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地球生まれでスキル無しな僕、冒険者パーティから追放されるも科学と技術を使って、超絶美少女な幼馴染の異世界貴族令嬢と婚約する~スキルに頼るお貴族様なんて全然怖くない!~  作者: GOM
第一章 僕、ティナと婚約する編。

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第32話 僕、みんなで龍退治をする。

「くそぉ。これはどういうことか、エドモンよ」


「はい、テオバルト様。残念ながら冒険者ギルド経由で派遣したパーティはカイトにより懐柔、メイドのネリーすらアヤツらと共にいます。念のために送った『暗部』二人も音信途絶しておりまして……」


 薄暗く獣脂ランプの灯りに照らされている領主執務室において、シェレンベルク伯爵テオバルトは執事のエドモンに文句を言っている。

 彼の机の上には冒険者ギルドや大公からの手紙があり、どちらからも丁重な断りの文面が書かれている。


「それは当の昔に知っておる、エドモンよ! どうせ元仲間同士と冒険者をあてにせず、監視役の暗殺者を別に送っておったのだからな。だが、その暗殺者すら負け、一度は警備兵にワシの私兵だと突き出されたのは一体どうなっておる? 捕縛されれば自害して主の秘密をしゃべらないのは普通であろう?」


「はい……。まことに申し訳ありません。『透視』と『消音』の二人を付けていたのですが、まさか返り討ちで生け捕りにあおうとは……」


 エドモンとすれば、手持ちの『札』でかなり強いカードを切ったつもりだったのだが、それらを撃破された上に生け捕りで身柄まで把握されたのは想定外だった。


 ……これは面白くなってきましたね。あの坊や、なかなかやります。


 だが、エドモンにすれば、世の中の事全ては「遊び」。

 領主テオバルトには幼い事から仕えてはいるが、良い遊び道具、「仕事」だからに過ぎない。

 鍛え上げてきた「暗部」ですら、また騎士団に潜ませた「配下」を含めて自らのための道具。


 ……テオバルト様は、もう少し使えると思っていましたが、しょうがないですね。


「エドモンよ。どう責任を取るのだ? 大公様からも、贈ったモノに関しては当方の責任にあらず。自分で回収せよと言われてしまったんだぞ? 俺の出世が、こんなところで終わるのか!?」


「……テオバルト様、落ち着いてくださいませ。では、私が自ら動きます。数名、手勢をお貸しくださいませんか?」


「お前が動くのか? 俺は昔からお前を見ていたが、戦えるのか?」


「執事には執事なりの戦い方がございます。では、明日にでも出立しますね」


 エドモンは、暗い笑顔をテオバルトへと下げた顔の下で浮かべた。


 ……もっともっと世界を腐らせないといけないのです。貴方も大公様も『我ら』の糧なのです、ふふふ。


  ◆ ◇ ◆ ◇


「カイトぉ。こんな感じで良いの?」


「うん、そんな感じで剣を振るうとビュンって良い音なって、ズバっと切れるんだ。ティナならドラゴンのうろこも切り裂けるよ」


「ティナ様、ボクの方が強いんですが。ほら、スキルでこんな大きくてキラキラした魔力弾が作れるんですよ?」


「ふん! カイトの方が、トビアスお兄様よりも何倍も強いんだから」


「トビアス、今は変に目立ったらブレスの的になって危ないよ。こまった弟弟子だよね」


「アンタ達、ドラゴン相手で怖くないのぉ!?」


<まあ、皆様。それなりには強いですし、相手は動きがそこまで早くない単体。ブレスと尻尾攻撃、後は噛みつきと踏み付けを警戒していたら大丈夫ですね>


 僕達は、冒険者ギルドから討伐ミッションを貰い、地龍(アースドラゴン)退治をしている。

 人数も増えたかわりに懐が少々寂しい僕達。

 なので、少々大変な相手だけれども、ドラゴン退治を引き受けたのだ。


 ……ドラゴンから取れる龍石が解呪触媒として必要なのもあるんだけどね。確か人間でいうところの胆石だったっけ? 既に近くの村で家畜や人々を多数襲っているから、討伐対象になるのもしょうがない。深い森の奥で暮らしてたら、お互いに出会わずに幸せだったろうに。


 街の近郊まで出てきてしまい、美味しい作物や家畜、更には人の「味」を知ってしまった猛獣、モンスターは人々の安全の為に駆除されなくてはならない。


 グローア(あね)さんとヴィリバルトが、龍からのヘイト稼ぎしつつ攻撃を引き受けるタンク()兼ヒーラー役。

 その間からDPS(ダメージ役)のレオン、僕、ティナが攻撃を繰り出す。

 マルテ、トビアスが後方から魔力支援砲撃。

 ネリーは、マルテの側で怯えながらもポーションや予備武器なんかの準備をしてくれている。


「カイト。こういう動物相手だと、フェイントはあまりしなくても良いよな?」


「油断しちゃダメですよ、レオン。魔法を使わないだけで腐っても賢いドラゴン。誰かが倒れたら一気にピンチになるんですからね」


 上位龍(ハイドラゴン)のように空を飛ばない、古代(エンシェント)(ドラゴン)の様に魔法を駆使しないというだけで、ドラゴン種というモノのは知性も十分高い。

 火炎ブレスは吐くし、時折尾すら鞭のように繰り出して範囲攻撃を繰り出してくる。


 地龍、全長四メートルくらいの巨体。

 トカゲというより甲羅の無い亀という姿だ。


「グローアお姉さまが完全に攻撃をいなしてくれていますから、わたし達楽に戦えているだけですものね」


「ははは、ティナちゃんに褒められたらアタシ、更に暴れちゃうよ!」


 鉄の暴風となり、攻撃対象になるためヘイトを稼ぐべく地龍の顔に魔法銀(ミスラル)戦斧を叩き込む姉さん。

 その間、ヴィリバルトは後方、マルテ達のところまで下がり、ブレス対策をする。

 僕達も散開しながら攻撃を繰り出し、ドラゴンの一挙手一投足を観察する。


「ブレス来るよ!」

「ん!!」


 姉さんの指示で僕達は動く。

 傷だらけになったドラゴンは喉を膨らませ、炎の吐息を吐く準備動作をした。


「ほらよぉ!」


 姉さんはブレスを吐く寸前にドラゴンの首の下に小柄な体形を生かし、潜り込む。

 そして上にかち上げる強烈な一撃を放った。


「ぐぎゃぁぁ!」


 マルテ達を狙っていたブレスは、上方にずれる。

 しかし、それでも火炎の一部はマルテ達の前で防御結界を起動したヴィリバルトを襲い、結界表面を炎が舐めた。


「ん!」

「ヴィリバルト! よくマルテ達を守った。後は俺が頑張るぜ!」


 頑強スキルも使ったヴィリバルトに、彼女を助けてもらったのを感謝したレオン。

 真紅のスキルオーラに身体を輝かせ、卸したての両手剣(ツヴァイハンダー)にスキルによる旋風を纏わせた上で、鍔と柄をしっかりと握って槍の様に構える、

 レオンは咆哮を挙げながら突撃、ドラゴンの横腹にずぶりと刀身を根元まで突き刺して火炎効果付きで捻った。


「ティナ、両側から攻撃するよ!」

「うん、カイト!」


 僕とティナは、苦痛で動きが止まった地龍の首を狙う。

 僕は高周波ナイフを起動し、首にある動脈付近を狙って突き刺す。

 そしてバターを切るナイフのように、僕は龍の鱗と共に下部にある組織を切り裂いた。


「はい!」


 スキルオーラで桃色に光るティナは、身体のバネを最大限生かして曲刀(サーベル)をしなる様に使う。

 ティナの一撃は、深く龍の首を切り裂いた。


「トドメいくよ!」

「ボクの派手な魔法もいきます!」


 二人の義姉弟(きょうだい)弟子な魔術師から球電(ボール・ライトニング)が数発放たれる。

 そして、それは龍の身体に着弾し、炸裂。

 龍の身体に大きな穴を幾つも開けた。


「さあ、後はアタシに任せな。アンタは強かったよ、ドラゴン」


 身体中から流血し、もはや死を向かえるだけの龍。

 しかし、なおも怒りの炎を目に灯す龍を前にして、姉さんは一礼をする。

 次の瞬間、姉さんの身体が膨れ上がり金色のオーラを纏ったと思ったら、凄まじい爆音が響いた。


「ふぅ……。哀れなる龍の魂よ。次なる生は良きものでありますように」


 龍は、姉さんの一撃を喰らい、首を跳ね飛ばされて死んだ。

 姉さんの身体は元に戻り、自分が倒した龍への弔いの祈りを唱えていた。


「す、凄いのぉ。カイト、あれは何なの?」


「たぶん姉さんの『スキル』かな、スキルオーラみたいだったし? 僕も実際に姉さんが『スキル』使うのを初めて見たよ」


 姉さん、今まで僕達の前ではスキルを使う事も無く戦ってきた。

 本人自身がスキルに頼らない戦い方をすべく、鍛えてきたからだと以前僕に話してくれた。


「ティナちゃんを驚かしちゃったか。アタシの『スキル』は『オーバーブースト』。短時間のみ身体能力を数倍以上に引き上げるものさ。ただ、反動が酷いのと使える時間が短いんだよ」


 恥ずかしそうにティナに微笑む姉さん。

 過去、己のスキルを過信して失敗したことがあると以前姉さんが話してくれていたことがあったのを、僕は思い出した。


 ……確か、若い頃に過信しちゃって死にかけたって話だったよね。


「結局、スキルも使いかた、工夫次第さ。強いスキルに胡坐書いて鍛えなきゃ強くはなれない。アンタ達、若いんだから頑張りな。そして、絶対に死ぬんじゃないよ。アタシはアンタ達の葬式はあげてやらないんだからね」


「はい!」


<皆様、お疲れ様でした。無事な勝利、ワタクシも嬉しいです>


 照れくさがりながらも、僕達を叱咤激励してくれる姉さん。

 僕はティナを守るため、更に強くなることを誓った。

 忍び寄るエドモン。

 いったい彼の正体は何なのか。

 次回、更新をお楽しみにね。


<ワタクシ、気になります!>


 ルークス君は第四の壁通り越して、カンニングに来ないでよぉ。

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