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―――佐久間さんに怒られたんだが? なんで? 何回も説明するとかしたくないし、二度手間にならないしよかったじゃんねー。
あと、アミーラさんのこととか、女性が生まれにくいこととか、そういうことを詳しく説明させられた。アミーラさんたちが女性上位なのも聞かれた。
『そういう話は教えてください……! いいですね!?』と必死に言われた。
俺は国家危機管理部に入ったわけじゃないからなーとは思いながらも、まあたしかに自衛隊にも女性はいるし、なんかあったら大変だもんな。
この世界からは今のところ俺がいないとアミール族―――アミーラさんの一族、ネコ科獣人の人たちのことはこういうらしかった―――のところに行けないから、まずギルドはここにあれば基本は大丈夫っていう佐久間さんたち危機管理部の考えみたい。
あと佐久間さんが異次元ゲートから入ってみたら、酔ったらしい。もしかすると初めてアルファンディアに行く人は、魔力酔いするのかも。これは注意したほうがよさそうだな。せっかく二万円も払って異次元パスポート取得するのに、酔っていけませんでした! だと悲しすぎる。酔い止めが必要だな。
意味あるんかな? まあないよりましか、プラシーボ効果でいけるだろ。
―――そういや有給の延長したときに会社に電話はしたけど、なんか不在着信あったっけな。電話してみるか。
「あ、警備部の田川だけど、木戸課長いるかい? なんか電話もらってたみたいでね。え? うん、そうそう、家に異次元ゲート出来たんだよー、それで、親父の葬儀からこの方、ずっと休ませてもらってるんだけどね? うんうん、世話になってるねー、ありがとうね。うんうん、ミケ? 元気だよー。そうそう……で、あの、木戸お願いできるかい?」
『お待たせしました。おおー田川部長ー! 聞きましたよ! 異次元ゲートが家に出来たんですってね! いやー、国家危機管理部っていう国から電話きましてね、至急防犯カメラを設置してほしい家があるって依頼あったんですよ。で、その家の住所が田川さんの家で驚きましたよー!』
「ああ、防犯カメラ設置したのか。なるほど、その件での連絡か? 俺の家の周囲に設置してもらえるのはありがたいな。俺も警備頼もうと思ってたとこだしなー。うん、今度契約するわ。
そうだそうだ、あとな、家になんていうか受付用の部屋というか……プレハブでもいいんだが、仮設住宅をつくってもらいたいんだよ。『ああ、異次元パスポートの受付用ですか?』そうそう、って、よく知ってるな。あ、配信見てる? おーそうなのか。ありがとう。うんうん、建築現場のときに作るようなのでいいんだが、あ、それは工事現場じゃないから無理かな。まあそれらもせっかくだし会社からやったほうが良いかと思ってね。どっか仲介してくれてもいいしな」
『そうですねー。工事現場ではないのでプレハブは無理かもですが……、家をリフォームするときの木材の仮設住宅ようなのでしたらいけるかなと思います。建築現場に担当に聞いて連絡しますね』
「ああ、助かるよ。ありがとう」
―――受付するのはいいけど、家でするのはちょっとあれだしなー。配信しながらしようかとも思ったが、ミケもいるしなぁ。書いてもらうところがそこで、で、異次元ゲートのある部屋に外から入れるようなドアつけても良いな。カギ二つのしっかりしたやつ。金かかるけどこれ経費いけるか……? まあ無理な時はしゃあない。
さってと、会社にも連絡して異次元パスポート説明会も終わったし、昼でも食うか。
あああー、疲れたな。
と思ったらミケがおもちゃなくしたーってやってきた。なになくしたん? ペットボトルのキャップか? あれミケ好きなんだよな。謎すぎる。
だからうちには、そこかしこにペットボトルキャップ落ちてる。見てるとアヴィラさんもけっこう好きらしい。謎すぎる。
そこらへんに落ちてるから何でも良いだろー? 俺疲れたんだけど……。えー、あのお気に入りのキャップがいいの? んもーミケの尻尾がイライラしてるなー。わかったわかった、探すから。
ああもうー。どこだあのキャップ。コーラの赤いやつ。
ミケが遊びそうでアヴィラさんが取れなそうで、細かいところに入っていきそうなとこどこだー! って集中してたらなんかピンと変な感覚がした。ん? なんだ今の? てかたぶんこっちにある。
……あった。これだよな? 「ミケー、これかー?」ミケがダッシュでこっち来て、キャップ投げて投げてってしたから投げてやった。ああ、あれだったみたい。
よかったなー? ミケ? ううーん? まあいいか。
―――そういやさっき佐久間さんが俺に無言で電話をわたしてきてね、なんだろと思って受け取って出たら、なんと佐藤さんだった。
『……もしもし、田川さんですか? あの、佐藤です……警察の……。しゅがしゅが@みおんです……。
あの、失礼なことを言ってしまったことと、ミケちゃんたちに対しての態度、あとはSNSでの発言……ほんとに申し訳ございませんでした!!
動物を飼っている同期と先輩にかなり怒られました……。もうほんとに怒られて……。
それなのに、こんなわたしをSNSでフォローしてくださって……ありがとうございました。田川さんのフォローがなかったらもっと酷かったはずだよとたくさん言われて……あれは削除しました……、ほんとに申し訳ありませんでした』
と、びっくりするほど愁傷に謝ってくれた。これやっぱりこっぴどく怒られたっぽいなー。上司だけじゃなく同期からのっていうのも大きかったのかな?
なんにせよ、きちんと謝ることができる子は伸びるからね、えらいわ。
今の世の中、謝ることの出来ない人っているからな。うんうん。
―――佐久間さんからも、仕事の件はSNSに投稿する時は個人がわかるように書かないようにと注意した、申し訳ないと言われた。
あ、やっぱり仕事関係でだすのはだめなのね。まあ出しちゃったのが俺で良かったよ。




