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 私の好きな人は、皆に怖がられている。

 

 ある人はヤンキーだと言う。

 

 ある人は女癖が悪いと言う。




 けれど私は知っているのだ。


 彼は言うほど怖くもなければ、ものすごく押しに弱いことを。







 私の好きな人、高野幹人君は私のことをこう表現した。


『欠食児童』


 私は高校生であるので、児童というよりは生徒という方が正しいのではないか、と抗議したところ、発育が小学4年で止まっているので間違っていないと言われた。


 高野君がそういうのも無理はないと思う。

 身長も体重も小学生並だし、私はいつも空腹だ。


 記憶の中の私は、いつだってお腹を空かせていた。

 家が貧乏なわけではない。むしろ生活水準は高い方だと思う。

 だがしかし、悲しいことにどうやら私は育児放棄されていたらしい。


 中学の時に発育の悪さを不審に思った養護教諭に言われて知った。


 私は二人兄弟の長女なのだが、確かに私だけ扱いが違った。


 ご飯は弟の残りだったし、お風呂は母の機嫌のよい時だけ許された。


 母に触れられたことはないし、父と話したこともなかった。



 けれどそのことを別段気にしたことはなかったのも事実だ。中学まで気づかなかったくらいなわけで。







 そんな、少しばかり特殊な家庭環境の私が高野君と出会ったのは、スーパーのお総菜コーナーの前だった。




 





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