第2話 エドワードとルナルデッタ
「おかえりなさいませ、皆さん」
二一、歩、里香、クレアロッテ、ジャンマリア、和美、順二がタニアに戻ると、またルナルデッタが真っ先に出迎える。
「相変わらず出歩きお姫様だな、ピッキー」
「もうこのようなことはそこまでできませんから。きちんと出迎えをしたかったのです」
「もう? 忙しくなんのか?」
ルナルデッタの微妙な言い回しに、二一が尋ねる。
「いえ、二一様のお友達が事務仕事も現場仕事も手伝ってくださって、とても楽になっております。亜人の皆様との関係も非常に良好で、マーク森林に人間が入るのも問題がなくなりました。順調も順調です」
「じゃあ暇になって余計に外に出ることになるんじゃないのか?」
「実は……、エドワード様と正式に婚姻を結ぶことになりまして……、それでラルフとタニアで連動して連立国家を結ぶ話がでましたので、それで事務関係の仕事で私がかからわなくてはならない部分が増えますので……」
「へー、じゃあ結婚式すんのか。おめでとさん」
「わー、結婚式だっ」
「おめでたいですね……」
召喚されて以来二一がマイペースなので目立たないといえば目立たなかったが、あまり楽しい話がなかったといえばなかったので、おめでたい話題に自然とテンションも上がる。
「既に二一様達のご友人には招待状を送っております。よろしければ二一様達も参加してくださいませ」
「ああ、まぁ1日くらいなら気抜いてもいいだろ」
「やったー」
「ルナ様、おめでとうございます」
「おめでたいのでございますなぁ」
クレアロッテ、ジャンマリアも二一の肩と頭で、笑顔になる。
「いつだ?」
「一週間後です。お話はエドワード様から聞いていますが、トリアでも大活躍だったそうですね。じっくり疲れを癒してくださいませ」
「まぁそうさせてもらうか」
「やったー、二一ちゃん公認のお休みだー」
「人をブラック企業の社長みたいにいうんじゃない。休みたきゃ勝手に休め」
タニアは国民もよく二一達を知っているし、同じ召喚者もたくさんいるので、とにかく気が抜ける。しかも、風呂やら食事やらが彼らの口にあう。
「結婚かー、結婚式に参加したことあったけど、あの空気はいいよねー」
「その日だけは主役になれるからね」
「ルナルデッタ様は17歳だよね。私たちと同じくらいで結婚してるけど、昔はこれくらいが普通だったんだっけ」
「でも全然ピンとこないよね。結婚なんてまだ先だと思ってたー」
召喚された女子メンバーは結婚式の話題で盛り上がっていた。女子にはやはりいいゴシップのようだ。
「……やっぱり歩ちゃんは若松君と……?」
「えっ、えーっ!? 何でそんなこと言っちゃうかなっ」
里香からの指摘に歩は照れて顔を横に振るが、誰も意外そうでもない。そりゃそうだろという視線である。
「でもさー、若松君って、そういうの興味あるのー」
「ううんっ、全然ないってっ」
「まぁそうだろうね」
「あるよっていうほうがむしろ以外だし」
「でもねっ、一緒にいるならいいって聞いたら、いいっていうから、結婚とかしなくても、一緒にいれればいいんじゃないかなっ」
歩は相変わらずのマイペースで回りを苦笑いさせていた。
「亜人の子にも結婚ってあるのっ?」
今日は歩の肩に乗っていたルナルデッタに回りが質問した。
「ありますよです。式をするとなるとかなり限られますけどです。私もあこがれはありますです」
クレアロッテは見た目小さくとも歩と同い年の女子。話としてはかなりかみ合う。
「人間と亜人はするの?」
「まったくないことはないですよです。かなり少ないですけどです」
女子メンバーはこの話題だけで1週間くらい持ちそうである。
「やぁ、いらっしゃい。トリアの件ではお世話になったね」
「エドワードさんも元気そうですね」
二一はタニアで2日ほど休憩した後、単身、頭にジャンマリアは載せているが、ラルフを訪ねていた。
「ピッキーから聞いてます。エドワードさん正式に結婚されるそうですね。おめでとうございます」
「おめでとうございますでございます」
「ありがとう。わざわざそれを言いに来てくれたのかい?」
「エドワードさんにはいろいろお世話になってますからね。それとお話も少ししたいと思いまして」
「話かい?」
「南のルフトとのこともあるでしょう。結婚式となればさすがにちょっと無防備になるじゃないですか。俺はルフトと戦って国宝を手に入れたいんですよ。だったら、それは別にいつでもいいので、すぐに準備を整えてられれば、ルフトと戦うつもりがあるんです。そのあとのほうがいいんじゃないですか? すでに広まってますよ。結婚の話。この好きをルフトが見逃しますかね?」
「まぁ確かになぜこの時期かというのは気になるかな? これは連立をより強固にして、けん制する意味でもある。トリアの問題が片付いて、ルフト以外は全部協力関係になっているからね。戦争をせずにルフトを降伏させるのもいいからね。この結婚でより関係性を強固になれば、私の理想のラルフト計画も成功するさ」
「そうですか。いろいろ手はあるんですね。でしたら俺もできる限り協力しますよ。結婚式では俺は警護も兼ねて動けるようにしますね」
「助かるよ。君がいれば百人力だな」
いろいろ話して、二一はラルフを離れた。
「エドワード様のこと何か気になりますかです?」
「いや、あれはエドワードさんそのものだ。ちょっとさ、ルフトのことが気になったから、ちゃんと考えてるんならいいんだけどな」
「二一様が銃で撃たれたことを気になさっているのでございます?」
「あの銃さえ警戒しとけば、いいだろうからな。最悪結婚式のときに、お前を2人の横にでも置いとくか?」
「ムードがいまいちな気がしますけどねでございます」
そんなことを話しながら二一達はタニアに戻った。




