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趙炎の自宅1 お転婆なあの娘


趙炎は恐る恐る自宅の扉を開ける その瞬間大きな鍋が飛んできた


「おっそぉぉぉぉい!!」


趙炎はその場で尻餅を着ける

近くで見ている関平を抱いた関尾の奥さんはまるでいつもの事のように高笑いしていた


「相変わらず何するんだ…… 孤橋!!」


自宅の奥に構えるは先程洛華で会った孤橋だった


「もう待って七時間!! なんでこんな夜明けに帰ってくるわけ?!」


「関尾さん達が祝杯を開いてくれてたんだ 当然だろ!?」


「あっそぅ!! 私の料理が不味いから別にどうでもいいと?! そうですかぁ!!」


孤橋はそっぽを向いて台所へと大きな足音を立てながら消えていった

趙炎は溜息を吐いてゆっくりと置き上り

地面に落ちた愛用の槍と身に装着する鎧を一纏めにしていた荷物を蔵に片づけると

自宅に入り居間の方へと足を運んだ すると趙炎は見慣れない状況に驚く


「……?! 誰だ?」


そこには狐のような耳が生えた二人の娘がそこに座っていたのだ


「ミョウコとヤコよ! 二人とも私の側近なの」


料理を盛り付けた皿を運んできた孤橋はテーブルに置くなり紹介し始める


「こっちの明るい髪の色の子がミョウコ! そしてこっちの藍色の髪の子がヤコでぇす!」


手のひらで指される度に二人はペコリと頭を下げた


「いつ側近にしたんだ…… んで(まき)は?」


「巻は城の私の寝室の前で恰も私が寝てますよと装ってくれているわ!」


ーーいつになく大変だな…… あの人は……


趙炎は何も言えない表情でその場に座り 皿を運んでくる孤橋を見上げる


「なぁ…… お前ももう昔のように自由に出来る立場じゃないだろう?」


「っ…… な…… 何よ急に……」


「急じゃない お前がここに出入りしてることがバレたら俺や……

おばさんにも迷惑が掛かる 分かるだろ?」


「…………」


趙炎の厳しい一言に孤橋は黙ってしまい 何も言わないで台所に行ってしまった



「ハァ……」



「最低……」


「人で無し……」


突如として先程から座っていたミョウコとヤコが揃って口を開く


「な…… なんだよ……」


「趙炎殿は孤橋様のお気持ちをご理解出来ないのですか?」


「長く付き合っていてその程度なんですね……」


「うっ……!!」



ーー分かってる 今台所にいる孤橋が司馬孤橋ではなく〝孫孤橋〟の方だってことくらい……



少し言い過ぎたと自覚する趙炎はふと顔を上げると 自分を睨む二人の側近に気まずさを覚えた


「わかった謝るよ!」


趙炎は立ち上がって台所の方へと向かった

ひっそりと覗き込むと孤橋はただ料理を作っている

趙炎が近寄ろうとしたとき ドアを叩く音がタイミング悪く鳴り響いた


「あぁ……」


「「 あぁーーぁ…… 」」


実行力が見事に打ちのめされた趙炎はドアの方へと向かい

その姿を見ていたミョウコとヤコは深い溜息を漏らす

密かにそれを見ていた孤橋はクスクスと笑っていた

趙炎が扉を開けると そこには予想外な人物が立っていた


妖雷(フォーライ)さん?!!」


「よぉ…… 久しぶりだなぁ趙炎!!」


妖雷の名前が出た時 後ろにいた三人も驚いて玄関の方を見た

漢の国の裏社会を牛耳る組織火女桜の現若頭を務めるのが彼なのだから


「……何用であなた自ら?」


「夜明け前にする話でもねぇが……

お前が帰って来るのはこの時間帯だって聞いててな 上がっても良いか?」


「え? いや…… その……」


顔色が悪い趙炎の表情を窺ったかのような 妖雷は家の中を覗く


「大国の第七皇女様か…… いつまでも仲が良いなぁお前ら」


「……どうぞ 中へ」


妖雷を自宅の中へと迎え入れた

居間に四人という状況の中 周りの気まずい空気をも無視して妖雷は話し出す


「飯の途中だったのか?」


「あっはい……」


「……なら食ってからだな」


妖雷は既にテーブルの上に置かれていた孤橋の手料理を一口分摘まんで口の中へと運んだ


「んん…… 美味い お前らも食えよ!?」


「はい……」


趙炎と側近のミョウコとヤコも次々と料理に箸を近付ける

孤橋も嬉しそうに料理を運んできた


「それにしても…… なんだって喧嘩してたんだ?」


「うっ…… 何故それを?」


「外からそんな言い合いがだだ漏れだったぞ? 近くに住んでる女も心配そうに見てたしな」


「…………」


黙って顔を下に向ける趙炎の背中を 妖雷は裏仕事で活かしている腕力で思いっきり叩いた


「痛っっっ!!!」


その音にミョウコとヤコもビクッとなって耳から何まで震えていた


「いらねぇ空気は作るんじゃねぇよ…… さっさと謝って来い!!」


「は…… はい!!」


丁度居間にやってきた孤橋に趙炎はまるで戦場にいるかのように瞬時に立ち上がる


「孤…… 孤橋!!」


「えっ!? あ…… はい!」


「さっきは悪かった…… 言い過ぎた」


「あぁ~~ うん! 気にしてない」


そう言って彼女は持ってきた料理をテーブルに置いてその場に座る


「さて…… 私も食べようっと!」


ミョウコとヤコの受け皿に盛り付け始める彼女を前に 突っ立ってる趙炎に妖雷は怒鳴る


「何してんだお前…… 早く座れ!!」


「はっ…… はい!!」


言われるがままの趙炎に女性三人は微かな笑みを見せながら食べていた

何故か妖雷も一緒に食卓に参加していることを疑問に思いつつも

趙炎は座って目の前の料理に手を付ける


「……美味しい」


「そう? 私的には今日の料理に満点は付けられないけど?」


「自分に厳しいな……」


「なによ~~ 頑固で悪かったわね!」


「言ってないだろ…… そんなこと」


何で悪い空気を作ろうとするのかと食べながら思う他三名の不満オーラを趙炎と孤橋は感じ取り

ここぞとばかりに口を揃って言葉が出た


「「 ごめんなさい 」」


そんな二人を食事の間の一興として三人は楽しんでいたのだ



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