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異世界臨時公務員始めました(ゲートあります)  作者: 仲田野 寿


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―――アミーラさんと色々話せてよかったなー。先生にも紹介できたし。と、少しほっとしていたら、アミーラさんが居住まいを正し出した。


「田川様、お願いがございます。……私も、一度そちらの世界を見てみたいのです。案内してくださいませんか?」


「……えっ。ああー、個人的にはもちろんいいのですが、アミーラさんってアミール族のお姫様ですよねぇ? んー、なんというか、サンクさんがちょいっと来る感じと違って、たぶん警護とかいると思うんですよねえ。なにかあったら確実に大変なことになるので……どうしよ」


「田川さん! そういうときこそ国家危機管理部に連絡ですよ! ……スマホ失礼します」


「虎太郎君、その時は僕もご一緒させてもらいたいねぇ。日本海側に親戚がいるんでねぇ、新鮮な美味しい魚料理が振舞えると思うよぉ」


「……三上さん、スマホはここ電波ないので出来ないです。が、そうですね。佐久間さんに一報入れてどうなるか確認しますね。んー、先生も、確認なりましたら連絡します」


 三上さんががっくりしてるけど、そうなんだよ。異次元ゲートをくぐった途端に電波は入らなくなるんだよねえ。


 先生はどうなんだとおもったけど、アミーラさんがお魚料理という単語にぴくっと尻尾が立ったからなー。これやっぱりお魚好きなのかも。ゲストが好きなら入れないとねえ。


 三上さんがぶつぶついい出したぞ。


「胆嚢が魔臓、……魔力ためる、……蓄積、……電気、……静電気、……魔物、……魔石、……」


 なにやってんだろ? 急にたくさんメモ取りだしたけど。


「では、田川様、佐久間様にご確認お願いします。私共の護衛はデラドガル、あとは兄さまにお願いしようと思ってましたが、兄さまはミケ様につきっきりですから、違う護衛を一人、連れてまいります」


「わかりました。佐久間さんに確認しましたらイゴラフさんにお伝えしますね」


 じゃあ、帰ろうか。

 というころに、アヴィラさんがアミーラさんに「グァゥグァゥ」と声をかけた。


 ん? どうした?


 アヴィラさんとミケが一緒に俺の前に来た。ミケどしたー? 撫でると気持ちよさそうにゴロゴロなってる。うんうん、ミケはいつもかわいいねえ。


 アミーラさんが俺の方を見て少し困った感じで話し出す。


「田川様、……兄さまがミケ様と結婚したいそうです。……その許しをいただきたい、と言っております」


―――ミケにアヴィラさんがプロポーズしたのか。……で、保護者の俺に許可をとりたいのか。


 だから急に一緒に来るってしたのか。てことはミケはオッケーなんだね? ん、そう?


「ミケはいいのね?」


 俺に向かってミケが聞こえないけどにゃーと言った。


 うんうん、ミケがいいならいいよ! 幸せになっておくれ。


「でも……ここに住むとか言わないで……俺のとこからいなくならないで……。あ、家はうちね? 今までと変わらないの?」


 ……よかった。泣くかと思った。


「アヴィラさん、ミケのことよろしくね。俺とも家族だねえ! 俺もうれしい」


 アヴィラさんのことも撫でまわした。

「グァッ」と鳴きながらまんざらでもない様子のアヴィラさん。家族が増えて嬉しいねえ。


「ミケちゃんおめでとう!! アヴィラさんよかったねぇ。……てか田川さんって、ミケちゃんとアヴィラさんが何言ってるか、なんとなくわかるんですねー? さすがすぎる」


 え、猫飼いってわかると思うよ? なんとなくだけど。え? みんなわかるよね?



―――イゴラフさんのいるギルドハウスに戻っていくと、ライメットさんと狼獣人さんたちが群れを成していた。

 荷物がすごい多い。引っ越し準備かな?


 てかほんと、なにー? なにかあったの?


 イゴラフさんが困った顔をして俺を待っていた。


「田川殿。ディルス族の方々が……、田川殿の裏山に住むとのことでな……? 対応をお願いいたす」


「古代竜様の加護の方だ!!」

「古代竜様の加護だぞ!」

「古代竜様のおしるしが!!?」

「古代竜様の鱗を賜ったらしいぞ!」


 俺、古代竜様の加護の方って言われてるの……? すごい大事になってる……。

 ていうか……。まだなんも住むところないのに……。来るの早すぎるし人も多いんですけどー!


「タガワー!! あたしもそこに住むーー!!」

「おねえさま!! な、なんですってーー!?」


 はぁぁ!? 妖精の二人も飛んできた。どっから飛んできたんだ!?

 てか、そこに住むってえぇぇ……? まだなんも家とかないぞ……。


「なんと! 妖精の方々が来て下さるのならば、確実にお子が守られる! なんという僥倖!」

「この妖精の方々が、田川殿のお知り合いでな。古代竜のところに案内してくれたのだ」


 イゴラフさんが余計なことを教えだした。

 狼獣人さんたちが尊敬のまなざしで俺を見ている……。


 先生は先生で、「狼獣人……!?」とかつぶやきながら、狼獣人さんたちの周囲をくるくるまわって観察してるし収拾がつかないな。

 ……一人の獣人さんと交渉して触診してにっこにこしてるのまじ先生過ぎる。


 あー、まあ先生は楽しそうだしいいや。

 ……そういや、先生魔力酔いしてなくね……? えぇ……?? これは三上さんに伝えておこう。


 ああ、住む件ね……裏山にゲルぽいの作って住むならまあ、今の時期ならまだ大丈夫だろうし、今はそうしてもらおう。

 クーラー付きの物件は急ピッチで建ててもらおうか……。帰ったら考えないとな。


「狼獣人さんたちは、そのゲルをつくっていい場所教えるので、じゃあついてきてもらえますか? あと、うちの異次元ゲートの警護とか家の警護とかも仕事としてやってもらいますからね!? それと裏山に生えてる薬草も探してもらおうかな」


「もちろんさせていただきます!」


 狼獣人さんたちが合唱するかのように叫んだ。

 テンション高いなぁ!



―――さて、家に帰ってきた。

 異次元ゲートもぐるだけなのに、ほっとするわぁ。


 先生魔力酔いしてないんじゃないか件を三上さんに伝えたら、ものすごい驚いていた。何度か異世界に入ったことがあるもんだと思っていたらしい。


 聞いたところ、初めて入ったらしいんだけど魔力酔いしてるようには見えないんだよなあ。


「魔力酔い? してたけど、そんな格好悪いところアミーラさんに見せられないから我慢してたよぉ!」


 えっ? ……生すごすぎだろ。でも症状軽そうだったんだよな。


 もしかしたらうちの近所の動物病院の先生だからかな?

 動物たちの方が体が小さい分、異次元ゲートから放出されてる魔力を取り込みやすくて、そしてそれを診察されてる先生が魔力を少しずつ取り込んでたとかあるのかも?

 という考察を三上さんにしてみたら、三上さんが調べたくてそわそわしてた。

 そこらの交渉は先生としてね。


 俺忙しい。

 佐久間さんへの電話しないと。



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