まだ知らない世界②
男子の心をかっさらっていった海原さんは放心状態だった校長に、
「あの~。私のクラスは何処でしょうか?」
海原さんの言葉で復活した校長はデレデレした顔で、
「き、君のクラスは2ノAにしよう!」
しようってなんだ、前もって決めていたのか?
「分かりました!」
と答えた。俺はてっきり3年生かと思ったのだか、あのスタイルで2年生とは……あり得ないはなs「イヤッホーイ!」………俺の隣の駈が騒いでいた。
無理もないだって俺達のクラスは、
「あ! あの時の人!……ですよね?」
2ノAなのだから。
海原……さんの転入から1年と3ヶ月。学校は落ち着きを取り戻し、海原さんもこの学校に慣れ始めていた。
朝のHRの時間を待っていると、駈が遅めの登校をしてきた。
「おはよいー」
「ん、おはよう」
「おう!」
「おはようございます!駈さん」
「ぉおあ、……はい…」
こいつの反応は逸見ても面白い。陰で海原さんの事を言うときは平気なのに、いざ本人と話すと何故こうなるのだろうか?
「海原さん、もう来てたんだ」
「鎖さん!」
隣の席から立つと、顔を近づけて
「な・ま・え・で言ってください! それとさんは要りません!」
鼻息が額に当たってしまっている……正直に言って恥ずかしい。
「わ、わかった。さ、沙織………さん」
どうしても さんが付いてしまう、その理由は俺が彼女の事を年上として見ているからだろうか。
「ふぅ、もういいです………それより、HRは始まりますよ?」
前を見てみると教師が立っていた。
「今日の日直、挨拶を」
先生が言うと、
「起りーつ、れーい、着席?」
何故か最後にクエスチョンマークがついて、クラスの皆先生までも笑った。
こんな平和、何時までも続けば良かった。
だが、そこまで甘くはなかった。
「…………あと少し………」
月夜の中で海原沙織は、遠い水平線を見つめていた。
「あと少しで────が来る」
長い髪が風になびき、海原沙織の姿が一瞬掠れた。
「あと少しでウィルスが来る」
海原沙織の顔が苦痛の顔になり、後ろに何者かが姿を表した。
「悪い。たった今この世界に入れた」
その人物の顔を見ると、沙織の顔が晴れた。
「ルシファさん!」
沙織は、ルシファに近付いて抱きついた。
「レヴィ……いや、この世界では沙織だったな」
ルシファは沙織……レヴィより背が高いため、容易に頭を撫でられた。
「明日、この世界の全てが変わる。この世界の人達をエデンに導くか、コキュートスに落とすかは、俺達に懸かっているな」
ルシファの胸板に顔を埋めていたレヴィは、心配そうな顔で
「私に出来るでしょうか?」
「《私に》じゃない《私達に》だ」
ルシファはレヴィの頬をつねると、
「誘導は任せたぞ、沙織」
「………はい……」
酷く苦しそうな顔をしていたレヴィにルシファは、
「………エデンに帰ったら、暫くの間一緒に居よう」
思いがけない言葉にレヴィは、
「約束!」
人差し指を立てると、
「ですよ!」
満面の笑みで返した。
ルシファは乱暴にレヴィの頭を撫でると、闇に溶けるように消えていった。
「明日………きっと大丈夫ですよね!」
その顔に苦痛の表情はなく、むしろ自信に満ち溢れていた。
海原 沙織達の学校生活は番外編にてやることに決まりました。




