第3話 英雄勢ぞろい
「ランドルフさん、こんなにすぐに会うことになるとは驚きでしたね」
「できればそなたには合いたくないのだがな」
ドルツには、前回集まった二一、エドワード、シーパが勢ぞろいしていた。
前と違うのはそれぞれ自慢の味方を連れて来ているので大所帯ということだ。
二一は同じ召還者達、エドワードは自慢の魔法使い部隊、シーパは傭兵をたくさん連れて来て、かなりの戦力である。
「しかし、トリアは勝機を持っているのでしょうか? 確かにトリアは戦力の整った優秀な国ですが、それでも自分の国以外を全て相手どれるほどは強くないはずです」
エドワードが最もな疑問を問いかける。
単純な戦闘力だけなら、騎士制度を取り、人口もほとんどが戦闘をできるまさに戦いの国。確かに強い。
だが、魔法使いが多く育つわけでもなく、海での戦いは強いが空で戦える戦闘力は持っていない。
あくまでも強いのは他国の援助をしたり、防衛線での強さ。他国に侵略するには向いていないのだ。
「マストー殿はゴートン殿には劣りますが、優秀です。全く何もないのにこのようなことはされないでしょう。警戒をしておいていいと思います」
シーパが怪訝な顔をして言う。
「申し上げます! トリア王国より侵攻です! ドラゴン部隊です!」
「なんだと!」
こちらの準備もまだできていない中、まさかのトリアからの侵攻。それもトリアにはいないはずのドラゴンであった。
「ドラゴン? 亜人か? 魔物か?」
二一が周りにたずねた。
「いいえ、二一殿。ドラゴンというのは、魔物ではありません。そして、いわゆる伝説の竜人族とも異なります。ドラゴンはルフトのみに生息する、ルフト人のみに従う共存の生き物です」
『ドラゴン』
ルフト地方のみに生息する飛竜。生まれたときに最初に見たものを主人として慕う。幼竜のときは熱帯の環境でしか生きられないため、ルフト以外では育つことは無い。形としては魔物だが、直接的に魔王の支配を受けるわけではないので、人間や亜人に対して、主人の指示以外で危害を向けることは無い。空をすばやく飛ぶことはできるが、炎を吐いたりすることなどはできず、戦闘力は低い。
「なるほど、ということは、これはルフトの協力があるということですか?」
「そういうことだ。私の国の侵攻をしている国だ。しかし、ドラゴンはやっかいだ、いきなり総力戦になる」
ドルツとトリアの国境で、さっそく激突することになった。
「はっはっは、これが私の力だ」
カイザーメンゼルの王城から戦況を眺めていた。
空を多いつくす竜の群れ。それら全てが自分の味方だと思えば気も大きくなるのである。
「いかがですかな。新しき王よ」
そこに1人の人間が話しかけてきた。
一礼してから声をかけるその姿は一般の人間ではないことは分かるが、銀髪が目立つトリア人の中で1人だけ夕焼けのような、橙色をしていれば彼が異国の人間であることはよく分かる。
腰には1つ大きな拳銃と背中に長い槍を装備。その拳銃は全く見たことのない特殊な形をしていて、使うことができるかを疑わせるものである。
騎士国家であるトリアで、ここまで王城の中に他国の人間を通すことは無いが、それがお互い雇用関係になるのであれば別であろう。
彼の名前は、レンス=エピ。ルフト王国の王で、彼自ら兵士をつれて、このトリアに来ているのである。
そのため、彼の腰についているのは、ルフト国国宝のスクロペトゥム・ミノーリス・モディー。雷の効果を持った拳銃なのである。
お金はあるが、空での行動力が弱いことをマストーは理解し、金銭に困っているルフトに声をかけたのである。
ルフトもこの戦いにエドワードの参戦のうわさを聞いて参加したのである。
「これでトリアは一気にドルツを落として覇権を取る。そうなれば、もちろんそのままラルフを攻め落としてそのままラルフはルフトにお渡しすることを約束しよう」
「しかし王よ。私はドルツの侵攻にラルフの参戦は聞いていたし、アレンの参加も聞いてはいたが、タニアの参加は聞いてはおらん。タニアは戦闘を好む国ではないはずだったが、大丈夫なのか?」
「正直杞憂はそこなのだ。タニアはどうも情報が少ない。いかにして、ドルツに無条件であの条約を飲ませたのか。ずっとドルツに侵攻されて、王族も逃げ出して大変な事態になっていたはずなのだが」
「なるほど、是非興味はある。この武器はめったに使えませんから、これを使えるだけの相手であることを祈りますよ」
マストーがどんどん鋭い目になっていくのに対し、レンスはどんどん笑顔になっていく。
「決して油断めされるな」
「平和ボケをしている国など恐れるに足りませんよ。私達は毎日生きるのに必死なのです。その差をみせつけてやりましょう」
そしてレンス自身もドラゴンに乗り、ドルツに向かっていった。




