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Q19 魔法のかかった学生寮?

 




「う~ん、学生寮ってのは何処にあるのかな~」


「確かあそこの角を右に曲がって、それから――」


 俺とルインはレガルド学園長との面会を終えて、林の中にあるプライレス学園の学生寮に向かっていた。まわりはもうすっかり暗くなってしまっている。


 学園の寮は二人一部屋の作りで、基本的に王族だろうが貴族だろうが平民だろうが関係なく部屋の割り当てがされることになっている。が、やはりそういうのが気に食わないものもいるのは事実なので、そこらへんはある程度配慮されている。


 友好国同士の王族を同室にしてさらに両国の親交を深めるために、国同士で学園に要請を飛ばすのも珍しくない。それはその他の貴族もしかりである。


 しかしこれには学園に対してある程度融通をきかせられるぐらいの何かが必要である。例えば、同盟を組んでいる相手だったり、援助や寄付を行っていたりだ。


 あと、()()()とか()()()()()()とか言われるようなやつもそれに当てはまる。


 そのため、平民なんかはよほど裕福でもない限りそんなことはできない。


 ちなみに、パンゲア王国(うち)もどこかの国とやっていたはずである。ルインは確か、魔法魔術国家マーリンのお姫様と同室で、俺は武装国家ギガイア帝国の男爵家のものだったはずだ。



(はてさてどんな奴なのか……めんどくさそうなのは遠慮したいが……)


「あ、見えてきた! あれかな!」


 その建物は白い壁と赤い屋根が特徴のセンスのいい美しい建物だった。1棟5階建てぐらいの大きな建物が横に大きく離れて2列、縦にはおそらく10棟ぐらいの数がが整然と規則正しく並んでいた。


 ここからでもまだ距離があるらしく、さらに道が二股に分かれていた。その分かれ道の真ん中あたりにでかい看板が配置しており、そこにそれぞれの生徒の寮部屋番号が記載されていた。


「確か、右が男子寮で左が女子寮だったな」


「思ったよりも少ないんだね。この学校ってかなりの数の人がいるはずなのに」


 確かにこれでは合計20棟の寮の中に数千人以上の人間が入っていることになってしまう


「ふむ……これは空間魔法が使われているな。それもかなり高度な奴」


「あ、そういえばお父さんがそんなことを言っていたようななかったような」


 これでは外からの見た目の印象は当てにならない。寮の中はいったいどうなっているのだろう。


「それじゃ、行ってくるねライ君」


 ルインは辛抱たまらんといった感じでそう言った。興味津々のようだ。


「ああ、……確か、同室の子はマーリンのお姫様だろう? 仲良くなれるといいな」


「うん! 行ってきます!」


 ルインは元気にそう言うと一瞬で寮番号を確認して走っていった。


「転ぶんじゃないぞー」


「転ばないよー!」


 そう叫んだルインの姿は、あっという間に木々の向こうに消えてしまった。


「元気な奴だな……」


 馬車の中ではあんなにぐっすりと眠っていたのに、子供のようだ。


「さてと、俺も行くかな」




 ◆ ◆ ◆




 男性寮の前に張り出していた紙を見て自分の行くべき寮を確認してから――それだけでもかなり大変だった――俺はその番号の寮に向かって歩いていた。


「7‐4‐32……多分、7番棟の4階の32番目の部屋っていうことか?」


 見た目にはそんなに部屋があるように見えなかったが、そう見えなくさせるのが空間魔法なのだ。気にしたら負けである。


 それにしても、ルインはよくあんな一瞬でこの大量に羅列した部屋番号の中から自分のを見つけられたな。一棟五階とはいえ、一階につき100部屋あったぞ。


「……まあ、そういうやつだからな」


 気にしたら負けである。


 そのままテクテクと歩いて行くと、とうとう7番目の寮にたどり着いた。一つ一つがなかなか大きいので、ここまで来るのにも結構歩いてしまった。


「とりあえず入るか」


 そして俺は玄関のドアを開けて中に入った。


 寮のエントランスは広々とした空間になっていて、赤い絨毯が敷かれている。エントランスの両端にはそれぞれ螺旋階段が設置されていて、真ん中にはおそらく寮母さんだと思われるおばさんが窓口の奥に座っている。


「ん? ……あぁ、あなた新入生のライアス・レオ・アダマスクさんでしょ?」


 そのおばさんは自己紹介もしていない初対面の俺の名前を呼んできた。


「あっはっは、驚かしちまったようだねぇ。あんたのことは学園長から連絡が来てるよ。ちょっと遅れてくる生徒がいるってね」


「な、なるほど……」


「それはそうと、あんた。部屋番号は?」


「7‐4‐32です」


「それなら左の階段を昇るといいよ。そっちのほうが多少近いからね」


「ありがとうございます」


 そう礼を言いつつ右の階段に向かうと、寮母のおばさんはニヤニヤしながらこちらに話しかけてきた。


「あんたのお姫様だけど。さっき盛大にすっころんじまってたから、後で心配してやるんだよ」


「!?」


 その発言の根拠を聞こうと階段を昇る足を止めてしまいそうになったが、寮母さんが笑顔で手を振ってきたので、取り合えず会釈をして昇って行った。


「どういうことだ?」


 突然の謎発言にかなり困惑していたが、あれこれ考えているうちにいつの間にか4階にたどり着いてしまった。


 階の構造としては、2つの部屋が廊下を挟んで向かい合うようにあり、それが100部屋分続いている。1と書かれた部屋と2と書かれた部屋が向かい合わせになって続いているので、反対側では100と99の部屋が向かい合っているのだろう。


 よく見るとあちら側にも階段があるようだ。おそらく空間魔法によって圧縮されているのだろう。なるほど確かに左からのほうが近い。


 あまりの技術の高さに感心しながら歩いていき、ついに俺は32番部屋に到着した。


「俺の同室の奴はギガイアの貴族か……」


 このドアの向こうにいるであろう人間がどんな人物なのか想像しつつ、俺はノブをつかんだ。



 ガンッ



 そしてドアノブはひとりでにひねられ、勢いよく開いた扉に俺は額を強打された。



「ぐおぉぉ……」


「……あっ、やべ」





お久しぶりです。遅れた理由は端的に言えばPCぶっ壊れです。 つまり、僕のせいじゃない。OK?

……すいません、詳しいことは活動報告に書いてるので良ければ見てください。いろいろ変更した点も書いてます。

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