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自由学舎フォルティナ  作者: mashironotsuki
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9/9

シンプソン教頭、任侠語に落ちる

朝の国語の授業。

シンプソン教頭は、板書用のチョークを手に、いつも通りに教壇に立った。

「みなさん、今日は── "美しい日本語と、礼儀正しい言葉遣い"について学びます。」

子供たち、ピシッと背筋を伸ばす。

──でも。

「おうっス、ダンナ!!!」

「オレ、今日から敬語極めるッス!!」

「アニキィ、文字って読めんスかァァ!?(爆笑)」

どこかおかしい敬語が飛び交う教室。

しかも、ぜんぶ任侠ノリ。

シンプソン、笑顔を引きつらせながら黒板に向かう。

カリカリカリ。

【正しい挨拶】・おはようございます・こんにちは・ありがとうございます

──そこに。

後ろから、ちびっこの声。

「……おう、おつかれさまです、親分……!!」

シンプソン、手が震えた。

「親分じゃない、先生だァァァ!!!」

声が裏返る。

でも、どこか脳裏で、「……まあ、親分って呼ばれるのも、悪くは……」なんて甘い囁きが聞こえてきてしまう。

ぐらっ。

危ない。本気で危ない。

シンプソン、慌てて首をぶんぶん振った。

「違う!!!オレは教師だ!! 任侠街道を歩くわけにはいかん!!!」

自己暗示するが、教室の空気はもう、

ちっこい極道事務所。

子供たち、無邪気な顔で──

「先生、"杯を交わす"ってどんな字ィ?!」

「"シノギ"ってどう書くのー!?」

「"一家"って漢字、かっけぇ!!」

──学ぶ方向、完全に間違っている。

シンプソン、チョークを落としそうになりながら、ふらふらと座った。

「……神よ。」

「なぜ私は、 任侠学舎の教頭になってしまったのでしょうか。」

グレゴル校長、窓の外から見守りながらぼそりと呟いた。

「──もう、腹ァくくれや。」

満足そうに、にやり。

そしてアルは、一番後ろの席でノートにこう書き記していた。

【今日のまとめ】「言葉は、心を映す鏡」「でも、たまには映らなくてもいいや。たのしいし。」

──今日も、フォルティナは平和だった。

たぶん。

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