第10話 一角撃破
「クックック、まさかそのようなものができていようとは……、そう、私が四天王が1人、クトカ。トリアを内部から制圧するようにここ1年くらいずっと潜伏していたのだが」
現れた2m近い爬虫類のような姿に、周りは恐れていた。四天王というものの存在を知ってはいても、近くで直視するとなれば初めてだからだ。
「あんたが四天王の1人か。ということは、あのクサブエとかジンエンよりも強いということか」
「クサブエは私の直接の部下だ。ジンエンは別の四天王の部下だが、そうか、その大きな剣と狐人族を味方につけている……、お前がジンエンを倒した召還者か……」
「知ってるのか」
「クサブエからの報告だ。しかし、こうなった以上はどうすべきか。逃げてもいいが、その前にここをめちゃくちゃにするものいいし、何人か洗脳して、魔国に連れて帰っても……」
「させん!」
トリアの兵士が何人か、クトカに突撃した。
キン!
「なんだと、槍も剣も折れた……」
「そのような武器は通用しない。この硬い鱗は打撃攻撃など通用せんわ!」
そして目を光らせると、トリアの兵士数人が意識を一瞬失って倒れ、次に起きたときには、味方に攻め込み始めた。
「わ! な、何を!」
「これが私の能力。圧倒的な防御力で、敵の攻撃を受け、洗脳で同士討ちさせるんです。私に近づけは洗脳されるぞ」
「その明らかな蛇みたいな見た目なのに、戦い方はクレバーなんだな」
混乱の中、二一は落ち着いていて、肩にクレアロッテ、頭にジャンマリアのいつもの姿勢。
他のメンバーは皆ドルツに残っているので、召還者は彼だけである。
「クサブエにも同じように戦わせている。自分で戦うのはリスクがあるからな」
「でも合理的ではある。おかげでクサブエは2回逃がしてるからな」
「そして、私も逃げるだけだ……な……?」
しかしクトカは余裕の笑みを浮かべながら、自身の大きい体が倒れていくのを感じた。
「な、なんだ?」
クトカは何も考えられず、別にダメージも受けていないのに、全身が言うことを利かなくなっていた。
「……闇雷属性は便利だな」
二一はドゥンケルハイトの闇に雷をくっつけた新しい技を使っていた。
闇属性のついた雷属性の効果は、「誤信号」であった。
通常の雷属性の技は基本的には、電気で相手を痺れさせて動きを封じたりする物理的なもの。
だが、この誤信号は、直接相手の体内に作用し、脳から体への信号を正常ではなくさせる。
この技自体は、存在しないわけではないが、地味な上に、活用しづらく、しかもかなり極めないと使えないため、事実上存在しないものだった。
それが二一が雷に闇をくっつけた結果、偶発的に生まれたのである。
地味で使用者が少ないということは、裏を返せば対策が立てにくいということである、二一はそういうものは大好きだった。
どれだけクトカが能力に優れていても、生物である以上、脳からの信号が届かなければ行動はできない。
「……ぐ、ぐ……、このようなところで……」
「こんなところって、ここはトリアの最深部も最深部だろ。敵対してるところの一番重要な場所なんだから、こんなところじゃないだろ」
おそらくそういう意味ではクトカは言っていないが、相変わらずの偏屈具合である。
「さっきからずっと洗脳をかけているのに、貴様には通用しないのか」
「俺とこの上に載ってるやつにはそういうのは聞かないんだ。でも、俺以外には面倒くさそうだな。とりあえず、トリアが安定しないのも面倒だし、こっちの都合で悪いが、死んでくれ」
「……、私は四天王でももっとも最弱……、それに私を殺せば必ず……」
「いいからさ」
そして二一はドゥンケルハイトを闇属性に戻し、一刀振るった。
クトカは闇に包まれ、暗闇がなくなると、クトカは完全に絶命していた。
これによって、魔国によるクトカのトリアの乗っ取りは完全に終了となった。




