マイホーム、マイガーデン 3
「わー、いい匂いがするー」
「きゅまー♪」
ログハウスの中は、投影された時に一度見ているけど。
本当に、ただ見ただけ。
このゲームの投影って、色がぼやけるとか透明になるとか、見やすさを考えて作られてはいないホログラム的要素がなくて。
見た目に関してはほぼ実物そのままで写し出されるんだ。
演出ゼロってワケではなくて、投影体の周囲がキラキラした光を纏っている感じの、ちょっとオシャレなエフェクトが付いてたけど、その程度。
建物の投影の時は無かったけど、ペットたちを投影して見せて貰ったときは、それぞれ鳴き声も聞くことができた!
ワザと聞きづらくするためのノイズとか、音声に加工したした感じはしなくて。
動物たちの可愛い声を堪能することができたんだよ!
でも、投影で楽しめるのは視覚と聴覚の2つだけみたいなんだ。
残る五感の嗅覚、触覚、味覚は、投影では感じ取ることができなかった!
動物たちも建物も、触ろうとしても、手が対象をすり抜けちゃってたし。
家の中を見た時も、ドアに触れないから、壁をすり抜けて家の中に入ったんだ!
ワンコに触ろうとして、手が体を突き抜けちゃった時は…投影されたワンコだって、わかっててもショックだったよー。
投影物に対しての味覚は試していないけど、まぁ多分ダメな流れだよね。
「靴は脱がなくていいの?」
『ホームエリアに関しては、汚れという概念を気にされなくて大丈夫です。
Animal Gardenには、一部イベント中やworld's fieldsの沼地エリアなど、絵具や墨汁、泥などで汚れることが前提の場所もありますが。
ホームに戻られた際、プレイヤーとe-petsはログイン時の状態に復元されます。
ホームエリアでe-plantsを育てる際、自ら土いじりをされることも可能ですが、その際の土汚れもホームに入ることで除去されます』
「おおっ、それは便利だ!」
「きゅま!」
『ホーム内ではゲーム内通貨を使用することで飲食が可能ですが、その際に発生した汚れは自動的に除去されます。
除去の判断はnavigatorに一任されていますので、お料理やお菓子作り、お絵かきに物づくりなど。
e-petsとの共同作業中には汚れやゴミなど除去しないまま楽しむ、といったことも可能です』
「おおー、料理作りもできるんだねー!
ツキノ、僕と一緒にお料理する?」
「きゅま!きゅまきゅま~♪」
パン屋の息子たる僕は、中学生の三年間お料理クラブに入ってたからね!
ツキノに美味しい料理をたくさん作ってあげられるよ!
ちょっぴり、他の人よりちょぴっとだけ運動神経がよろしくない僕が、唯一の得意分野だと思って入部したお料理クラブだったけど…ここで活きるとはね。
男子は僕だけだったけど、3年間頑張った甲斐があるってもんさ!
週に2回の活動終わりには、部活終わりの腹ペコ運動部がわらわら寄って来たから。
男子も女子も、けっこう多くの友達ができたしね。
3年間楽しかったし、お料理クラブに入ったのは大正解だったよね。
『チュートリアルの一環として、ゲーム内通貨を使ってみましょう。
2種類のゲーム内通貨のうち、ゲーム内での活動によって手に入る通貨が『Garden Points』通称『GP』。
課金して購入する通貨が『Garden Coins』通称『GC』です。
今回は、GPを使ってツキノ用の寝具を購入してみましょう』
「きゅま!」
『ウィートさまがログアウトされている間、e-petsであるツキノは基本的に休眠状態となります。
navigatorの監視下において、e-plantsのお手入れや製作中の作業進行など、一定の活動を行うこともありますが、プレイヤーのログアウトしている時間に影響を受けることになります。
特に、プレイヤーが最短サイクルでのログイン・ログアウトを繰り返されますと、e-petsの休眠が不十分になり、記憶領域の整理が上手く行われなくなる可能性が生まれます。
その場合には、Animal Gardenの安定性を保つという理由から、プレイヤーに対してのログイン制限が行われることになります』
「ふーん。ツキノたちにも、睡眠時間って大切なんだねー。
…あれ?昨日はどうやって寝たの?
…まさか、野宿…!?」
「きゅま?」
知らない事とはいえ、僕の可愛いツキノに野宿させちゃうなんて…!
…でも、クマさんだから、外で寝るのはおかしくないんじゃ?
いやでも。
スズメさんは寝具が必要って言ってるし…あれぇ?
『このチュートリアルが終わるまで、e-petsはシステム的に保護されますので。
昨日もぐっすり眠っていましたし、ツキノは今日も元気ですよ。
そうでしょう、ツキノ?』
「きゅまー!きゅまきゅま!」
「あー、そうだよねー。
いや、ツキノが元気で嬉しいよ。
良かった良かった」
「きゅま~♪」
うん。まぁチュートリアルの真っ只中に、説明前の事でデメリットを与えてくるようなゲーム世界じゃないよね、アニガーは。
まだ初めて2日目だけど、プレイヤーにストレスを与えるのが目的のゲームって
感じは全然しないし、チュートリアルにもたっぷり時間が取られてる。
ユーザーフレンドリーに作られてる感じがするよねー。
ペットを増やせるのが月一だとか、さっきのログイン制限の話だとか。
人によってはイライラすることもあるだろうけど、僕に限っては全然問題なし!
僕は、ゆっくりと、ずっと先まで、この世界を楽しむつもりだし。
日常生活に影響が出る程にはゲームにのめり込めなくなってるって考えたら、むしろ新設設計なんだと思うから。
フルダイブ型のゲームって、現実とゲームのバランスがおかしくなっちゃう人が結構いるみたいで、それ専用の法律までできちゃうくらい危ういんだから。
安心安全にアニガーが楽しめるなら、もう言うこと無しだよ!
『では、ウィートさまのplayers interfaceに100GPをお贈りします。
ショップ機能が限定開放されますので、音声で呼び出してみて下さい。
そこから、ツキノワグマのベッドを購入して下さい』
「ショップ!って言えばいいの?
わ、何か出てきた!」
『目の前の電子パネルが、このホームで呼び出せるshopping interfaceです。
投影機能を搭載しており、音声入力とタッチ入力に対応しています。
現在はツキノ用のベッドしか選べませんが、機能開放に伴い様々なアイテムが購入可能になります。
その全てにGP及びGCが必要となります。
GPについては、ゲーム内イベントや、e-plantsの育成などのコンテンツに参加することで入手できますので、奮ってご参加頂きたく思います。
尚、現在所有されているGPとGCの確認は、各インターフェイスから確認することができます』
「なるほど。この世界でもお金は大事なんだねー。
一緒に頑張ろうね、ツキノー」
「きゅま!」
「よし!いいお返事ができたツキノくんに、ベッドのプレゼントです!
ツキノワグマのベッド、購入!」
音声入力に反応して、ベッドの形に光が集まってくる。
家やペットに比べれば割とあっさりとした演出のあと、シンプルな木枠のベッドが電子生成される。
真っ白な枕とシーツ、クマさんシルエットのかけ布団までついているから、ツキノもぐっすりと眠れるんじゃないかな?
「やったねツキノ!
今日から、これが君の専用ベッドだよ!」
「きゅ~ま~♪きゅ~ま~♪」
『おめでとうございます。
良かったですね、ツキノ。
それでは、ベッドの配置場所と向きを選んでください。
いつでも配置の変更が可能ですので、他の家具を増やした時も対応可能です』
「今からどんどん家具も食器も増えていくんだもんね。
ツキノ、ベッドは好きなところに置いていいんだって。
どうしよっかー?」
「きゅま?きゅむむむー」
短い手で腕組みをして、首を傾げながら家の中とベッドの周りを歩き回るツキノ。
きゅむきゅむ言いながら、ベッドをポフポフしたりするのが可愛い!
ピンクのパジャマとナイトキャップとか、ショップに売ってたりしないかなー。
即買いしちゃうし、色違いとかも全部揃えちゃうよ!
かわいいツキノが見られるなら、財布の紐はゆるゆるだよー!
この土日で、PV数と、ブックマーク登録して頂いた方と、評価ポイントを付けて下さった方が沢山増えました。
ありがとうございます。
すごく嬉しいです。
頑張ります。




