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第11話 真実

ようやく終わりが見えてきます。

    数年前 ヤマタノオロチ本社ビル 某室




「こちらが、例のものです」


 机に置かれたトランクには12個の鉄球の様なものが収められていた。

 その正体を知る者は、この部屋にいる三人の内、二人しかいない。


 その一人がヤマタノオロチ社長、貴崎陽一郎。


 彼の経営手腕は凄まじく、単なる武装警備会社を、世界的な民間軍事会社にまで育て上げたほどだ。


 さらに他の業界にも手を染め、このアクアシティの土地のほとんどを所有する、大富豪にもなった。


 そしてもう一人いる、このモノを知る男が。


「飯嶋、大吾と言ったな?」


 はい、と答えたその男、飯嶋大吾は、そっとトランクを閉め、ゆっくりと陽一郎の元へ送った。


「なぜ、君はこんなモノを持っているのかね?」


 陽一郎は、頬に一筋の汗を流しながら聞いた。


「それをお教えする義務は、私にはありません」


 冷酷に、冷静に大吾は答えた。

 知る必要はないし、知ってもらう訳にもいかない、ということだろう。

 

 その、何時でもお前を殺せる、というような視線が、全てを物語っていた。


「そうだな・・・」

「では」


 大吾は封筒を取り出し、その中身を広げた。


「これにサインをお願いします」

「・・・これは?」


 陽一郎の問いに、大吾は薄ら笑みを浮かべながら答えた。


「保険ですよ、あなたが裏切った時の」

「・・・」


 陽一郎は一瞬躊躇ったのちに、ゆっくりと自分の名をそれに刻んだ。


「ありがとうございます」


 何に対しての感謝なのか・・・。

 陽一郎はそう思いながらも深く息を吐いた。


「それでは、アイラ」


 アイラ、と呼ばれた少年とも少女とも取れない、幼い子供が陽一郎の前に向かった。


「念のため、こちらからロックを掛けさせていただきます」


 ピー、と電子音が室内に響く。


 指紋認証によるロックらしく、これで、このアイラという子供にしか開けられない、ということになるのだろう。


「あとはよろしくお願いします」


 そう言うと、大吾は静かに席を立ち、扉の前まで行った。

 そして。


「それを託すのは、私があなたを信用したからです、馬鹿な真似はやめてくださいね」


 そう、脅迫ともとれる言葉を残し、立ち去っていった。

 それに引き続き、アイラも部屋から出ていった。


「・・・はぁ」


 洋一郎は安堵とも、不安ともとれる溜息をついた。


「父さん!」


 二人と入れ替わるように、陽一郎の息子、洋司が入ってきた。


 どうやら、ずっと会談が終わるのを待っていたらしい。


「洋司か・・・」

「な、なにを、渡されたんですか?」


 洋司の視線の先には、先程のトランクがあった。


「・・・」


 陽一郎は黙り、答える事はなかった。


 だが、ここにはっきりとした答えがある。


 ヤマタノオロチが濃縮ウランを手にした、という。




「そ、そんな」


 アイラは膝から力が抜けていくのを感じた。


「残念だけど、この一連の事件に貴方も関わってしまっているの」

 

 亜耶は辛く、悲しそうに言った。

 凛もまた、同情するような視線をアイラに送った。


「それでね、このウランを廃棄するために、アイラの力が必要なの」


 あぁ、そういう事だったのか。


「・・・僕は、その為に連れてこられたんだね」


 アイラにしか外せない、ロックを解除するために。


「ごめんなさい・・・」

「謝らなくて、いいよ」


 アイラはそれだけ言うと、俯きながら歩き始めた。


 どこへ行くのか、それは分からなかったが、なんとなくこっちへ行かなければいけない気がしたのだ。

 

「ま、待ってアイラ!」


 亜耶が後ろからついてきたが、アイラにはもうどうでも良かった。


「・・・ロックを解除したら、僕はもうアメリカに帰る」


 そう呟き、アイラは己の示す場所へと向かった。




「どうして、こうなっちまったんだろうな・・・」


 ヤマタノオロチ本社ビル前の広場で、彼はそう呟いた。


「でも・・・」


 彼はM14を構え直すと、ゆっくりと歩を進めた。


「仕方ないと言えば仕方ない、か・・・。行くぞ、お前ら」

「「「「「おう」」」」」


 優秀な猟犬を引き連れた、この彼こそが、世界に名を轟かす高校生傭兵。

 小鳥遊瑛斗、その人であった。


「ヤマタノオロチでの最後の仕事だ、華々しくいくぞ」

「了解!」


 バシュッ、バシュッ、っと二本の白い線が空中に生まれた。

 ソ連製対戦車ロケット、RPG7のものだ。


 曲線を描くように飛翔したその二本のロケットは、ビルの中腹を捉え、轟音と共に大きな穴を開けた。


「α、付いてこい。β、Cは周辺を警戒」


 素早く指示を出した瑛斗は、足早にビル内部へと侵入していった。

 

 彼の目的はただ一つ。


「アイラ、無事でいろよ・・・」


アイラの救出であった。




「あ、アイラお姉ちゃん!」


 美春が急に叫び、隣にいた美夏がビックっと肩を震わせた。


「・・・」

「アイラ、さん?」


 ただならぬ何かを察した美夏は、美春の口を塞ぎながらアイラを見つめた。


「なにか、あったんですか?」

「いや、なんでもない・・・」


 それだけ言うと、アイラはさっさと二人の元を通り過ぎていき、何処かへ向かっているのか、すぐに行ってしまった。


 直後、亜耶が通りがかり、二人は声を掛けた。


「アイラさん、なにかあったんですか?」

「あ、美夏ちゃん。アイラ、どっちに行った?」


 質問に質問が帰ってきたため、一瞬美夏は焦ったがすぐに、「あっち、です」と答えた。


「ありがと・・・というか、二人がなんでここに居るの?」


 そういえば、というように亜耶が聞いた。


「そ、それよりアイラお姉ちゃんでしょ?」

「そうね、早く行かないと・・・」


 露骨に話題を逸らしたが、亜耶もアイラの方が重用だったようで、すぐさま美夏の指した方向へ歩き始めた。


「それで、なにがあったんですか?」


 改めて、美夏は亜耶に聞いた。


「え、っとね」


 亜耶は言いよどんだ。


 言っていいのか、判断できなかったのだ。


「うん、いいよね」


 そう自分に言い聞かせると、事のあらすじを言い始めようとした。

 その時だった。 


「「「きゃあぁ!?」」」


 ビルを揺るがす爆発が起こったのだ。


「う、上の階でしたよね?」

「一体なにがあったのよ・・・」

「って、アイラはどこ行っちゃったの!?」


 混乱する三人をよそに、もう一度爆発が起きるのであった。 

クライマックス突入!?


と言ってみる・・・。

実際もう少しです


それと、遅れて本当にすいませんm(_ _)m

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