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偏屈な召喚者は異世界でも変わらない  作者: 35
第7章 トリア編 
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第8話 救出と異変

「外はどうなっているのだ……」


カイザーメンゼルの城の地下に閉じ込められているゴートンは暗い部屋の中で自らの身よりもトリアのことを心配していた。


「なぜマストーはあのような愚行に走ったのか……」


彼はマストーのことを考えていた。マストーはもともとはあのような性格ではなく、兄弟仲も悪くなかった。2人でトリアを支えていく約束もしていた。


「マストーさんは昔からあのような感じではなかったのですか」


「ああ、だがここ2年くらいは自分よりも劣っていることをすごく気にするようになってしまって……って、二一殿?」


独り言を話していたつもりだったゴートンはふいに自分に答えてきた声に、一瞬返事した後二一に気づいて驚いていた。


「ゴートンさん、無事そうで何よりです」


「い、いったいどうやってここに? ここはカイザーメンゼル城の最下層で……」


「そのあたりは俺の頭部にいるチート狐のおかげでな」


「カイザーメンゼルの地下に来たことがある人がいらっしゃいましたので、瞬間移動してまいりましたのでございます」


「ご無事でよかったです」


ジャンマリアの能力の1つには瞬間移動の技がある。


その特性として、1度行ったことのある場所に行けるというものだったが、それは語弊があった。


正確には一緒に瞬間移動をする相手が行ったことのある場所に行くことができるというものだ。


これにより、実際にジャンマリアが行ったことがあるわけではなくても、移動することができるというわけだ。


作戦を立てるときに、この話をジャンマリアから聞いた二一はまだチートの上があるのかと、驚いていたが。


「なんと……、狐人族の噂は聞いていたが、本当に驚くことばかりだ。しかし、そのような存在を従えている二一殿はやはり只者ではないな」


「逃げるのも簡単です。さっさとドルツに逃れましょう」


二一はゴートンの手を取って一緒に瞬間移動しようとする。


「ま、待ってくれ。いつでも脱出ができるのなら、私はここにいたほうがいいのでは?」


「大丈夫ですよ。ドラゴンが去ったときのどさくさで、ゴートンさんの派閥の人はドルツに逃れてます」


「だ、だが、私がいなくなったら、マストーが暴れて国民が……」


「そのあたりも裏を通してカイザーメンゼルからは非難させてあります」


「……おそろしい手際だね……」


「準備はしておくに越したことはないですから。早くトリアの問題を片づけてしまいましょう」


「……マストーは……どうなるんだろうか」


「まぁこれだけのことをして、ドルツにも迷惑をかけているうえに、エドワードさんが敵対している相手まで味方につけたんですから、ただでは済まないんじゃないですかね」


「……明らかにマストーは様子がおかしかった……、何とかもう1度説得して、話し合いができないものか」


「これだけの目にあっても、あなたの愛するトリアを混乱に陥れても、マストーさんのことが大事ですか」


「もちろんだ……。何度も夢を語り合った大事な弟なんだ」


「……状況次第では俺たちもそうできるように協力はします。ですが、今回はあなたはいったん安全なところにいてください。トリアにとって、いえ、この世界にとってあなたはいなくてはいけない人です。いてくれないと、俺が元の世界に戻る手間が増えますから」


「……ああ、お互いの利益のためだからな。どうしようもないのであれば、私もトリアのために弟を手にかける覚悟もしよう」


「とりあえず戻りましょうでございます」


ジャンマリアの瞬間移動で、その日地下牢からゴートンが消えることになった。



「兄上はどこにいったのだ!」


ほどなくして、ゴートンが行方不明になったという事実がマストーの耳に入り、激怒していた。


「わかりません! 鍵が壊れた様子も、魔法が使われた形跡も全くありません!」


「言い訳をするな! すぐに探してこい!」


マストーが怒鳴ると、兵士達は皆外に出て行き、マストーが1人になる。


「これでは……」


マストーは激しく動揺した。最悪の場合の手段として、ゴートンを人質にする作戦が使えなくなった。


「ほっほっほ……、ここまでですかな」


すると1人の男がマストーの前に来た。


「そもそもお前が成功するといったから、今回の実行したんだぞ! お前が……、お前が……」


その部下は見た目は妙齢の男。マストーに今回の計画を提案し、ルフトとの協力を結んだ男でもある。


「…………いえいえ、私としてはどちらに転んでもようございました。もちろんあなたがもう少しうまく立ち回って、ゴートンと殺していただき、トリアを手中に収めていただいてからのほうが都合がいいことが多いとは思っていましたが、こうなったなら、魔王様から命じられたように、私が出るしかありませんな」


「何を……、何だその姿は……」


目の前にいた妙齢の老人は姿を変えて、蜥蜴のような爬虫類の姿になった。


「ちょっと大臣の1人をのっとって、私がトリア内を荒らすようにしました。あなたにも、私の毒が効いています。今日からトリアは私が支配いたしましょう。あなたの悲願であった、兄上越えは私が変わりましょう」


「…………そのような……ことは……、私はただ……、ぐっ!」


マストーはその蜥蜴のような魔物に襲われて意識を失った。


「……、魔王四天王が1人、洗脳のクトカ。トリアをのっとり、私がここの王となる」


クトカとなのる魔物は、マストーの姿をのっとってしまった。




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