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下克上プリンセス  作者: 眠夢


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2/5

完全犯罪者 ジュリエット

「告白されたら、その人のことを好きになるらしいよ」

「へー、そうなんだ」

学園の広場、大きな木のあるところ。私たちは2人座って、ぼーっと空を眺めながら話していた。

そこまで恋愛気質ではない私は、キャサリンの話をぼーっと聞いていた。

キャサリンはヴェルサイユ学園の薬学部で、成績優秀……という感じではなかったけど、いつもよく分からない毒薬みたいなのを発明してはニッコニコで私に飲ませようとしてきた。

ほら。また。キャサリンはニッコニコな顔で私の方を向く。片手には、三角の試験管みたいなのに、緑色の液体。

「ねえ、みて! ジュリエット! これを飲めば仮死状態になれるんだよ! すごくない?」

「……それ、なんの意味があるの?」

「いいじゃん! 私、これ作るのにとっても時間かかったんだよ! せっかく作ったんだから、持っておいてよ」

説得におされ、少しのため息を着いて、それを手に取った。

「……天気いいね。」

私はそう呟いた。

今日は、雲ひとつ無い快晴。

「……じゃあ、私授業だから。ジュリエットも無理せず頑張りなよ」

「……お、おう」

2人でフフッと笑いあった。


その夜、キャサリンは殺された。

モンタギュー家のロミオという男に。

「キュピレット家の私と仲良くしていた」という理由で。


ロミオのいるモンタギュー家と私のいるキュピレット家は対立関係にあった。


私はことあるごとに、キャサリンに、いつ使うのかもわからないあざとわざ? みたいなのを、大学の木の下で教えてもらっていた。

「あのね、届かないって思うほどに、その人のことが好きになるらしいよ」

「相手を自分の本命にするには、『会いたくても会えない』状況を作ることが大事なの。男の人って追われる恋より追う恋の方が好きだからさ」

「気になってる人が突然目の前に現れた時、それがその人が恋に落ちる瞬間なの。そして、その人と結ばれないとわかった瞬間、それがその人にとってとっても悲しい瞬間なのよ。これを利用するの!!」


とっても楽しそうに話すキャサリン。

2つ縛りで、ドリルカールみたいな髪型、金髪に青い目、私はそんな彼女を見るのが大好きで、大好きで……


今日も快晴。


木漏れ日が、涙で滲む。


上を向いていたら、涙が零れる速度も遅くなる気がして、学術書を閉じて、そのままゆっくりと目を閉じた。



目が覚めたら、星がキラキラと輝いていた。


あの中に、キャサリンがいると考えて……。



ロミオ。



ロミオ。




ロミオ。






ロミオ!!!






……報復してやる。






絶対に許さない。







対立とか知らないけど、私の唯一の友達を。







キュピレット家の娘で誰からも避けられていた私の唯一の友達、キャサリンを。








許さない。








絶対に、報復してやる。








ロミオ。お前が一番悲しくてつらい死に方をさせてやるよ!!


『あのね、届かないって思うほどに、その人のことが好きになるらしいよ』

『告白されたら、その人のことが好きになるらしいよ』


キャサリンがくれた言葉。

私の作戦はもう整った。あとは決行するだけだから。


明日、ロミオと会う。何となくわかる、明日、ロミオは明日、キュピレット家に来る。


やっぱり。ドンピシャ、夜9時。

ロミオは私に、逢いに来た。


私が彼に言う言葉は1つ。


普通の告白では無い。


届かない、それを強める言葉。


届かない人の事ほど想いが強まる、それが……




「ああロミオ、どうしてあなたはロミオなの」



ほら、彼はベランダにいる私を見上げながら、月明かりが照らす空の下、頬を赤らめながら唇を噛む。


キャサリン、君があの木の下で言っていた言葉たちは本当だったんだね。


ふふ。


私は計画を張り巡らし、モンタギュー家への侵入に成功した。

奥へ、奥へと進み、ドアを開けた。

キィ、という音がする。

中は薄暗かった。


『気になってる人が突然目の前に現れた時、それがその人が恋に落ちる瞬間なの。そして、その人と結ばれないとわかった瞬間、それがその人にとってとっても悲しい瞬間なのよ。これを利用するの!!』


ここに、必ず後でロミオは来る。


私は、キャサリンが作ってくれた仮死状態になれる薬を飲んだ。


これで、私は……。



♢ ♢ ♢



……その天井は、薄暗かった。


隣を見た。



……ロミオが、自殺をしている。


『気になってる人が突然目の前に現れた時、それがその人が恋に落ちる瞬間なの。そして、その人と結ばれないとわかった瞬間、それがその人にとってとっても悲しい瞬間なのよ。これを利用するの!!』



「ああロミオ、あなたはなんでロミオなの」 このセリフで私を気になっていたロミオは、私が突然現れたことで恋をする。そしてその時の私は、死んでいる。それは、ロミオにとってとっても悲しい瞬間であろう。そして、悲しみに暮れながら、自分で自分を殺すの。



私は、ただ仮死状態になる薬を飲んだだけ。




これが私が考えた、ロミオを殺す一番残酷な方法。





ロミオの血を人差し指で取った。



「誰か、隣で死んでいるジュリエットを、誰にも見られない場所へ運んでおくれ」




これはロミオが書いたダイイングメッセージ。





私は死んだことになった。






このまま、この国を去れば……完全犯罪よ。




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