モテるための手順書
ヴェルヴァルド・グランツ、十七歳は悩んでいた。
とても悩んでいた。
昨日もかなり悩んでいたはずだが、一晩眠った程度で解決するような問題ではなかったため、今日も引き続き悩んでいた。
留学先の学舎から与えられた個室。その中央に置かれた机の上には、数日をかけて作り上げた紙束が載っている。
表紙には、定規を使って引いた線の間に、几帳面な文字でこう記されていた。
『将来的な婚姻関係の円滑な構築に向けた長期能力向上計画・第一版』
要するに、女性に好かれるための手順書だった。
ここへ至るまでには、少々長い事情がある。
ヴェルヴァルドは、公爵家の次男として生まれた。
家柄は申し分ない。
容姿も、本人はあまり意識していなかったが、客観的にはかなり優れていた。幼い頃から同年代より背が高く、濃い金色の髪と切れ長の琥珀色の瞳、甘い容姿を持ち、将来は相当整った青年になるだろうと周囲から言われていた。
ただし、黙って立っていても目つきがやや鋭く、少し眉を寄せるだけで機嫌が悪そうに見えた。
さらに、口を開けば大抵言葉が足りなかった。
そして何より、魔法が使えなかった。
魔法立国において、高位貴族の子息が魔法を使えないというのは、本人の努力だけではどうにもならないほど大きな欠点だった。
幼い頃、周囲の大人たちは皆、成長すればいずれ使えるようになると言った。
魔力の発現が遅いだけだ。
公爵家の血を引いているのだから、心配はいらない。
焦らず訓練を続ければよい。
ヴェルヴァルドも、それを信じた。
もちろん努力した。
魔力を感じ取るための瞑想をした。
術式もすべて暗記した。
魔導具を用いた補助訓練も行った。
体内の魔力を巡らせるという感覚を理解するため、吐き気がするまで集中を続けたこともある。
だが、何をしても火花一つ起きなかった。
周囲の子供たちが一つずつ基礎魔法を覚えていく中、ヴェルヴァルドだけは何もできないままだった。
期待は、やがて憐れみに変わった。
憐れみは、失望に変わった。
公爵家の子息であるため、正面から馬鹿にする者は多くなかったが、ヴェルヴァルドは幼い頃から人の顔色にはよく気づいた。
会話の途中で生まれる不自然な間。
背後で交わされる目配せ。
魔法の実演が始まると、気まずそうにこちらを見る者。
――お気の毒に。
言葉にされなくても、それくらいは分かった。
その中で、唯一、一切遠慮しなかったのが、二歳年上の第一王子ドライエンだった。
「今日も何も出なかったのか。」
顔を合わせれば、まずそう言われた。
「公爵家の血を引いていても、駄目なものは駄目なのだな。」
「剣ばかり振っているようだが、魔法から逃げているだけではないのか。」
「その体格だけは役に立ちそうだ。荷物持ちにでもなればよい。」
ヴェルヴァルドは、何度も聞き流した。
王子である。
しかも将来、王になる可能性が高い。
言い返して得をすることは一つもない。
家族からも、決して逆らうなと言われていた。
だが、ドライエンは会うたびに言葉を重ねた。
ヴェルヴァルドが二歳年下でありながら自分より背が高かったことが気に入らなかったのかもしれない。
剣術で一度も勝てなかったことが腹立たしかったのかもしれない。
あるいは単に、反撃してこない相手を見つけただけだったのかもしれない。
理由は分からなかった。
分かったのは、ドライエンがヴェルヴァルドを嫌っていることだけだった。
決定的な事件が起きたのは、ヴェルヴァルドが十二歳の時だった。
王家が主催した、高位貴族の子息を集めた小規模な闘技会。
開催前から、家族には何度も言い聞かされていた。
「絶対に第一王子へ勝ってはならない。」
「挑発されても聞き流せ。」
「何があっても、殿下へ怪我を負わせるな。」
ヴェルヴァルドも、意味は理解していた。
闘技会とはいえ、純粋に強さだけを競う場ではない。
王族の面目。
貴族同士の関係。
公爵家の立場。
たとえ自分の方が強くても、第一王子へ勝ってよい理由にはならない。
ヴェルヴァルドは何度も頷いた。
実際、決勝戦が始まるまでは、適当なところで負けるつもりだった。
相手の攻撃を受け、少し粘り、見栄えのよい形で剣を落とす。
その程度の加減はできると思っていた。
ただし、ドライエンはいつも以上によく喋った。
「剣だけは得意らしいな。」
向かい合った直後、王子は観覧席にも聞こえる声で言った。
「魔法が使えない者が、ほかに縋るものもなく剣へ逃げただけだろう。」
ヴェルヴァルドは黙っていた。
「どれほど鍛えても、魔法を使える者には勝てない。公爵家も、役立たずの息子をどう扱うか困っているのではないか。」
黙っていた。
「兄が家を継げば、お前には何も残らないな。」
それでも、黙っていた。
「まあ、婚姻くらいはできるかもしれないが。」
ドライエンは観覧席へ目を向けた。
そこには彼の婚約者である侯爵令嬢をはじめ、何人かの高位貴族の子女が座っていた。
「もっとも、魔法も使えず、愛想も悪く、剣を振り回すしか能のない男へ嫁ぎたい女がいればの話だが。」
何かが切れた。
試合開始の合図が鳴った。
ヴェルヴァルドは、負けるための動きを全て忘れた。
ドライエンが放った魔法をかわし、一気に間合いへ入った。
剣を弾く。
足を払う。
倒れた王子が立ち上がろうとする前に、木剣を振り下ろす。
肩。
腕。
脇腹。
脚。
ドライエンが何か叫んでいたが、聞こえなかった。
周囲からも声が上がっていた。
止めろ。
もう勝負はついている。
誰か、引き離せ。
それでもヴェルヴァルドは止まらなかった。
後になって確認すると、幸い骨は一本も折れていなかった。
しかし全身に打撲を負い、右手は腫れ上がり、ドライエンは数週間筆さえ握れなくなった。
家族は青ざめた。
ヴェルヴァルド自身も、我に返った時には青ざめた。
公爵家は王家へ平身低頭謝罪し、多額の見舞金と贈り物を用意し、政治的な譲歩もいくつか行った。
王家側にも、ドライエンが長期間ヴェルヴァルドを侮辱していた事実を知る者がいたため、最終的には数か月の謹慎という比較的軽い処分で済んだ。
ヴェルヴァルドは反省した。
逆上しやすい自分の性格を恥じた。
もっと冷静になるべきだった。
王子を相手に、感情のまま剣を振るうなどあってはならない。
だが、本当の意味で後悔したのは、謹慎が解けた後だった。
ドライエンは、ヴェルヴァルドを許さなかった。
直接顔を合わせることは減ったが、その取り巻きたちは、茶会でも、訓練場でも、貴族子弟の集まりでも、事あるごとにヴェルヴァルドを嘲笑した。
魔法の使えない落ちこぼれ。
王子へ剣を振るった危険人物。
怒ると手がつけられない乱暴者。
女性たちの目の前で、倒れた王子を何度も打ち据えた無法者。
話には、少しずつ尾鰭がついた。
そのうちヴェルヴァルドは、骨を何本も折ったことになった。
さらに数か月後には、止めに入った騎士まで殴り倒したことになった。
翌年には、王子を殺しかけた大罪人になっていた。
ヴェルヴァルドへ近づく者は減った。
彼と話せば、第一王子派から目をつけられる。
剣術大会以前には普通に会話をしていた者も、目が合えば気まずそうに逸らすようになった。
残ったのは、王族や主流派から同じように距離を置かれていた、はみ出し者二人ほどだった。
三人で集まっては、周囲に対する毒を吐いた。
それなりに気は合った。
ただし、三人とも社交性が高くなかったため、友人関係が広がることはなかった。
特に、女性との接点はほぼなくなった。
婚約者を決める年齢になっても、ヴェルヴァルドには一件の話もまとまらなかった。
公爵家の家格だけを見れば、候補がいてもおかしくない。
だが、魔法が使えない。
第一王子に目をつけられている。
怒れば相手を半殺しにする。
ついでに目つきも悪い。
少し眉を寄せるだけで、周囲からは機嫌が悪いと誤解された。
普通に考えれば、大切に育てた娘を預けたい相手ではない。
このまま国内の社交界へ出し続けるのは難しい。
そう判断した父は、熱が冷めるまでヴェルヴァルドを国外へ置くことを決めた。
十四歳の時だった。
ヴェルヴァルドは腹を立てた。
自分が追い出され、ドライエンが国内に残る。
負けたようで癪だった。
だが、その判断が正しいことも理解していた。
留学先について希望を聞かれた時、ヴェルヴァルドが真っ先に挙げたのは、世界でも随一の工業国だった。
彼は幼い頃から、魔導具を分解することが好きだった。
魔法は使えなくても、なぜその道具が動くのかは知りたかった。
壊れた部品を並べ、内部の構造を確かめる。
要らなくなった部材や廃材を組み合わせ、別の道具を作る。
見よう見まねで図面を引き、失敗すれば描き直す。
家族からは何度か、壊れていない魔導具まで分解するなと叱られた。
その点については反省した。
反省はしたが、構造への興味は消えなかった。
工業国での学びは楽しかった。
自分の頭の中にあるものを、どうすれば現実の形として生み出せるのか。
力がどのように伝わるのか。
物体がなぜ動き、なぜ止まるのか。
金属の性質。
熱の移動。
歯車の組み合わせ。
図面を引き、部材を作り、組み立て、動作を確認する。
動かなければ原因を探し、改良する。
全てが面白かった。
実際の工房へ出入りし、職人や技術者と話す時間も好きだった。
この国では、魔法を使えないことが致命的な欠点ではなかった。
魔法がなければ、別の方法を考える。
できないなら、できる仕組みを作る。
それでよいのだと、初めて思えた。
しかし、留学生活へ慣れるにつれ、別の焦りが生まれた。
学ぶことは楽しい。
作ることも楽しい。
だが、いずれは故郷へ帰らなければならない。
帰る先は、魔法を中心に成り立つ国である。
ここで学んだことを、どれほど活かせるかは分からない。
そして、もう一つ。
結婚できないかもしれない。
留学先の学友には、恋人や婚約者のいる者が多かった。
平民の青年が、故郷の恋人から届いた手紙を何度も読み返していた。
商家の息子が、婚約者から届いた焼き菓子を皆へ配っていた。
下級貴族の学友は、次の休暇に恋人と湖へ行く予定だと嬉しそうに話していた。
ヴェルヴァルドは、興味のない顔をして聞いていた。
「手編みの手袋より、市販品の方が網目も均一で耐久性が高いのではないか。」
恋人から手袋を贈られた友人へ、そう言ったこともある。
「お前には何も分かっていない。」
真顔で返された。
確かに、何も分かっていなかった。
それでも、非常に羨ましかった。
自分には、家族以外から私的な手紙が届いたことすらない。
舞踏会の儀礼以外で、同年代の女性の手を握ったこともない。
まともに会話した回数も、片手で数えられるかもしれない。
しかも、現在通っているのは技術工学を専門とする学舎である。
女性はほとんどいなかった。
最も頻繁に会話する女性は、家庭管理学を担当する初老の教授だった。
教授は人格も知識も申し分なかったが、ヴェルヴァルドが求めている方向とは少し違った。
兄には、十三歳の頃から交流を続けている婚約候補の令嬢がいる。
休暇になると、贈り物を選んでいる。
手紙も書いている。
大変羨ましい。
本当に羨ましい。
ヴェルヴァルドも十七歳だった。
年頃の男だった。
恋人が欲しかった。
女性から好意を向けられてみたかった。
誰かに選ばれてみたかった。
ヴェルヴァルドは、モテたかった。
モテたい。
とにかくモテたい。
どうにかしてモテたい。
彼女が欲しい。
そこで、手順書を作ることにした。
ヴェルヴァルドは工業の道を進む男子である。
そこに工程表や手順書を作らないという選択肢は存在しなかった。
何事も、まずは現状の把握と計画から始めるべきである。
女性をうっとりさせる詩や手紙を書くことはできない。
だが、図面や仕様書なら朝飯前だった。
表紙をめくる。
一枚目には、以下のように記されていた。
目的。
将来の伴侶候補から、好意的な評価を得る。
最終目標。
婚約、またはそれに準ずる長期的かつ継続的な関係の構築。
重大な制約条件。
魔法使用不可。
第一王子との関係不良。
国内における悪評。
対女性会話経験の不足。
最後の項目を書いた時だけ、ヴェルヴァルドの筆は少し止まった。
だが、事実は事実である。
問題を正しく認識しなければ、改善はできない。
自分は魔法を使えない。
恐らく、今後も使えるようにはならない。
公爵家の人間である以上、婚姻相手は貴族の女性になる可能性が高い。
魔法立国の貴族女性であれば、当然、夫となる者が魔法を使えるかどうかは気にするだろう。
その大きすぎる欠点を補うためには、別の魅力が必要だった。
女性を楽しませる技能。
安心させる技能。
一緒に暮らすうえで役立つ技能。
女性は、何をすれば喜ぶのだろう。
直接聞くことができれば早い。
しかし、そんなことを聞ける女性がヴェルヴァルドにはいない。
そこでまず、自分が楽しいと思うことから考えた。
美味しいものを食べるのは、恐らく誰でも楽しい。
料理。
ヴェルヴァルドは項目へ加えた。
貴族は本来、自分で料理などしない。
使用人が行う。
だが、できないより、できた方がよい。
不測の事態で一時的に使用人がいない可能性等も想定すべきだ。
旅先で食事に困ることもあるかもしれない。
恋人が空腹であれば、何か作れた方がよい。
掃除。
洗濯。
裁縫。
これもやはり通常は使用人の仕事だったが、同様の理由でできないよりはできた方がよい。
馬術。遠乗り。旅程管理。野営。火起こし。狩猟。食べられる野草と薬草の判別。
遭難時の対応。応急処置。護衛。雨天時の代替計画。寒冷地での体温維持。荷物の軽量化。
女性が好む菓子の研究。
髪の手入れ。
最後の項目で、ヴェルヴァルドは少し考えた。
女性の髪は長いことが多い。
旅先や入浴後、使用人がいなければ困るかもしれない。
櫛の種類。
油の選定。
髪質に応じた乾燥方法。
これも学んでおいた方がよい。
項目は順調に増えていった。
数日後には、手順書というより、人生の技能習得計画に近くなっていた。
だが、できることが多くて困ることはない。
ヴェルヴァルドは満足していた。
問題は、それらを披露する機会だった。
料理ができても、貴族令嬢の前で厨房へ入る機会などほとんどない。
野営ができても、初対面の令嬢を森へ連れていけば、好意を得る前に警戒される可能性が高い。
庭園散策中に突然火を起こすのも不自然だった。
ヴェルヴァルドは悩んだ。
「まず、文通か……?」
手紙で、留学先で学んだことをそれとなく伝える。
ただし、専門用語を並べすぎてはならない。
女性が興味を持てるように書く必要がある。
交流が深まったら、庭園を散策する。
草木の知識を披露する。
不測の事態が起きて、技能まで確認してもらえれば尚良いだろう。
次に馬で遠乗りをする。
馬術を見せる。
そこでも何か自然に印象付けられるような手技を盛り込みたい。
さらに関係が進めば、小旅行へ誘う。
長期間だ。途中で何かが起きた場合、火起こし、料理、応急処置、野営技能をきっと自然に披露できる。
不測の事態が起きなかった場合に備え、非常食、薬草、火打ち石、予備の外套、櫛を持参しておく。
完璧だった。
なお、恋人との庭園散策へ、遭難を想定した装備一式を持参する男が魅力的に見えるかどうかについては、手順書に記載がなかった。
また、
女性へ怒鳴らない。
怖い顔で睨まない。
相手が間違えても、正論で追い詰めない。
照れた時に悪態をつかない。
褒められた時に否定しない。
好意を言葉で伝える。
という、技能以前の重要事項も、綺麗に抜け落ちていた。
ヴェルヴァルドの能力には着実に磨きがかかっていったが、女性と普通に会話する能力だけが、工程から外れたままになっていた。
最後に、ヴェルヴァルドは将来の伴侶について考えた。
どのような女性がよいだろう。
これまでの人生で、同年代の女性との接点があまりにも少なかったため、明確な想像は難しかった。
それでも、希望を書き出してみる。
儚げで、可愛らしく、綺麗な女性がよい。
ただし、ただ守られているだけではなく、尊敬できる程度には何か強く、格好よいところもあるといい。
また、自分がいなくても何でもできる女性では、ヴェルヴァルドが身につけた技能を披露する機会がない。
多少、放っておけないところがあった方がよい。
一人では食事を忘れる。
髪の手入れを面倒がる。
危険なことを平然と行う。
その程度なら、自分の能力も役に立つ。
科学や工学へ興味を持ってくれる女性なら、さらによい。
きっと話題に困らない。
更に、何十年も一緒に過ごす相手である。話していて面白く、少し変わったことを言う方が、退屈しないだろう。
髪は長い方がよい。
せっかく手入れの方法を学ぶのだから、実践する機会があった方がよい。
料理については、どうだろう。
最初は、料理が得意な女性が望ましいと書こうとした。
だが、ヴェルヴァルドはすでに料理の訓練を始めている。
二人とも料理が得意では、技能が重複する。
役割分担の観点から考えると、相手は料理が不得手な方が効率的ではないだろうか。
ヴェルヴァルドは一度頷き、
『料理は不得手でも問題なし。むしろ望ましい可能性あり』
と書き加えた。
理想の伴侶へ、料理の下手さを求める十七歳の公爵令息は、世界中を探してもそれほど多くないだろう。
ヴェルヴァルドは完成した条件一覧を見つめた。
儚げで可愛らしい。
しかし尊敬できる点もある。
少し放っておけない。
科学や工学へ興味がある。
話していて面白い。
長い髪。
料理は下手でもよい。むしろ下手な方がよいかもしれない。
少し求めるものが多いだろうか。
ヴェルヴァルドは不安になった。
しかし、これは確定条件ではない。
実際に会えば、条件とは関係なく好きになることもあるだろう。
そのように注記を書き加え、紙束の端を丁寧にそろえた。
長期能力向上計画は、かなり完成へ近づいていた。
明日からも忙しい。
料理の実習。
家庭管理学。
応急処置。
薬草学。
髪の手入れに適した油についても、教授へ確認する必要がある。
だが、やるべきことが明確なのはよいことだった。
できなかったことが、できるようになるのは楽しい。
いつか自分を選んでくれる女性へ、少しでも多くのものを与えられるようになればよい。
ヴェルヴァルドは紙束を引き出しへ収め、鍵を掛けた。
表紙には、几帳面な字で、
『将来的な婚姻関係の円滑な構築に向けた長期能力向上計画・第一版』
と記されている。
なお、その計画書には最後まで、
『女性へ素直に好意を伝える』
という項目だけは追加されなかった。
こうして、女性に好かれるために必要なことを真剣に考えた結果、女性との会話以外は大抵何でもできる男が、着実に完成へ近づいていった。




