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創設の放旅者 --ラウールヴァンデラード--  作者: 滝翔
2章 鎖が解くとき
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ライゴク王国国立ギルド ルランの真実


ここはライゴク王国のとある島から船で一日で着くか着かないかの近隣国【ヴァジュラ】

国王であるオーガと大臣のガタルゴが 魔法が主の職業となるように起こした企業がある

娯楽気分で創った会社がいつの間にか有名になり

中でも飛躍して成長を遂げた二つの会社を紹介しよう


一つは【地下闘技場】

誰でも参加可能で 勝てばファイトマネーという報酬を受け取ることが出来る

観客側の賭博による人気がヴァジュラの国外から得る収益の母体とも言えよう


そしてもう一つが【ギルド:オーガリング】

魔蛍操作を使える者を社員として迎え 依頼された仕事を請け負って達成して貰う

依頼の難易度と報酬が割に合わない仕事もあるが

基本自分が選べるシステムになっているので社内での苦情は出ない

ちなみにギルドの名前はオーガ自身が付けた


そのギルドに向かうルランの周囲にチラつくのは

既に何人かの社員が依頼を受けて出てったり

逆に帰って来たりしているという 出入り口は常に混雑していた


「お? ルラン!」


扉を開けたルランに一人の社員が走ってきて


「仕事行こうぜ!」


「うん…… どの依頼にする?」


ルランが聞くと その男に連れられて依頼の貼られたボードの前に立たせられた


「あれ?? ルラン帰って来てたの?」


カウンターの奥からやってきた一人の女性が近寄って


「またケルンと一緒に仕事行くの?」


「そうなんだ 何か良い仕事ない?」


ルランがボードを眺めていると ケルンが無邪気に指を差して言った


「たまにはSランクの奴なんてどう? あれとかさ」


ルランがその貼り紙を見た途端表情が変わった


「どうかしたのか? ルラン」


「いや…… 何でもない」


二人の間を割って入るかのように女性は笑って言った


「貴方達まだS級資格持ってないでしょ? 受けられる訳ないじゃない……」


「じゃあそろそろ認定証くれよキスティアさん~~」


「だーめ!! それは社長(マスター)が決める事」


「はぁ~~ぁ お前もそろそろ欲しいだろルラン……」



「…………」



二人の会話が耳に入っていないのか 

ルランはジッと貼り紙を見て呆然と立っている


「ルラン!!」


「……!? え?? 何??」


「どうした? S級の張り紙ジッと見て…… ハハ~ン やっぱお前も資格が欲しんだろ~~??」


「うん…… 出来るなら欲しいね……」



「ルランはまず筋肉付けた方がいいね よく魔蛍操作を習得出来たもんだって噂になってるよ?」



「この前なんかも体力切れて余計時間掛かったしな!!」


「アハハーー! ごめん……」


キスティアとケルンの両方から攻められ ルランは笑って誤魔化すしかなかった


「そうだ!! お前〝地下闘技場にでも〟出てみろよ!」


「…………」



「駄目駄目!! いくら纏蛍操作を覚えていてもルランじゃすぐ負けるのがオチよ」



キスティアのダメ出しにただ黙るルラン


「ひでぇよなぁ…… とりまルラン! B級辺りの仕事でも行こうぜ」


「うん」


ケルンに肩組みされながらルランは入り口へと向かって行った

二人を見送るキスティアは ふとルランが見ていた貼り紙をボードに戻す


「ルランが見てた依頼ね…… 『ガルバーク帝国 闘技場参加者求む』??」


キスティアはしばらく考え込む


ーー闘技場出たかったのかな? 悪いこと言っちゃったな……?




「受注終わったぜ! ルラン!!」


「こっちも準備終わった」


「ちゃんと酒持ったか?!」


「持ったよ……」


ケルンとルランはギルドの扉を開け放ち 依頼主のもとへと船に乗って海に出る


「目的地の島までまだ時間あるから休もうぜ」


「俺…… ちょっと海見て来る」


「海見て何楽しんだか…… 気を付けろよ」


「うん……」


ルランは部屋を出て外の甲板を歩いている そして木のマストに凭れて海を見ていた



「…………」



ーー記憶を変える魔法っていうのは都合が良いものだ

自分の理想の空間が作れる 孰れ世界中の人の記憶を操ってやろうとも考えた

思い通りになるのがこれほど快感だったなんて誰も知らない


これは俺だけの力 邪魔する者はいない

育った魔法都市の奴らもガルバーク帝国の奴らも そして〝奴らも〟

今となっては誰も俺を知る奴なんていないだろう


三年で全部消してやった

だけど不意にある事に気付く

僕が操ってた筈なのに現実では僕の存在が消えたことになっていたことを

この魔法は俺自身を殺していく魔法だってことに恐怖を覚えた


だから偶然辿り着いたヴァジュラの国で

地下闘技場の僕とギルドの僕とで別の自分を装う二人のルランを作ることでこの国に居ることにした


双方の施設の距離も国内ではある方だし 目的は二つの世界で英雄になることだ


何故一つの世界ではなく二つの世界でやるのか

ギルドでは友好的 地下闘技場では今通り狂人でいたいからだ


裏の顔をギルドで維持できるかの問題じゃない

同じ島の中で噂が立たれても困るから

基本地下に降りたら俺の魔法が発動するようになっている


この力には感謝している


何故そうまでしたいか? 自分の選んだ道 そう 今がとても幸せだからだ


十四年前 ドレイルと共に国を滅ぼす仕事を受けたときも楽しかった

でも今はもっとこう 信頼出来るケルンのような奴と離れたくないから

少し別の方向へと歩き出したいと思っている


ガルバークの件は悪いことしたとは思っていない

反省もしていない 良い人になったつもりもない


この世で本当の僕を知っているあの義手の王子様に出会ったとき

今の俺なら真っ向から挑んでやると思っている


他人の真実は変えても 自分の真実は変えない

十四年の月日で変わろうとも 心の奥の真実は変わらない



 〝真実の放旅者(トゥルー・ヴァンデラード)



そう生きるって決めたんだ



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