ロウラル諸島1 七大国VS革命軍
そして場所と時間はロウラル諸島に戻る
スカジが変身を遂げた霧水の番神から放たれる衝撃はロウラル諸島全域を震撼させ
会議室にいる王達は勿論のこと ましてや庭園にいる趙炎達は衝突寸前を目撃していた
「ここで来るのかよ!」
「どういうタイミングなんだよ革命軍さんよぉ!!」
地鳴りで揺れる庭園で必死に周りの物にしがみつく奴らとは別に
余裕で叫び合っているジンとルンウェイ
「革命軍……」
大地が揺れる中で趙炎は上を見上げた
そこには水の塊だったスカジの肉体が弾けて
まさに〝海そのもの〟が島全体を飲み込もうとしていた
「凍らせたら押し出せ! ルンウェイ!!」
「……あ~~はいはい」
およそ人間離れした脚力で上空へと飛んだゴートの向かう先は宙より襲ってくる海
手を前に出し 海水に触れた途端
「氷河が魅せる一瞬の景色」
海全体が凝結し氷塊へと変えた
「我が身に纏え〝万能癒神妃〟
如来神妃癒象・心筋強化 一心流 仏打の咆哮!!」
神衣を纏ったルンウェイがゴートの背後から現れ
精魂込めて放たれる気の塊が氷塊を島から外の海まで押し出す
「すごい…… 咄嗟に二人が出て行かなかったらどうなってたか……」
未熟さを感じる趙炎含め 警戒体勢に入る兵士達を革命軍は待ってくれない
氷塊になったスカジは新たに海を取り込み その巨大な身体を蘇らせる
それと同時に同じ規模を誇る巨人が二体 海底と空中に姿を現した
「神格化魔装 〝単眼の巨人〟」
一つ目の巨人 そして海底より現れたのは大地を肉体としたエヴァノールの大太坊神
島を囲む正三角形の陣形が七大国側の退路を断つ
「大胆だなぁ……」
「何がですか?」
地鳴りも収まり 起き上がるジンが三体の巨人を見てふと呟いた
「堂々と外から攻めるのも悪くないんだが……
今会議の中に内通者がいると思ったんだがな~~」
「……革命軍が既に潜伏していたってことですか?!」
「そういう情報は秘密裏に出回っていた
だが状況によってはあのデカい巨人共に注目を集めさせておいて
内部にいる奴らが王達の首を取る作戦かもな」
「あぁ…… 海賊の攻守奪還戦みたいなもんか」
突如として変な名前を言い出してきたのはマリだった
「海賊の攻守奪還戦?」
「海賊達の中でモノとモノを友好的に奪取する為に作られたゲームだ
フィールドは島一つをある特定の形にして行う
一般でよくあるボードゲームのようにマスを決めてコマを決める
この場合駒は人間だな
獲物を中央に飾るとして その周りを所有していた代表者を中心とした味方側が囲い
敵側が攻め込んで欲しい宝を奪うっていうのが観客から見る背景だ
マスは現状把握に使われる 魔蛍の力を使える者によって敵が何処にいるか感知できるからな
だから中立側 開催運営側が魔蛍操作習得絶対って訳だ
ゲームの全容はこれくらいで そんな海賊のゲームにイカサマもズルも無いんだが
相手のチームから裏切り者を雇う〝カキノタネ戦法〟ってのがあって
今の状況がまさにそれだってことだなぁ
稀だが相手のチームを代表者除いて全員買収する〝ピーナッツ戦法〟ってのもある
よっぽど代表者が馬鹿で勘の鈍い野郎じゃなきゃ成功しないがな まぁドSな奴らは盛り上がる」
「へ~~って説明してる場合ですか?! 要は王達が危ないってことですよね?!」
ジンがゲームの説明しているそばでバカ正直に聞いていた趙炎はハッと我に返る
「まぁこんな遊び半分の戦略を立てた柿ピー野郎も気になるが
普通の兵士があの巨人を抑えられるかどうかも考えねぇとな?」
趙炎も気付く 兵が束になっても敵う相手かどうかと
「要は俺ら頼みだろ?」
宙から降りて来る神衣を纏ったルンウェイと
「グルルルルゥ……」
「っ!!」
背筋まで伸びる焦げ茶色の鬣
全身に生える剣山の如く鋭い体毛が威圧的で
その魔獣から恐怖という概念を覚えさせられた
「戦闘モードだなぁゴート!!」
「当たり前だ…… 神格化魔装は人間が束になったところで勝てはしない」
趙炎達の背後から集団の雄叫びが聞こえる
「つっても王を守るのがアイツらの務めだからなぁ~~」
配置からしてライゴク王国の兵士達
それぞれが既に臨戦態勢を整えて大地の塊で出来たエヴァノールへと攻め入る
「…………」
その大地の身体は鈍く地響きを立てて 腕の部位を大空に掲げた
「さてゴートさん…… アンタだけで止めるか?」
「ナメて貰っては困る」
腹と四つ足で踏ん張りを決めるゴートは構えを取る
すると彼の前に趙炎が立ちはだかった
「……? どうした趙炎?」
「俺が奴の片腕を落とします」
「!!?」
趙炎は槍を構え 神衣を纏う
「夜の食国と海原を統治する三貴神の其方よ
我が身に纏え 生弓天照神」
槍に力を込め 宙を駆け上がる趙炎は風を切る速さを誇った
「神級魔法!! 生弓天照神の草薙!!!!」
まさに蒼穹を翔ける一直線に伸びる甲矢
一貫としたその真っ直ぐな攻撃は大太坊神の肩を突き破った
「何だお前〝全身魔装〟使えたのかよ」
「えぇ…… まだまだ未熟ですが……」
戻ってきた趙炎の背中をジンはバシバシ叩く
「スゥーー……」
魔獣と化したゴートが息を止めると
「耳塞げ~~」
ーー破音!!!!
爆音の比ではない衝撃波が空中を走ってエヴァノールの右肩にトドメを刺す
右腕は後ろの海へと押し飛ばされた
「「「「「 よっしゃぁーー!!!! 」」」」」
およそ絶望的な相手側の巨大な攻撃を二つも防いだジン達は
既に始まっている革命軍との戦争の最中 幼さをも感じる盛り上がりを見せた




