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Aetanyx(エタニクス)−The Spiral of Fate−  作者: 岩江公一
第一部〈運命の啓示〉
1/19

プロローグ―"#46862"

人は、何の為に生きているのか。

そんなことを、ふと考えることがある。


――誰の為に戦い、何の為に死ぬのか……。

――残された者たちは、残った想いは、

一体どこへ行くのか……。


――そう。

この世界は"孤独"を恐れる……。

生きた意味を見いだせないこと、誰からも忘れ去られてしまうこと。


だから縋る、

意味のある死に。

だから残す、

生きた証を。


だが、何もできない世界自身はどうなる……?

縋ることも、残すこともできない、

この"世界自身"の想いは、どこへと流れて行く?


――世界は"孤独"を抱いた。

それが、この世界が終焉へと向かう

その始まりとなってしまった……。


※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※


淡い水色の光が暗闇を照らし出すだけの物寂しい虚無。

その中心に、彼は居た。


指先が宙に浮かぶ水色のホログラムに触れるたび、

タップ音とスクロールする音のみが響き渡る。


文字を打ち込み、画面をスライドさせるその一連の動きに一切の迷いはない。

その無駄のなさは、

まるで何かを諦めてしまったかのように淡々としていた。


しばらくすると、

空間に響き渡る温もりのない機械的な音声が彼の耳に届く。


『――46861回目の輪廻』

 『結論……"失敗"』


彼は微動だにしなかった。

ただ、早く次の情報をと言わんばかりに座り直すだけ。

その動きに反応するように、音声は続けた。


『対ウ■ボロ■抗体生命体、"サガ模造体"の消滅を確認』

『ウ■ボロ■、〈■■■■■■〉完遂……』


急にノイズまみれになった音声を聞き、彼は微弱なれど反応を見せると、

おもむろにホログラムを弄り始める。

またも彼の操作する音だけが響き渡る。


『因果■正■構、再起動中……』


最後の操作を終えると、

音声とともに、大きな機械が動くように空間は振動し、巨大な動作音が響き渡る。


『――エラー発生』

――エラーコード:306


音声はそう告げると同時に、

動いていた機械は、一瞬にして稼働を止めた。

彼は、

少し動きに戸惑いを見せるも、すぐにいつものように淡々と操作をし始める。


しかし、最後のボタンを押す瞬間、彼の動きが一瞬止まった。

まるでこれから起こることが"最後の賭け"であるかのように、

弱々しくも力強くボタンを押す。


『――承知いたしました』

『データベースの初期化を開始します』

『――初期化中……』


音声を耳にし、彼は力を抜いて空を仰ぐ。

すると、『初期化完了』という合図とともに、再び機械は大きな音と振動とともに動き始める。


『因果■正■構、再起動中……』

『――再起動完了』

『46862回目の因果修復プロトコルを実行します……』


淡々と進むプロセスを聞きながら、

彼は、再び目の前に映るホログラムに向き直る。

しばらく眺めると、

彼は腕をだるそうに横に流した。

宙に浮かぶホログラムは彼の動きに反応して、淡い水色の光の粒子とともに消えた。


彼は肩の力を抜き、少し息を吐くと

「――■■■■■……。」

と何かをそっとつぶやいた。

その言葉が祈りなのか、呪いなのか。

はたまた誰かへ向けた純粋な言葉なのか

それは言葉を発した彼にもわからなかった。


呟いたその一言は、機械の轟音と振動にかき消され、

意味を宿す前に散っていく。


『今回の旅路が、良いものでありますように……。』


――いってらっしゃい……。

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