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Ep.10 『ゴッズという男』

 


ゴッズ本部で、グレートフォースの4人は目の前に現れた信じられない光景に愕然としていた。



「ど、どういうことだ、それは!」



ザンが玉座の男の胸元を指差して叫んだ。




ザンが指差したその先――。



玉座の男の胸元には、円模様の中にバラの絵が入っている絵柄があった。このマークは、カナラズの隊服に入っているマークと同じものであった。即ち、カナラズのマークなのである。




「どういうこと? なんであいつがカナラズのマークの入った服着てるの!?」



ハレルが動揺した様子で呟いた。




玉座の男はニヤリと笑った。そしてキャメラ君に目を向けた。



「見てるんだろう? 長官、竹山さん、柳川さん?」



玉座の男の口から出た静子ら三人の名前に、グレートフォースの4人はたじろいだ。



「ど、どういうことだ?! 何故お前はその名を知っている!? お前は、カナラズとどういう関係なんだ」



玉座の男は尚も笑みを浮かべ続けている。









カナラズ本部では、静子、竹山が呆然と固まっていた。



「な、なんで今まで気付かなかったの……。あ、あいつは……」



静子が震える声で呟いた。



「ま、間違いないな……。あいつは……かつてカナラズに所属した」



竹山も愕然とした様子で言った。



長官のみが、玉座の男の正体に気付いていないようで、「何故あいつは私達のことを知っているんだ? どういうことだ!?」と狼狽している。



静子が説明を始めた。



「あ、あの男は……、かつてカナラズ最強と呼ばれたヒーローだった男です。今はもう引退して普通の生活に戻っているとばかり思っていましたが、あの顔、間違いありません……」



静子の言葉に、長官が驚愕した様子で「なに!?」と声を上げた。




そう。モニターに映っているゴッズ総司令は、かつてカナラズで活躍したエースヒーローで、現役時代は競争心が強く、積極的で主体性も高く、とても頼りがいのあるヒーローだった男だ。



静子は目の前の光景が信じられず、その場に倒れ込みそうになった。しかし必死にそれに耐え、モニターを見つめる。



何故、ヒーローだった男が、悪の親玉に?



静子の頭は混乱の最高点に達していた。









「私はかつて最強のヒーローと呼ばれ、多くの悪と戦ってきた。私は強さに貪欲だった。ライバルになど絶対に負けまいと、必死に自分を鍛え、どんな困難にも真正面から立ち向かっていた。誰かと組めば自分がチームを引っ張れるように、どんどん自分というものをアピールして、常にリーダー的な存在であり続けた。そんな主体性こそが私の強さの最大の秘訣だった。しかしいつまでもカナラズにいては、私の得られる強さにも限界があることに気付いた。

そこで私は考えた。もっと強くなるにはどうしたらいいのか。組織に身をゆだね、自分で考えるということを放棄している今の君達のような情けない連中とは違ったのだ、あの頃の私は。そして答えは出た。自分の組織を創り上げ、悪に身を置いて世界をこの手中に収める。その過程で私の強さはさらに高まっていくだろうと。

他を力で屈服させて、自分の配下に置くのだから、ただ正義の名のもとに機械的に戦い続けるのとは成長度合いが違って当然なのさ。現に私はどんどん強くなっていき、こうして究極の力を手に入れることが出来たのだ」



玉座の男はそこまで言うと、懐から小さなカプセルを取り出した。そしてそれを指で弾いて開けた。すると男の体を稲妻が包み込み、その身体を漆黒のプロテクターが覆った。



そのプロテクターは刺々しく、頭のデザインは王冠を感じさせるもので、まさに王と呼ぶに相応しい外見をしている。




「我が名はゴッズ。世界を統べる最強の神なり」



ゴッズが高らかに名乗り、その全身から発せられる殺気はさらに強く室内全体を震わせた。



グレートフォースの4人は迫りくる大敵に身構えた。



しかし、次の瞬間には彼等4人は皆地面に倒れ込んでいた。



何が起こったのか!?




カナラズの誇るエース4人ですら、ゴッズの動きは追えなかった。




ゴッズは4人から少し離れた所で、背を向けた状態で立っている。



そして首だけを回し、4人を見下ろした。



「ふん、その程度か」



 

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