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偏屈な召喚者は異世界でも変わらない  作者: 35
第10章 決戦編
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第6話 3階の試練 国宝の試練

「むー、さっきのやつ私全然活躍できなかった」


「……私もです」


「さっきの場合は、相手がコピー能力があったからな。ツン子のわけのわからん攻撃力と、耳折れの速度をコピーされたら困る。さっきの場合は、何もしないのがお前らの活躍だ」


二一はさっきの戦いに、歩、クレアロッテ、サリアンを参戦させなかった。


ジャンマリアがいても、受けるのに苦労したサリアンの攻撃力、速度だけなら二一でも対抗できない、素早さのあるクレアロッテ、そして、国宝を持ち、回復能力に長ける歩、この辺りをコピーされると、二一でも大苦戦は逃れられなかっただろう。


それもあって、和美と里香が先行して動いたのは、二一にとって都合はよかったのである。


「まぁお兄ちゃんがそういうなら」


「二一さんの言うことなら間違いないですよねです」


「二一ちゃんは間違えないからねっ」


ずっと黙っていた歩も笑顔で顔を振る。


歩は今回の戦いで、ほぼ手も口も出さなかった。


ずっと二一の後ろにいて、動きを見ていたのであり、二一が何かを言わずとも、彼の考えを察したのである。以心伝心である。


「お姉ちゃんはすごいよねー」


「二一さんとの付き合いが長いですからです」


普段もめやすい2人も、歩のことでは揉めない。彼女は二一のパーティの中でも少し上に見られている傾向がある。


「先輩、次こそは!」


そしてさらに張り切る和美。プラス思考である。


「……次は頑張って見せます……」


マイナス思考でも張り切る。里香である。


「誰がどこでどう活躍するかは、その場の状況次第だ。冷静になれよ」


「3階に来たな。さて次は」


3階に上がってくると、今度は大きく違う様子だった。


ドアがつあり、2つだけ離れたドアにはマークがなく、そのほかのドアには、1~7の数字が振ってあるあった。


「ドアに鍵が7つついてる……、ということは、そういうことかな」


「ドアに説明があります。入れるのは1人までみたいです」


「……えーと、1から槍、2に盾、3に魔術、4に斧、5に銃、6に剣、7に亜人と書いてあります」


「ここまで書いてあればなんとなくわかる。つまりそれぞれの国宝をうまく使って戦えってことだ」


「二一先輩! これなら俺も活躍できそうです!」


「……私頑張ります」


「この亜人の試練は私が行く!」


「私が行くんです」


明らかに活躍できそうな状況に、また2人が張り切る。


1つある亜人の試練は、クレアロッテとサリアンが取り合う。


「1度に入ると分らんから、個別に行くぞ。あと今回はツン子が行ってこい」


「やったー」


「二一さんが言うなら」


「すいません」


「……焦った」


一気に4人くらいドアに入りそうだったので、二一が咎める。


「まずは数字通りにしてみるか。プリンスやってみてくれ」


「先輩! わかりました!」


1のドアに和美が入る。


「さて、次の戦略を考えておくか」


内容こそわからない部分が多いが、3階ともなれば、これまで以上に大変な試練になることは予想できた。


「数字通りなら、盾の試練だから……」


「あのー若松先輩」


「ん?」


二一が戦略を立てようと全員を集めていると、和美が声をかけてきた。


「プリンス? ずいぶんはや……、ってボロボロじゃないか」


和美がドアに入ってから5分ほどしか経っていないのに、和美は数時間戦ったような姿で現れていた。


「和美さん! 大丈夫ですか!」


「回復するよっ」


里香がすぐに駆け寄り、歩が回復魔法をかける。


「大丈夫か?」


「これくらいなら……痛いだけですし……。ちゃんと鍵は取れましたよ」


右の握りこぶしから二一に鍵を渡した。


「ご苦労さんだ。じゃあ耳折れ。持っててくれ」


「え? 私がですかです?」


「耳折れ以外は戦闘の必要があるからな。鍵の管理をする必要がある。全く戦いに参加しないとすれば、耳折れかツン子だが、ツン子にそれを任せるのはちょっと心配だからな」


「わかりましたです! 管理は任せてくださいです!」


別に鍵を持っているだけなので難しいことでもないのだが、二一に明確に仕事を頼まれるというケースは珍しいので、クレアロッテとしてはうれしいようだ。


「プリンス、どうだった?」


「相手も槍使いでした。普通の槍では到底ダメージを与えることはできなくて、国宝の槍でやっとでした。一進一退の攻防でしたが、耐久制度にまさる国宝で倒すことができました。でもすいません、連戦は無理です」


「いや、十分だろう。とりあえず休んどけ」


和美は歩の治療を受けて、ケガと傷は治ったが、体力はかなり下がっていたため、すぐに眠ってしまった。


「さて、プリンスの戦いでいろいろ情報が入ったな。こっちとドアの中だと時間の経ち方が少し違うというのと、国宝がないとまともに戦うのも大変だってことと、相当体力を使うってことか」


「……若松君は大丈夫なの?」


国宝がないとまともに戦うのも大変だと考えると、国宝を3つ使える二一が3回戦わなければいけないことになるのである。


「まぁその辺はいいんだ。ちゃんと国宝を使えるプリンス達を連れてきて正解だったな」


「……私も頑張るから……」


そして、3階の試練を全員で攻略することになった。









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