Q9 勇者は何と言いますか?
少し遅れましたすいません。
後、自分最近やっと三点リーダとダッシュの使い方を知りました。前に投稿した奴にも大幅に再編集したので、おかしいとこがあったら感想等で教えてください。できれば解決策込みで。よろしくお願いします。
そして、俺と勇者は何も会話をせずに、王家の庭に向かった。
「あそこに座ろう」
そう勇者に誘われ、俺と勇者は庭の真ん中にあるテラスのベンチに座った。
そのまましばらく沈黙していたが、俺は意を決して口を開いた。
「なあ、勇者―――」
「勇者じゃない」
「――――なに?」
「ちゃんと名前で呼んでよ、『あの』ときみたいに」
『あの』とき……勇者が俺を倒したときか。
「……分かった、ルイン」
「ふふふ、やっと名前で呼んでくれたね。ライアス」
「そんなことはどうでもいい。俺はお前の目的を聞きに来たんだ」
「目的?そんなもの無いよ?」
「――――――――は?」
なに?無いだと?
「ならなぜこんな……俺と婚約するなんてことをしたんだ」
「何故も何も、私がしたかったからだけど?」
「はあ?」
ますます意味が分からない、どういうことだ。
「もう、……言わないと伝わらないのかなぁ」
「あぁ、分からん。さっさと言え」
「デリカシーないなぁもう……わかった、言うよ。恥ずかしいけど」
すると勇者は深呼吸をして、覚悟をきめたって感じの顔をしてから言った。
「私――――」
「君のことが、好きです」
「だから改めて、私の婚約者になってください」
―――――――――え?
「今、なんて……」
「あーもう恥ずかしいっ! 一回だけだからね!」
いや一回だけもなにも…………え?
俺のことが好きだって? 勇者が、魔王のことを?
何言ってんだこいつ」
「ひどい! 君が言えっていったから言ったのに!」
しまった。声に出てたか。
「す、すまんすまん。謝るからって、痛っ。おい殴るな」
「バーカバーカ!」
あ、これ話聞いてくれないやつだ。
……とりあえず聞けるような状態になるまで待つか。
それからしばらくして…………
「落ち着いたか?」
「う……ごめん」
「もういい。それよりも本当なのか、俺を好きだってのは」
「本当だよ」
「いつから」
「……前世で戦った時から?」
殺し合いをしている相手のことを好きになるとは、なかなか変わったご趣味だと思ったが。それよりも。
「なんで疑問形なんだ」
「だって、人を好きになるなんて今までなかったから……」
「そんなもん俺にもない」
「え、そうなの? 魔王だったんだから何人もの女の人を侍らせてたりしてたんじゃないの?」
「誰がするか!!」
第一、仮にやってたとしてもすぐにでも逃げ出されるわ!!
…………自分で言ってて悲しくなってきたな。
「へ~そうなんだ~。うんうん、よかったよかった」
「よかったってお前、馬鹿にしてるのか」
「そんなことないよ。……自分の好きな人がそんな事やってたらいやでしょ?」
…………つまるところあれか。
「嫉妬か」
「ギクッ」
なかなかかわいいとこもあるじゃないか。
「そ、それで! 返事は!?」
「返事?」
「こ、告白したでしょ!」
「あぁ、それか……」
「……やっぱりだめだよね、うん、わかってたけどさ、私たちはもともと敵同士なわけだし――」
「いいぞ」
「――――へ?」
なに呆けた顔してるんだこいつは。
「い、いいの?」
「なにがだ」
「だ、だって私たち魔王と勇者――」
「『前』はな。今は違うだろ」
「……あ」
「それに、俺自身お前のことに興味があるからな」
「あぅぅ」
そう言って、勇者……ルインは赤い顔を手で隠してうずくまってしまった。
フフフ。面白い奴だな、こいつ。
「そうだルイン、まだお前に聞きたいことがあるんだった」
「…………にゃに」
「なぜ俺とお前が同じ世界の、同じ時代に生まれたかってことだ」
「……ああ、そのことか」
やはりルインは何か知っているようだ。
ルインは真面目な顔をして立ちあがり、おもむろに答えた。
「実はね―――」
「私、死んだときに神様にあったんだ」
――――――――もう俺は驚かんぞ。