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―――工事の方々に挨拶をしつつ、ライメットさんと裏山に向かう。
配信のやりかたが、いまいちわからんぞ。
……これかなぁ? ぽちっと。
【きたああああああああああ】
【見えたあああ!!!!!1111】
【赤スパニキよかった】
【無駄な5万になるところではらはらした】
「アヴィラ殿の縄張りになっておりますね。これはよほどの獣でもない限り、入っては来ないでしょう。素晴らしいですね。
ふむ。とすると人族警戒が必要になりますね。……守りが必要か」
「あ、行けたかなー? 見えてますー?? あの、ライメットさん、もう少しで翡翠ちゃんのところですよ」
【見えてる見えてる】
【草をかき分ける? 音ががっさがさめっちゃ聞こえるけど見えてる】
【裏山がまじな山で草】
「おおー。配信にこんなやり方もあるんですねえ。あ、あれが翡翠ちゃんですね。ああ、前より元気そうでよかった」
―――森の木々の木漏れ日の中、前は弱弱しく地に伏してた感じだったけれど、今はもう元気いっぱいにぱたぱた飛んでいる、木漏れ日が翡翠色の鱗に当たってきらきら輝いて美しい、小さなドラゴンの赤ちゃんがそこにいた。
おーきれいだ。配信にきれいなところ見せれたかな?
「キュッキュウ!」
うれしげに鳴いて俺の腕の中に飛び込んできた翡翠ちゃんを撫でる。
前より懐いてるなー? どしたー? あ、体調よくなったからうれしいの? よかったねぇ。
「うんうん、元気になってよかったねえ」
うお、ライメットさんがひれ伏した。リアルであれやる人初めて見た。
おっと、スマホ落としそう。どしよ……配信してるからなー。
「翡翠ちゃん、スマホ落としたら大変だからつつかないの。……これが気になるの?」
「キュッキュ」
【ガチ恋距離すぎて死】
【かわいいいいいいいいいい!!!】
【守りたい】
【これはわかる】
【新たなる性癖】
【おまわりさんこいつです】
【ほんとに翡翠みたいな色】
【ライメットさんひれ伏してるのおもろい】
「あっ!? ……ぶね……!」
スマホ落とした……。壊れては……ない、草のうえだから大丈夫だったぽい。あぶねええ!!
【落下になぜか玉ひゅんした】
【声出た】
【酔うかと思った】
「すみません。やっぱり配信消しておきますね。スマホ壊すのは避けたい……。工事終わってたらつけるかも? んーわからないので、SNSに書きますね。今日はありがとうございました! おつかれさまでした!」
【おつかれー】
【スマホ配信ありがと】
【またねー】
【翡翠ちゃん見れたし満足】
―――翡翠ちゃんにライメットさんを紹介して、念のため翡翠ちゃんに家に行くか? って聞いたけどやっぱりここがいいみたいだった。
山の外には行かないようにね、と厳重に注意して帰ることにした。
帰りながら、ライメットさんから切々と訴えられた。
「田川殿、我らの種族をこの山の守りに住まわせていただきたい。ぜひとも! どうか! お子を一人では置けませぬ!」
「……俺もそれは考えてたんですよねー。サンクさんも住むところ確保したいし……。この家とか周囲の警護してくれる獣人さんも、これからもっと増えるかもですよねえ。うーん、しかし家はぽんとは建てられないんですよね、って仮設住宅はどうだろ? あー、雪がやばいかなぁ? ちょっと佐久間さんと相談します」
「アミール族の住居なら比較的すぐ出来るのではないだろうか? 我ら種族は構わぬ」
「ああ、ゲルかー。なるほど。……あれ、雪って大丈夫なんだろか? あとここかなり暑いけど、クーラーないと熱中症で死ぬかも……。クーラーつけれるああいう住居ってあるのかなぁ? ……佐久間さんに投げよう……」
【田川@ミケ:先ほどスマホからの初配信、スマホを落としてしまって終わってしまい申し訳ありません。今度は三脚かなにかを準備して、外でもできるといいな、と考えています。
先ほど少ししか紹介できなかった翡翠ちゃんの画像です。画像
GoTubeで異次元ゲート垂れ流ししております URL #猫#異次元ゲート 】
―――裏山から帰ったら三上さんも佐久間さんも体調回復していたようだった。
ドアも出来ていたし、受付を始めるための準備も着々と進んでいるね。
で、もっかい魔力酔いの体験、車酔い飲んでからバージョンをやってみることにした。
そして先ほどの話で、裏山に獣人さんたちの居住区を作りたいんだけど、補助金とか出せますかと佐久間さんに聞いてみた。
まださすがにわからないけれど、作業員宿舎等設置にあたるかもしれない、その場合は補助で出せる部分もあるはずです、とのことだった。確認してもらう。
仕事増やしてばかりで申し訳ない。
まあ出なかったら出なかったで俺の仮設住宅を作ってくれた会社に頼んでこっちにもつくってもらうことにしよう。ローン組めるかなー? 高すぎたらもうゲルにしよう……。
サンクさんのような方が今後も増えるかもしれないし、仮設住宅だけでなく人間用のアパートも作っておきたいところだなんだよなぁ。
会社の取引先に建築業界の人いたから聞いてみるか。
そう、あわよくば不労所得を狙っていきたい……。
―――実験の、車酔いを飲んでからバージョンだけど、
「……最初の……飲まないときよりは……楽」
「私はこれならなとか動けます」
……三上さんはまだまだきつそう。佐久間さんは我慢したら動ける感じ。なので少しは地球用の薬も効くのかも、という結論になった。
ただし、佐久間さんはすでにもう何日か異世界で過ごしている経験があるし、物も食べているし属性もあるしで、魔力がすでにある可能性があるとのことで、少々実験体としては特例のようだった。
てか、もうここらは、製薬会社? さんにぶん投げてもいいのでは……? と言ったら、そっちのがよさそうです! と佐久間さんも大賛成のようだった。仕事が増えすぎるからなー、投げれるなら投げたいよね。
三上さんの実験結果は製薬会社さんに移譲したらいいし。ごはん食べてからの酔いの違いまでを提出でいいのではないかなぁ?
明日もアミーラさんに行くので、今日はここで解散になった。佐久間さんが明日の俺の出張も会社に申請してくれるらしい。助かる!
―――さて、翌日やはり八時に三上さんが来てた。先生も来てた。
で、だ。サンクさんが昨日帰ってこなかったんだが、ちゃんと俺に電話してきたのはえらい。明日の会社は佐藤さんにそのまま送ってもらいなさいって言っといたからそっちはよしとして。
佐藤さんとこは寮だろうし、ホテルにでも泊まったのかな……ってことは……。いやぁー佐藤さんたちの展開が早すぎて俺は驚くぞ。これたぶん佐藤さんが同僚の方の反応見て焦ったんじゃないかなー?
んなことしなくてもサンクさんは浮気とかしなそうだけどな。
まあ結婚するには籍いるだろうし、こっちの国籍どうなるんだろ? 佐久間さんの仕事が急ピッチになりそうで笑える。
てか、サンクさんの身が逆に心配なんだが、ちゃんとこっちの世界でやっていけるんだろうか……なんか娘を持つ父親みたいになってるな。まあこの場合は娘イコールサンクさんなんだが。
俺独身なんですけど、なんでこんな気持ちに……。
俺があのとき佐藤さんを家に帰してたら出会ってなかったわけだし、なんか勝手にだけど仲人みたいな感じになってて気になるんだよな……。仕事も紹介してるわけだしなあ。




