2.無能な王子様(2)
「…い!おい!聞いているのか!」
「?ああ、はい。婚約破棄でしたよね?それについては承知致しました。」
「なっ!随分あっさり認めるんだな?」
「いえ、婚約破棄については承知致しましたが、私がリリーナを虐めたという事実はございません。何か証拠はあるのですか?」
「あ、あるに決まっている。リリーナ自身が証言している。これが何よりの証拠だろう?」
え…まさかそれだけ?本当にこいつ…殿下はダメかもしれない。
「私にはリリーナを虐める理由がありません。」
「だからそれはリリーナに嫉妬して…。」
「嫉妬?…殿下は勘違いなさっているようですので言っておきますが、私は別に殿下を好きなわけではありません。むしろ嫌いです。この婚約はあくまで王家と我がエヴァンス公爵家の縁を繋ぐために交わされたものです。私には殿下が何故この政略結婚に愛があると思ったのか不思議でなりませんわ。」
「なっ…!お前は私が好きなんじゃなかったのか!?」
「はぁ…。あまり自惚れないでくださいますか?まあ、そういう事ですので私がリリーナを虐める理由はありません。」
「嘘よ!私、お姉様にいつも学園で持ち物を壊されたり、悪口言われたりしたもの!」
「リリーナ…!大丈夫だ、辛かったな。…理由は知らないがいい加減認めろ!お前がやったんだろう!」
「…流石に呆れて何も言えないわね。私を犯人にしたいなら少なくとも複数の目撃証言、物的証拠を持ってきてください。そしたら私とお話しましょう。ね?…リリーナ?」
大した証拠もないのに散々私を貶めたのだもの、睨むくらいは許されるわよね?
「…ひっ!」
「貴様!またリリーナを!」
「それでは婚約破棄、謹んでお受け致します。皆様、今日はこのような祝いの場を台無しにしてしまいましたこと本当に申し訳ございませんでした。私はこれにて失礼させて頂きますので、あとは皆様でお楽しみください。卒業された皆様に心からのお祝いを申し上げます。」
そう言い残して私は会場を後にした。あまり大事にならないといいのだけれど…。




