*21 【王】たる【戦士】
「おはよう!諸君!!」
(朝からうるせぇ……)
試合があった翌日の朝、ジンたちは朝の支度を済ませ国王との謁見に備えていた所にディナルドが来たのだ。どうやら直々に迎えに来たらしい
ディナルドの服装はこれまで見てきたものとは違い、正に王族と呼ぶにふさわしい服装をしていた。傍にいるグレゴリーもどこか厳格な雰囲気を纏っていた。
「流石に親父殿の所に『第二王子』の俺があんな格好だと示しが付かないだろ?」
(まぁ、それもそうか……)
「ディナルド様、そろそろお時間です」
「おぉ!もうそんな時間か!!行くぞ!!」
「き、緊張してきました……」「アイリ頑張ろ!」
(いよいよか……この国の国王ってどんなんだろう……?)
一行は城内を通り、一際豪華な装飾のある扉の前に案内された。どうやらここが国王の謁見の間のようだ。
「じゃ、これから親父殿と謁見だけど……ま、特に心配することは無ぇいつも通りで良いぜ」
「ディナルド様、貴方様はそれでいいのですが、彼らはそうもいきませんよ」
(そうだよ……これ実質アドリブだよな……?)
ジンが前世でも体験したことないようなことに軽く絶望していると、傍の衛兵からもう始まる旨を伝えられ一行に緊張が走った。
「行くぞ……!」
扉が開かれる……
「よくぞ参った。【黒色の武装】よ……待ち望んでいたぞ」
「「……ッ!」」(な……なんなんだ……この威圧感……!!)
其処に居たのは、【王】であった
全身からみなぎる程の凄まじき覇気を放ちこの場を完全に支配していると言っても過言ではない存在を前にジンは勿論アイリやグレイも震え上がった。
太陽を表すかのような色合いをした鎧を身に着けながらも見えるその屈強な体格やこちらを射抜くように見つめるその紅い視線も相まって、それが王であることは誰もが疑いもしないだろう
「我が名は、ヴィクター・セーラス。このセーラス国の王にして、戦士である」
(くっ……!親父殿め……えげつない覇気を放ちやがって!!)
「【黒色の武装】ジンよ……我が国はそなたの来訪を心待ちにしておったぞ……」
(やばい……!この人……見るだけで分かる……滅茶苦茶強い……!)
ジンはこれまで遭遇したことが無い程の人物に心から畏れた。年老いてもなお衰えを感じさせないその姿は前世を通して今世でもあったことがないほどだった。
そんなジンを尻目にヴィクターは
(ふむ……老いたとはいえ、私の覇気に怖気づかないとはな……素晴らしいぞ……)
他の人物は、ヴィクターから発せられる覇気にどこか怖気づいていた。それはディナルドですら例外では無かった。
だからこそヴィクターは、ただ不動を貫くジンの姿に感銘を受けていた。
……ジンがフリーズしているだけなのは、この場にいる誰もが見抜けなかった。故に王はジンを類を見ないほどの勇士として認識した。
「さて……【黒色の武装】とその一行よ、この国の現状を伝えておこう」
ヴィクターの口からセーラス国の現状が語られる。
「現在我が国の周辺では、魔王軍の動きが活発になっている。これは我が国の冒険者たちの依頼の急激な増加が物語っている」
「そしてつい先日、この国の上空に竜の群れが出現しあろうことか、我が民を襲おうとしたのだ」
「「!!」」(マジかよ……ここまで魔王の手が及んでいるのか……)
ジン達は魔王軍の動きが活発になっていることは事前に聞かされていたが、まさかここまで魔の手が潜んでいるとは思いもせずただ驚いた。……だが同時に
「無論。我が残らず殲滅したがな」
「「!?」」(ですよねー)
王の規格外さにも驚かされたジン達であった。アイリとグレイはただひたすらに驚かされて、ジンはどこか納得した。
「話を戻すとしよう」
ジン達はそう言われて気を取り直した。どうやら本題があるようだ
「魔王が完全復活すれば、もう一度あの暗闇の世界が訪れてしまう」
「しかし今や我は衰え、このザマである。嘗ては魔物ごときに遅れをとることは無かったが、この前王国を襲いに来た数百体のオーク共を仕留めるのに10秒掛かってしまった……全盛期であれば5秒とも掛からなかったが……」
(いやいやいやいや)
ヴィクターから告げられた衝撃の真実にジンが仰天する中、ヴィクターは更に話を続ける
「今我が国には【青色の深海】、【緑色の樹海】そして【黒色の武装】が集った」
「しかし残りの【赤色の業火】【黄色の雷鳴】【白色の祝福】は今だ見つかっていない」
「「……!」」(あと3人か……)
「そこで【黒色の武装】とその一行に頼み事がある」
「残りの【色付き】を探し、一刻も早く【色付き】を集めよ!」
ヴィクターによると現在残りの【色付き】で居場所が分かっているのは【赤色の業火】であるそうだ。
そして【赤色の業火】はこの国から遥か遠くにある雪山に潜んでいるそうだが、セーラス国を長期間離れられないヴィクターではたどり着くことができず、更にその場所に到達するには2名以上の【色付き】が居なければ到達できないと語られた。
前のセーラス国は2人の【色付き】しかおらず、2人とも国を長期間離れるとその隙を狙って魔物が迫ってくると考えると最低でも3人必要だったことを告げられる。
(なるほどねぇ……だから【色付き】を必要としていたのか)
「さて長くなったが、これから頼むぞ【黒色の武装】よ! では皆の物!宴を開くぞ!!今日この日かの伝説の【色付き】が三人集った瞬間を祝うのだ!!」
ウォオオオオオオオオォ!!!!
「はわわわわわ……」「すっごい……声量……!」
(……【赤色の業火】ねぇ……)
こうしてセーラス国国王ヴィクターによる激励を終えた一行であった




