朝食のお世話
朝。
ルシアがいつもの仕事を始めようとしていると、侍女長から呼び止められた。
「ルシア」
「はい」
振り返ると、侍女長が立っていた。
「今日は少し仕事を変えてもらいます」
「はい?」
「今日は侍女が何人かお休みなのです」
侍女長は落ち着いた口調で続ける。
「そのため、あなたには第一王子殿下と第二王子殿下の朝食のお世話に入ってもらいます」
「……私が、ですか?」
「ええ。先輩侍女五名と一緒ですから、指示に従ってください」
「はい……」
返事をしたものの、ルシアの胸は一気に緊張でいっぱいになった。
第一王子殿下。
そして、第二王子殿下。
今まで遠くから姿を見かけることさえほとんどなかった方々だ。
粗相をしたらどうしよう。
食器を落としたら?
何か間違えたら?
そんなことばかり考えてしまう。
「緊張しているようですね」
「はい……。王子殿下のお世話は初めてなので」
「先輩たちが一緒です。落ち着いて仕事をしてください」
「分かりました」
ルシアは深く息を吸った。
そして先輩侍女たちとともに、朝食の間へ向かった。
廊下を歩く間も、緊張はなかなか抜けない。
やがて、食事の間の前に到着する。
「入りましょう」
扉が開かれた。
ルシアは先輩侍女たちの後に続いて、中へ入る。
広い食事の間。
長い食卓。
その席には、すでに第一王子殿下が座っていた。
「おはようございます、第一王子殿下」
侍女たちが一斉に頭を下げる。
ルシアも慌てて頭を下げた。
「おはようございます」
第一王子殿下が静かに返す。
ルシアは少しだけ顔を上げる。
――落ち着いて。
今日は仕事。
そう自分に言い聞かせながら、第二王子殿下を迎える準備を始めた。
しばらくすると、廊下から足音が聞こえてきた。
「第二王子殿下がお見えです」
その声を聞いた瞬間、ルシアの背筋がぴんと伸びる。
まもなく扉が開いた。
そして――
一人の青年が、静かに食事の間へ入ってきた。




