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他部署と営業部 その4

「新入り、他の部署の部長たちに会ったこと無かったんだな」

「はい。とくつみしょにも、人事部や総務部があ……」


 外に続くドアが開く音で、司は言葉を切る。

 柴山と同時に出入り口を見れば、天原がいた。


「天原、ただいま帰りました」

「先輩、おかえりなさい」

「天原先輩、おかえりなさい」


 天原は足早に自分のデスクへ来ると、バッグから書類を出しながら、


「司くん、届けてくれてありがとう。おかげで、助かった。私、今日はもう上がらないといけなくて」

「先輩。部長には、俺が言っておきましょうか?」

「うん、タロに任せるね。じゃあ、おつかれさま」


 初めて聞く、天原の早い口調。それに司が驚いている間に、天原は出て行った。


「……何かあったんでしょうか?」

「さぁな。俺たちは仕事するぞ」



 それから、特に何か起こるわけでもなく。

 司はいつものように定時で上がり、夕飯や風呂などやることを済ませ、少しだけ読書をしてベッドに寝転んだ。

(今日は、初めてが多かったな……)

 そんなことを考えながら、目を閉じる。


「ばあちゃん、おやすみ」


 習慣のそれを呟いて、眠りに入る……はずだった。

(……寝れない)

 明日も平日。早く眠らないと、支障が出てしまうかもしれない。

 けれど、時計の針が進む音や外から聞こえる風の音が、妙に気になっている。

 寝返りを何度も打ってみたり、耳を塞いだりと、あの手この手を試してみたが効果は無く。

 気づけば日付が変わり、丑三つ時の午前二時になっていた。

(……少しだけ、外の風に当たろう。本当は、こんな時間に出るのは良くないと思うけど)

 月明かりを頼りに上着を探し、室内着の上から羽織る。

 窓を開け、ベランダに出しっぱなしのサンダルを履けば、冷たい風が全身に当たった。


「さすがに寒い。けど、これで眠れるなら……ん? あれは」


 ハッキリ見えるわけではないが、並木道を歩く誰かがいる。


「こんな時間に……?」


 じっと見ていると、やがて人影が並木道から出てきた。そして、月明かりが人影を照らす。

 その髪は、明るいミルクティー色に輝いていた。


「天原先輩……?」

第9話は、4月17日(金)16時10分に投稿開始です。

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