表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
124/205

大国漢の国 首都洛華3 燭の豪傑達


洛華の城市には飲食店などが多く並ぶ街道が多数存在し

夜になれば灯りが島全体を照らす歓楽街となる

趙炎と関尾はよく二人で来る店に入り 席へと座った


「さぁ好きな物を頼め!」


「はい!」


関尾に向ける趙炎の遠慮は皆無だった

幼少より面倒を見てくれた彼は親のいない趙炎にとって父親同然

他人行儀の良い趙炎を見れば どれだけ彼を信用しているかが分かる

テーブルに次々と並べられる漢の国の郷土料理

その中心に一際目立つ魚料理が大皿に乗って置かれた


「今日取れた高麗桂花魚コウライケツギョを蒸したものです」


上質な肉質の細かいところまで旨味が行き届き

全身にはしつこくない程度の脂が魚自身食用だと告げんばかりに主張されている


「部位に差別が無い魚だ…… 俺の好物覚えていてくれたのか?」


「いやぁ…… たまたまですよ」


店の店主が照れ臭そうに言うと 奥から奥さんらしき人が現れて


「関尾様が帰って来ると知って今日慌てて釣り上げて来たんですよ……」


「ばっ……!? 余計な事を言うんじゃない!!」


二人の会話に関尾と趙炎は思わず高笑いする

恥ずかしがる旦那と仕方ないなという顔を見せる二人の光景に周りの客にも温もりを運んだ


「して趙炎…… お前飯が進んでないぞ?」


「これが普通ですが?」


趙炎の手元には小皿に盛られたつまみ用の金辛きむちが持たれている

それをよく思わない関尾は店主にあるものを頼んだ


「いつものですね?」


「あぁ頼む」


店主が棚から持ってきたのは関尾の名前が書かれてある札がぶら下がった酒だった

桃酒(タオジョオウ)〟と書かれたその瓶を コップ二つと一緒にテーブルに置く


「今回は飲んで貰うぞ」


「俺…… 酒駄目なんですってば……」


引き気味で遠慮する趙炎だが あまりの押しに二十一の歳でコップに手を付けた


ーー仕方ない


まるで目の前の男と同じ渋い表情で一気に飲み干す趙炎の顔はさらに渋さを増した


「アッハッハッハ!! 傑作だな趙炎!!」


店の前から聞こえてくる 笑い顔が似合う男が趙炎の渋い顔に爆笑していた


「おぉ遅かったな張車(ちょうじゃ)!!」


大きな矛を店の前に置き 強引に趙炎の隣に座る燭の将張車

ただでさえ並べられた数多くの料理があるにも関わらず追加で注文する彼に

咽せる趙炎はドン引いていた


「あとは兄者だけだなぁ!!」


「そろそろ来る時間だ 気長に待とうぞ」


「おっ!! 桃酒じゃねぇか!! 懐かしいな!!」


「??」


疑問に思う趙炎に関尾は教える


「この酒はな…… 我等と劉徳りゅうとくとの三人が兄弟盃を交わした時に用いれた酒なんだ」


「桃園で誓った事は忘れねぇぜ!! 関尾!!」


「当たり前だ 三人が互いに忠誠を誓う結義は今でも覚えている」


突如店中に大きな音が鳴る その正体は関尾の発言の後に起こっていた


「忠誠!!? ふざけんな!!」


まだ酒も飲んでいない張車が関尾の胸ぐらを掴む


「っ……?!」


趙炎も突然の出来事に対応出来ずにいた


「兄弟盃って何度も言ってるよな?! 従う従えさせるじゃねぇ!!

俺はそんなもん交わした覚えはねぇぞ!!!」


「生死を共にすることを宣言しただろ? 友情だの……

遊びで交わしたものでは無いと真剣に決めた筈だ!!」


「この分からず屋が……」



「その辺にしとけ…… せっかく気分が良くなっている客にも迷惑だ」



張車の肩を優しく掴む男が澄んだ目で彼を落ち着かせた


「あぁ…… 俺が悪かった」


「ありがとう兄者」


最後の待ち人である燭の将劉徳が席に座ると目の前に置かれていた金辛を一つ口にする


「辛っ!! だがこの店の野菜はいつも美味だ」


「遅かったじゃねぇか?」


「官僚だからな…… 時間はいつもギリギリの行動

時にはこうして遅れることもある…… すまないな」


「我等のような戦を考える事に加えて兄者は大国の政治にも関わっている 誠に立派な事よ」


趙炎が座る席で話し合う三武将 劉徳・関尾・張車

この三人は現在の燭の軍を纏める言わばトップ3に位置する将軍達なのだ

故に周りにいる客達からも尊敬の眼差しを集めている

しかし武力国家に置いて尊敬は侮辱の範囲に入るのか 恐怖を感じさせるのが正しいのではないのか

その疑問符に応えるのが今の時代だ

〝手を取り合って生きていく〟 司馬忠達から司馬艶に渡って伝えられる思想

統率の前提に置いて考えるのは戦争ではなく文化

大国の朝廷は勿論のこと将軍達もその考えを推進している

強引な暴力行為は国を滅ぼすだけだという常識を後世に受け継ぐ政経をしてきたのだ

結果 文化を強くしようとする上の行いは国民に支持されて当然

特に燭軍は本土を含め領界内部の傘下国の発展に貢献し

その実行者の先頭を行く三人が一般の店に来れている

有名人のような扱いをされるのは無理もない


時間も進み 酒も進む

張車を筆頭にその店を含む周りの人々は今日だけの為に溜めこんでいたのか 全力で盛り上がってた

祭り事の様な空気を誰一人として間違いとは思わずただ只管に叫ぶ


「この国は変わる 武力を主張し合い 争うだけの国ではない」


外で中心に立って騒ぐ張車を見ていた三人の内の劉徳がふと呟いた


「彼奴を見て言ったのならば些か心配じゃなぁ兄者」


「でも…… 楽しいですよね」


「……間違いではないな」


冗談混じりの不安を抱いていた関尾だったが

趙炎の正直な言葉にその場の二人は安堵な表情で張車を見ていた



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ