表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
BB  作者: 浅見カフカ
ハルドゥの悪魔篇

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
30/30

カールの話③

「この先に崩れた岩場があるんです。足場になっていて、いつもそこから降りています」

シムスはさらに奥の方を指差すと、先頭を歩き始めました。私は"いつも"という言葉に、彼の楽天的な迂闊さを危ぶみました。いくら人目を忍んだところで、彼は口から身を滅ぼすだろうと思いました。

その先はシムスの言う通り、崩れた岩場が階段状に広がって、我々は労せず崖下へと降りることが出来ました。

「あの中洲の岩場までは、流れが急すぎて近付くことが出来なかったんですよ」

確かにこの崖下に降りた途端、大声でなければ会話もおぼつかないほどに、川のごうごうという音が絶え間なく聞こえていました。

その時ふとあることに気付きました。

遠目に死体を見てから、ヘンリーの口数が極端に減っていたのです。

「ヘンリー、さっきからどうしたんだい?」

私がそう尋ねると「キースかもしれない」と、耳を寄せてようやく聞こえるような声で呟きました。

「まさかキースくんが?」

そう言ったは良かったのですが、彼は早朝に出たきりでした。どんなに長引いても、ヘンリーよりも後に戻ることは無いはずでした。

「カール、岩にロープを結んでくれ」

大声に顔を向けると、胴にロープを結んだディックが手を振っていました。

「カールさん、私のもお願いします」ヘンリーも自身の胴に結び始めて、片方の端を私に渡しました。

私はそれぞれのロープを結いつけると、大きく手を振って合図しました。

ふたりはそれを見ると、激流の中に身を投じました。私とシムスはロープを引きながら、彼らの身体を支えました。

——支えるつもりでした。

彼らが水に入った瞬間に、私たちは足元の石ごと引きずられました。重りの役にも立たず転げながら見た光景は、一気に流されながらも近くの岩にしがみつく彼らでした。

私は比較的安定した姿勢のディックのロープを放すと、ヘンリーのロープをシムスと引きました。

ヘンリーはロープが張られたことに気付くと、ゆっくりと動き始めました。何度も流れに揉まれながら、死体のある大岩に取り付くと、ヘンリーは小さく手を挙げました。

次はディックの番です。

ディックはヘンリーのロープを目指しました。

ヘンリーと私たちが張っているロープです。

急流の盾になっていた岩陰を離れた途端に、ディックは足を滑らせました。

瞬間、私は数歩前に出ました。

ロープがたるみ、川に沈みました。

刹那、ロープが一気に引かれました。

私とシムス、岩場のヘンリーは一気にロープを水上に張りました。

そこには両腕を引っ掛けてぶら下がる、ずぶ濡れのディックがいました。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ