*22 【青色の深海】との出会い
「さて、昨日はご苦労だったな。ヤバかったろうちの親父殿」
「す……凄かった……」「今だ戦線に立っているだけはありますね……」
(ヤバいとかいうレベルでは無かったがな!)
歓迎の晩餐を終えた次の日ジンたちはディナルドに呼び出されていた。
昨日の晩餐のことと、国王ヴィクターについてディナルドと話をしていた。
そして今日この国の3人目の【色付き】である【青色の深海】が遠出から帰ってくる日である為ジンたちはその人物に会うために支度を進めていた。
「【青色の深海】は、普段『大図書』に引きこもっているからな。遠征から帰ってきたら真っ先にそっちに向かうだろうよ。」
「わかりました!」
「おっ、いい返事だ!まぁ、親父殿も【青色の深海】に【黒色の武装】が訪れることを言ってあるらしいから『大図書』にいけば間違いなく会えるだろうよ」
そうして一行はディナルドから『大図書』の場所を教えてもらい、城内に入っていった。
暫く歩いて一際大きな扉が見えてきた。どうやらここが『大図書』のようだ。
「ここが『大図書』ですね……【青色の深海】とはどのようなお方なのでしょう」
「楽しみー!」
(さて、行きますか)
そうして一行が扉を開けようとした瞬間、突然彼らを白い光が包みこんだかと思うと彼らの姿は消えていた……
「はっ!?今のは……転送の……?」
(転送魔法が掛けられてたか……)
ジン達は先程の光景を思い出して自分たちがどこかに転送されたことを知った。
すると突然
「ようこそボクの部屋へ【黒色の武装】ジン」
「「!!」」 (いつの間に……!?)
「ボクが【青色の深海】のヒュドール・マクスウェル。キミが【黒色の武装】のタチバナ・ジンだね」
目の前にいたのは一見青髪の少女のように見える人物だった。しかしその人物は男であった。
そんな彼の周りにはいくつもの本が積み重なっている。
「あ、貴方が……【青色の深海】……」
「そう、君たちのことは我が王から既に聞かされていたよ。まったく驚いたさ、遠征から帰る途中にいきなり王からの《念話》が飛んできたからね」
参ったよ。というヒュドールであったが、彼は軽口を叩きつつ《鑑定》でジン達を見ていた。
(ふーん……あの二人も中々な実力を持ってるね……【黒色の武装】に関してはちょっと予想外かな……)
(明らかに伝承とは異なるスキルを大量に保持している……特に《沈黙》に《適応》、《収納》に関してはこれまで見たことが無い……)
様々なことを考えながらジンのスキルについて考えを巡らせるも、ジンの異質さを認識させられたのだった。
「……まぁ、いいや。それで……確か【赤色の業火】を探しに行くんだよね?」
「あっ、はいそうです!」
「ボクがここを離れるのは正直お勧めしない。僕はどちらかと言えば守りの役だからね。だから【緑色の樹海】のカルメンを連れてった方が良いよ」
「カルメンさんを……」
「そう、それに多分王もそれを承知の上だと思うよ。だから安心しても良いよ。この国はボクたちと王が守るから」
(あの王やっぱりおかしいよ……)
ジンがヴィクターの規格外さを改めて認識させられたところでヒュドールは、そろそろ寝ると言ったためジンたちは帰ることになった。
「では、失礼しましたー……」
「失礼しました!」
(……男の娘か、悪くない……かも?)
1人新しい扉を開きそうになったが、一行は再び《転移》により『大図書』を後にした
1人残された『大図書』にてヒュドールは呟く
「……うーん、やっぱり気になって寝れないなぁ……あれらのスキルって多分【黒色の武装】の継承者になる前から持っていたスキルだよね……」
「そうじゃないと……ボクたちのようにプレートの最初に【色付き】のスキルが無いと可笑しいよね」
ステータスプレートのスキルは習得した順に表示されるのだがジンのスキルの最初にあったのは《沈黙》だった。
「【色付き】となるには、最初からスキルを持ってないことが条件だ。それこそ普通はスキルを持って生まれてこない人間はそうそういない」
「だからこそ気になってしょうがない。なぜ彼がスキルを保持していながら【黒色の武装】を扱えるのかが……それに……あの黒髪、まさかね……」
「ふぁ~……眠気が来た……もう寝よう……」
そうしてヒュドールは近くのソファーに横になって眠りについた。
しかしヒュドールは、現時点でジンの素性に最も近づいた人間と言っても過言では無かったがそれを知るすべはない。
◆◆◆
「うむ、話は我が王から聞いているぞ。【赤色の業火】の探索に私を連れていくとのことだな」
「そうなんです!これからよろしくお願いします!」
「よろしく!」
(心強いことこの上無いな……)
あれから一行は一度カルメンの元に訪れ、【赤色の業火】捜索の話をすることにした。カルメンもヴィクターから話を聞いていたようで話は潤滑に進んでいった。
ふとアイリが疑問に思ったことを口にする
「あれ……?幾ら【赤色の業火】の捜索と言ってもカルメンさんは、大丈夫なんですか?その……国の軍のトップですが……」
「ふむ!それについては心配いらない!我が王が代わりに軍の指揮を執るそうだ!!」
(パねぇ……)
ジンは語彙力を失っていた。もう全部王がやってくれればいいんじゃないかなと思うくらいにヴィクターが万能すぎるのだ
「さて、出発の日だが……私も少し任務がある為一週間待ってくれないか?」
「わかりました」
「まぁ、その間この国のギルドの依頼を受けてくれないか?人手が不足しているのが現状なんだ。図々しくて済まない……」
(まぁ……ここまでさせてもらったらね……一丁やりますか!)
こうしてジンたちは一週間後までセーラス国内のギルドで依頼を受けることにしたのである




