登場!難波のナナミ(自称)6
「ナポリタン、美味かったわー!
ケチャップの酸味と野菜の甘みがクセになるー!」
「パプリカを入れたら、もっとフルーティーになるかも。
具材に幅が効かせられるの、パスタ料理のいいところだよね」
ケチャップの味がケンカしないなら、何を乗せても美味しいのがナポリタン。
食感と、手間暇と、コストのバランスは考えなきゃいけないけどね。
ウインナー、ベーコン、ハムなんかが定番のお肉だけど。
ミートボールとか、ハンバーグも合うし。
魚肉ソーセージとか、豆腐ハンバーグって手もあるね。
「ウチの爺さん、ナポリタンにサラミ入れんのよ。
ピザみたいなもんやんけー言うて。
ウチはしょっぱ過ぎて無理やったけど」
「それは、ちょっと塩分過多かも。
サラミとかジャーキーとか、チーズとか。
おつまみって塩味が強いの多いから。
ナポリタン自体も塩分が高い食べ物だから。
具材にまで塩味を入れない方が、健康にはいいと思う」
「ウチもそう思うけどな。
頑固な年寄りは、何言うても聞きゃせんよ」
塩分とか脂質とかって、摂取のし過ぎは体に悪い。
気にし過ぎても楽しく食事ができなくなるけど。
気にしな過ぎると病気になるからね。
手遅れになる前に、いいバランスで過ごせるといいんだけど。
「アニガーの中なら、甘味も塩味も取り放題やねんけどな。
何かしら食べてしまうと、現実の体が空腹になるっちゅー罠がな…」
「満腹感と空腹感を置き換えたフィードバックだっけ?
ゲームの食事で満足して、栄養失調にならないようにって」
「それやねー。
ここでどんだけ食べても、小腹がすいたって程度らしいけどな。
流石に、飢餓状態になるほど強烈なもんではないらしいでー」
この世界では、美味しい物を食べることができる。
ちゃんと五感を刺激されるから、苦味も辛味も楽しめるんだ。
でも、実際には食べた感じがしているだけ。
現実に栄養が補給されてるわけじゃないから、アニガーでの食事だけでは生きていけない。
それなのに、アニガーで食事をしたっていう記憶が、現実の体に満腹感を感じさせてしまうそうなんだ。
そのままにしておいたら、栄養失調で病気になる人が出てきちゃうから。
Full_Dive_Gearの体調管理システムの一環として、プレイヤーが感じた満腹感を空腹感に置き換えてフィードバックさせるっていう手段が取られている。
ナナミさんが言ってた通り、ちょっと小腹が空いたって感覚らしくて。
ログアウトすると何か食べたくなるみたいなんだ。
フルダイブの世界で油物もスイーツも太らずに食べ放題…って行動してると、現実で食欲が沸いちゃって大変なんだって。
でも、気づかない内に空腹で倒れちゃうよりも、ずっといいと思うな。
栄養が足りないと、髪とか肌にも悪影響が出るって言うし。
無理なダイエットをするより、張り艶を意識して食事するのが良いよ…多分ね。
勿論、極端な肥満は病気に直結しちゃうから。
BMI計算とか参考にして、健康体を維持できるようにした方がいいと思うけど。
生活習慣病は、自己管理でかかるリスクが抑えられるもの。
だから、自分自身で気を付けなきゃね。
「ツキノもスズメさんも、満足してくれた?」
「きゅまままー♪」
『ご馳走様でした、ウィートさま。
大変美味しく頂きました』
「そっかそっか!
僕の料理で喜んでくれて良かった。
2人が嬉しそうに食べてくれて、僕も嬉しいよ!」
器用にフォークを持って…手に張り付けて?
パスタを完食してくれた2人に、自然と笑顔になっちゃう!
ツキノにとっての初めての食事で、スズメさんにとってもかな?
美味しいって喜んでもらえて。
食べるってことが、幸せなことだと覚えてもらえて。
本当に、良かった。
もし最初のイメージが悪くなっちゃって。
食べることに興味が無くなっちゃったり。
食べることが嫌いになっちゃったりしたら。
それは、沢山の幸せや喜びを切り捨てることになっちゃうからね。
2人の様子を見るに、その心配はなさそう!
安心したー!
「ほら、アンタらも!
美味しいお料理のお礼言わな!」
「ウホホッ!ウホ☆」
「ワンワンッ!ワフー☆」
「にゃ~ん!にゃん☆」
「きゅま?きゅまっ☆」
『……』
『ナナミ様のnavigatorからも、ウィートさまに感謝が届いています。
ご馳走様でした、ありがとうございます。と』
「ウチからもお礼言わせてな!
年下男子の手料理なんぞ、そうは味わえへん!
今日は色々と美味しい1日になったわ!
ホンマ、ありがとうな」
「お粗末さまでした。
みんな、楽しい食事の時間にしてくれて、ありがとうね」
にこにこして、楽しい時間が過ごせること。
僕にとっての料理のやりがいって、ここに感じるんだよ。
美味しいって言われるのも、もちろん嬉しい。
だけど、みんなが笑顔で、温かい雰囲気で過ごす時間が好きで。
自分の料理でその時間を作れているってことが、たまらなく嬉しいんだ。
「お礼っちゃなんやけど。
明後日の日曜日、ウチに付き合わへん?
お姉さんがオススメの場所連れてったるわー」
「一緒に遊べるのは嬉しいけど、お礼なんて大丈夫だよ?
ナナミさん、今日は僕のために時間を取ってくれたんだから」
「まあまあ、ええやんか。
ウチ、口でエリアの説明したんと、このお料理部屋に連れて来ただけやもん。
おひねりと料理の分まで考えたら、ウチの貰い過ぎやて。
気にせんと、遊びに行くん付き合うてやー」
「そんなことないと思うけど。
でも、うん。
明後日なら、全然大丈夫。
僕はまだ、予定をたてられるほどアニガー慣れしてないから」
「始めたてならそんなもんやわ。
知り合いなんかも、ちょっとずつ増やしていければええよ。
変な人おっても、ナビ子が助けてくれるからね。
ウチらは、安心して楽しめばええねん」
アニガーで初めて会話したプレイヤーがナナミさんだから。
人と約束して予定をたてるの、今日が初めてだもん。
もちろん、このゲームでの話だし。
ツキノとスズメさんとは、たくさんの約束があるけどね。
「よっしゃよっしゃ!
そしたら、フレンド登録しとこか?
登録言うても、お互いがナビ子に頼めば、それで完了や」
「じゃあ、スズメさん。
ナナミさんのフレンド登録、お願い」
「ウチも頼むでー!」
「…ナナミさんが、アニガーで初めてのフレンドだー」
「ぬっふっふー!
幼気な少年の初めてを奪うなんて。
ウチ、イケないお姉さんやわー」
「ウホ」
「ワン」
「にゃん」
「…冗談やて。
真顔で見るんやめーや」
「きゅま?」
「…ごめんて。
純粋なんが、一番効くわー」
ナナミさんは、冗談めかして言ってくれてるけど。
初めてのフレンド、やっぱり嬉しい!
ナナミさんとの出会いは、きっと良い出会いだと思うから。
今日を切っ掛けに、沢山のフレンドが出来ると良いな!
「おっほん!
ウィート君、フレンドになった人とは連絡もできるからね。
ウチに連絡取りたいときとか、ナビ子に聞いてみるとええよ?
ログイン時間ずれてたら、留守録おいておけるし。
お手紙送っといてくれてもええでー」
「うん、そうする。
ナナミさんも、僕に遠慮しないで連絡してね!」
「お互いに遠慮しあいっこ無しやな!」
お互いに今日が初対面だけど、結構仲良くなれたと思う!
ナナミさんの明るさ、気さくさも大きいと思うけど。
ツキノたちが場を和ませてくれてるっていうのもあるよね。
これもきっと、アニガーのいいところの一つだね。
動物好きが、動物を愛でながら一緒に過ごすんだから。
そりゃあ仲良くなるのも早いよね!
「そんでな、日曜日の話やけど、4時くらいにINできる?」
「夕方だよね?
夕飯の時間ギリギリだけど、あらかじめお母さんに言っておけば大丈夫」
「あー、実家暮らしで、中学生やもんね。
もうちょい早い方がええか?」
「7時にログアウトできれば大丈夫。
だから、4時にログインするね!」
家の夕食は、7時に集まりだして、ご飯を食べる感じだから。
僕も9時には寝たいんだけど、十分時間に余裕があるし。
全然大丈夫かな。
「ウィート君、今日はログアウトまでどんくらいや?」
『あと20分になります』
「ありがと、スズメさん。
あと20分だって」
「ほんなら、今日はここでお開きやな。
ホームに帰って、seed埋めたりしたいやろ?」
「GPも貰えたから、買いたい物はあるかも」
「なら、あの子らの格好も見納めやね」
このお料理部屋に入ってきた時、僕たちには強制お着替えがあったんだ。
強制って言っても、白い割烹着を着せられて。
頭に白い三角巾が乗っかってる、給食当番スタイル。
僕とナナミさんもそうだし、ツキノたちも同じ。
髪の毛とか、動物の体毛とか、アニガーで抜け毛は心配無いんだけど。
衛生面じゃなくて、雰囲気作りのお着替えみたい。
みんな可愛いし、ツキノにとっては初めてのお着替えだし。
めっちゃ可愛いんだけど。
ゴリスチャン。
ムキムキの体に、ピチピチのタキシード。
その上に割烹着を着てるものだから。
なんというか、絵的に、こう…
うん。
にこにこパスタを食べてたし、やっぱり可愛いし。
…これはこれでアリか。
ブックマーク登録・評価ポイント・いいねを付けて頂き、ありがとうございます。
誤字報告も、助かります。
読んで貰えて、嬉しいです。
がんばります。




