27/84
笑い合う
ルシアは猫を撫でながら、ふと顔を上げた。
「カイル様」
「うん?」
「この子、覚えてるんですね」
「僕より、ルシアのほうを覚えてるんじゃないかな」
「そうでしょうか」
猫はルシアの足元で丸くなり、気持ちよさそうに目を細めている。
「……かわいい」
ルシアが笑う。
カイルはそんなルシアを見ながら、静かに本を閉じた。
「ルシア」
「はい?」
「今日は、日記は?」
「あ……」
ルシアは胸元に抱えていた交換日記を思い出す。
「持ってきています」
「じゃあ、後で読ませてもらおうかな」
「はい」
ルシアは日記をカイルへ渡す。
カイルは受け取り、いつものように大切そうに膝の上へ置いた。
その横で猫が「にゃあ」と鳴く。
二人は顔を見合わせて、同時に小さく笑った。




