。そんなお嬢にこんな仕打ちされたら怒るのなんて当たり前だろ。…それに、俺の方が愛してるし。」
「うん。私もレイが1番大切。だからずっと一緒よ?」
「ああ、もちろんだ。」
「…さて。このままレイと話していたいところだけれど。まずは早くお父様に会わないとね。レイ、急いで公爵家へ戻ってくれる?」
「わかった。」
すると、レイは手慣れたように馬車の扉を開け私に手を差し出す。私もレイに応えるように手を重ね馬車に乗り込んだ。やがて扉が閉まり馬車は公爵家へ向かってゆっくりと進み始めたのだった。




