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白狐のミソロジー  作者: ヴァイス
末裔の白狐
19/43

最近の森おかしくない?

「ヴモォオオオオオッ!」


 私は振り下ろされる木の棍を右に半歩踏み出して躱す。


 棍を振り下ろしてきたのは豚の頭とデップリ太った体。はい、オークです。


=====================================

オーク Lv78 ♂


生命:1563/1563

魔力:149/149

物攻:573

物耐:347

魔攻:103

魔耐:101

敏捷:216

魅力:0

運:30


スキル

【棍術】


適性魔法

なし


称号

【女人の敵】

=====================================


 初めて看破した時は笑ったね。だって、パラメータの個体差はある。けど、どのオークも魅力0だもん。えぇ、それはもうお腹を抱えて大笑いしましたとも。しかも、称号の【女人の敵】って。


【女人の敵】・・・・・・全ての人族の女が嫌う者に与えられる称号。


 プラス効果もなしよ? もし人族がこんな称号持ってたら関わりたくないわぁ。


 ちなみに、私がこんなどうでもいい思考できるのはオークが敵じゃないからです。


 振り下ろされた棍は地面に当たり、その場所で若干土に埋もれる。


 棍を抜く時の一瞬の硬直。私にはそれで十分過ぎる。


 踏み込んで狐刀で一斬。


 それだけでオークは絶命し、ドロップアイテムが現れる。


「やっぱ弱いわね」


 オークは一撃の破壊力こそあるけど、鈍重だから倒すの簡単なのよね。対策の「た」の字すらいらない。


 私はドロップしたオーク肉を収納にしまってその場を後にする。


 これで今日もオーク肉が大量だわ。


 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。


 いい加減にしろし。オークどんだけ出んのよ? 最近の森おかしくない?


 マーズ大森林に巣くう魔物は基本的に領域を持っている。言い換えれば縄張り。それが最近というか、ここ数日おかしいのよ。どの魔物の領域に行ってもいるのはオークだけ。

 領域に入って探せばすぐ見つかるはずのホワイトレオパードやその他大勢の魔物たちが忽然と姿を消してオークばかりが跋扈するようになったのよ。

 おかげで、ここ数日の狩りの成果は〔オーク肉×たくさん〕よ。それはココも他の狩りに出ている人たちも同じだった。つまり、この森に異常が起こっているということ。


 そのことについて緊急の会議が開かれたのよ。


~~~~~数時間前


 会議の席には神子様と側仕えのマスカさんとリラさん。私のお父さん。後、村の中で私やココがいる側とは反対の位置にある家の人でアンリさん。そして、私とココ。

 アンリさんは栗色の髪に狐耳。髪は肩口で揃えられている。常に目を瞑っていてどんな瞳をしているのかは分からないけど、顔立ちはかなり整っている。ていうか作り物めいた顔立ちなのよね。目を常に瞑っているのもそれに拍車を掛けてる。看破はしない。敵に回しそう。そんで厄介そう。

 マスカさんとリラさん以外の五人は席に着いて、二人は神子様の後ろに控えていた。


「さて、急な呼びかけに応じてもらってありがとう」


 神子様がそう言って話し合いが始まる。


「まず、今ここにいる者たちについての説明じゃな」


 それは私とココも気になってた。ココは着席してるのにココの両親は立って控えてる。それに、お父さんが同席してるのも不思議だった。いや、私たちが本来この場にいるべきじゃないと思うけど。


「今この場におるのは、狐人族の中でも指折りの実力者たちじゃ」


 なんとビックリ。私とココは狐人の中ではトップクラスの実力者らしい。

 いやまあ、私とココなら武術が甘くてもステータスゴリ押しで大概何とかなる状況だからね今。尤も、その高いステータスのせいで武術系のスキルが未完全なわけだけど。だって魔法ならともかく、刀で斬っちゃったら魔物とか一発で死んじゃうんだもん。


 それはさておき、お父さんが指折りの実力者だっていうのはビックリだった。いつもほっぺすりすりで撃退しちゃってるからそんなに強いっていう印象がなかっただけか。私には見る目がないってことかな?


 どんな世界でもそうだけど、実力っていうのはただ力を振るうだけじゃない。その力をどう使っていくかを含めて実力なのよね。それを考えれば、魔法の鍛練を毎日して実力をつけてるココはともかく、ステータスゴリ押しが強い私がこの場にいるのは相応しくないと思うのよね。


 話逸れたわね。まあともかく、この場に呼ばれた以上は話し合いに入っていかないと。


「さて、そんな実力者たちを集めたのは最近の森に異変が起きておるからじゃ」


 時期的に考えてそれしかないわよね。


「最近、森にはオークがよく出没するようになった。しかも、他の魔物の領域まで踏み込んでおる」

「その原因は何でしょうか?」


 神子様にお父さんが聞く。


「ふむ。今日はそれを調べてもらおうと招集をかけたのじゃ」


 調査か。まあ、原因に心当たりはあるけどね。過去にも似たようなことが何回も起こってるし。ただ、最悪のパターンだった場合にはすぐに対策をとる必要がある。そのための調査ね。


「この調査は今後の動きに大きく関わってくる。故に、慎重かつ迅速に調査を進めてくれ」


 神子様の言葉に全員が頷く。


 以上、会議終了。神子様とお父さん以外喋ってないけど。ってか短い。


~~~~~~~~~~~~~~~


 という感じで調査に出て、今は適当に狩りをしながら進んでるのよ。


 ただ、オーク狩りは食糧確保だけじゃなくて間引きの意味合いも強いけどね。放置したら生態系が崩れちゃうのよ。

 オークは確かに弱いけど、それが数多くなって群れになったら脅威になる。食糧が無くなると周りの村とかを襲って強奪するし、女の人も連れていかれる。どうなるかは言わずもがな。


 そこまで思考すると、ハッキリ感じ取れるほど感覚が変わった。


「魔力が濃い」


 狐人族の村の位置が狐人には分かる。そこから逆算すると森の中心部にかなり近い位置に私はいる。そして、少し踏み出した途端すぐに異常に気付いた。明らかに魔力が濃ゆい。


 魔力濃度という言葉がこの世界にある。この言葉はお父さんの書斎にあった本に書いてた。魔力濃度とは、大自然の中にある魔力。文字通り、その魔力の濃さのこと。


 魔力が濃いと何が起こるかっていうと、災害が起こる。


 一地域を丸ごと吹っ飛ばしてしまうほどの大爆発が起きたり、地形変動が起きたり。ともかく、良い事は一つとして起こらない。この世界ではそれを魔災害と呼んでる。魔力が濃ゆくなるとこういうことが起こるということが分かっているだけで、ほとんど研究が進んでいないもの。

 これが私の考えていた最悪のパターン。放置してたら間違いなく大変なことになる。


 私は魔力が濃ゆくなっている方に向かって歩いていく。


 歩き出して数十分。これまでの比じゃないくらいに魔力濃度が高くなった。


 見つけてしまった。見つけたくなかったし、むしろあって欲しくなかった。


 森の開けた場所にできた不自然な盛り上がり。高さ二メートル程度、横幅一メートル程度。人一人が通れるくらいの穴が開いたものができていた。


 間違いなくダンジョンだった。


 確認のために警戒レベルを引き上げて穴に入っていく。中は階段、というよりかは自然な起伏がたまたま人の足を置けるくらいの大きさになっていただけだったけど。そこを下に向かって下りていく。


 階段の終わりは少し開けた空間があった。息を潜めながら様子を見る。


 一秒で後悔した。


 予想以上に事態が進んでいた。


 これは私一人で対処できるものじゃない。するものじゃない。


 その空間には、そこを埋め尽くさんばかりのオークの群れ、否――――


 オーク・ジェネラルの群れがいた。


=====================================

オーク・ジェネラル Lv58 ♂


生命:5693/5693

魔力:3917/3917

物攻:3529

物耐:3105

魔攻:1537

魔耐:1298

敏捷:1034

魅力:0

運:100


スキル

【両手大剣術】【威圧】【生命自動回復】【豪腕】【豪脚】


適性魔法

なし


称号

【共喰い】

=====================================


【両手大剣術】・・・・・・両手大剣グレートソードを使用した戦闘で物理攻撃力と敏捷に上昇補正。両手大剣の扱いも上手くなる。

【威圧】・・・・・・対象に威圧を掛けて怯ませるスキル。ただし、対象の実力が自身の実力より高かった場合は無効化される。

【生命自動回復】・・・・・・五分毎に生命が400回復するスキル。常時発動。

【共喰い】・・・・・・同族を喰らった者に与えられる称号。


 普通の人間ではまず一人で太刀打ちできない強さを持つオークの進化形オーク・ジェネラル。通常同じジェネラル同士では群れることがない。それが群れている。しかも、十や二十じゃ効かない。数百単位の群れを形成している。そして、いずれダンジョンから溢れていく。

 それの意味するところ。それは――――


 上位魔物による行軍。――――”集団暴走スタンピード

読んでいただきありがとうございました。

これからもよろしくお願いします<(_ _)>

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