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第22話 戦利品と次の階層。

 ざらざらとモンスターたちが消えていくにつれ、戦利品であるドロップアイテムがどさどさとオレ達の目の前に積まれていく。


「角オクラ、花オクラ、丸オクラ、島オクラ、赤オクラ、白オクラ……種類多いわね?!」

「ノパル、これはウチワサボテンの葉か。カクタスペアはウチワサボテンの実の方?で、ピタヤが所謂ドラゴンフルーツ……ってなんだコレ???」


 ノパルは雑魚のドロップで、カクタスペアも同じく雑魚ドロップ。

 で、ボスは例の小箱3つに続いてドラゴンフルーツの色違いを数種類出してきたんだけど……


 最後に、謎の缶詰がどさりと積まれた。

 なんでサボテンから魚の絵のラベルの缶詰が出るんだよ!


「……ツナ缶……?サボテンからなんでツナ缶……?」

「ちっがーう!サボテンの実の別名称はトゥナであってツナじゃない!!」

「ここの迷宮、外国語ダジャレネタも使うのかよ!!」


 そう、ツナ缶のツナとサボテンの実のトゥナ、言語が違うだけで綴り字は同じなんだよな。

 予測できなくもなかったのに引っかかった、って感じで、微妙に脱力しそうになる。


「むしろこのネタをやるためにトゥナをカクタスペア表記にしてる気配がするわね?」


 姉ちゃんが完全に呆れ顔だ。

 確かに葉っぱの方はカクタスリーフじゃなくてノパル表示だもんな。


「スーパーの会長さんってダジャレとか好きな人だったんだろうか」

「生まれは垂水だけど育ちがコッテコテの大坂ですって」

「アッハイ」


 そっか、育ちで染まって来た系か……


「それでもダジャレネタは珍しいといえば珍しいよねっ」

「干支ネタ組んでくる時点で今更感はあるわ」

「それもそう。で、報告に戻るの?」

「思ったより捗ったけど今回はこのままいくわ。不用意に開放しても普通のヒトにこのボスはちょっときついから」


 確かにレイド前提の攻め方してきたもんな、ここのボス。

 オレらのように高レベル少人数での討伐の方が捗るタイプな気はする。


 そんな訳で小箱は個別にしまい、他の戦利品はひとまとめにオレの収納に放り込む。

 うむ、種類が多いな!仕分けは自動だから問題ないけど。



 奥側、次の層に向かう魔法陣に足を踏み入れ、出た場所はまたもや熱帯雨林だ。

 南国フルーツとかお菓子っぽい香りがどこからか漂ってくるね?


 見回したら、目が合った。


「おおっと」

 無詠唱で結界を張る。こちらの頭をめがけて、目玉の付いた椰子の実が一直線に落ちてきたからね!


 がつん!と怖い音をさせて、結界にぶつかった椰子の実はそのまま地面に転がって消える。

 どうやらこいつの本体は椰子の木そのものであるらしい。


「いきなりこれかあ、殺意高めね」

「でも期待の熱帯エリアだからねえ、気合入れていきましょ」

「はいはい悪い木は伐採だよー!〈ウィンドスラッシュ〉」


 ここも雑魚はざっくりと刈り取る方針だ。

 雑魚にコアはないから、活動できない状態に追い込めばそれで倒せるからな。


「ココヤシ、アブラヤシの実、デーツ、アサイー、パンダンリーフ、スネークフルーツ」

「アサイーってヤシ科だったんだ」

「アブラヤシの実ってそのまま食えないって書いてあるよ?」


 これは鑑定結果だ。生食不可って書かれててさ。


「実は油を絞って搾りかすは紙の原料、種も油を搾って搾りかすはナッツとして食用、だったかな?油はどちらも食用になるから加工原料ってやつね!」

「アブラヤシは垂水第四のいちばん奥にも出るからねえ。アサイー?とスネークフルーツとやらは初見だけど」

「あー、スネークフルーツを入れたくてヤシ科スタートなのか」


 干支の順、辰の次は巳だもんね。

 つまりこの後何が出てくるかは51層に限っては謎、と。


 そう思ってたら、この層、出てくるのはひたすらヤシ科ご一行様だった。

 後半のドロップにパルミットとかパームシュガーが増えたくらいかな。

 最初のはヤシ類の食用になる新芽で、パームシュガーは樹液から取れる砂糖だそうな。

 砂糖は比較的貴重らしく、女子二人がニッコリだね!



 そんな感じでさっくり駆け抜けて次は52層だ。

 此処も熱帯雨林。

 但し、やたら重苦しかった50層、大小のヤシの木だらけで見通しの悪かった51層とは違い、なんかこう、人の手が入った感のある、すっきりした見通しのいい、それでも熱帯の林だ。


 遠くの方から、ドドドドドドド、と地鳴りがする。

 うん、何か群れで近づいてきてるね。巳の次だから午?つまりウマ?


「姉ちゃん、ウマってどっかにいた?」

「垂水じゃ見てないわね」

「え、ウマ、食べるの?」

「常食はしないけど、食べなくはない。さくら刺しといってね、生食文化がある地域もあってね」


 なんと、エルディム人、ウマは食べないらしい。

 いやまあ地球人でもウマは食べない人種、結構多いけどさ。


 地鳴りはどんどん近づいてきて、ついに音の主が姿を現す。


 しましま軍団……?


「シマ……ウマ?」

「シマウマっぽいけど多分地球現存種とは別じゃないこれ?」

「架空種ってラベルが付いてるよ」


 当然事前にオレが物理結界と防壁を立てているので、どかどかと音を立ててぶつかる、幅広のカラフルなしましま模様の、明らかにデフォルメされた、馬っぽい、としかいえない集団。


 いやね?シマウマ、といいたいところなんだけどね?

 鑑定結果が『しましまうま』なんですよ。


「ネーミングがファンシーすぎるんだが」

「しましまうま……?」

「シマウマが絶滅危惧種だから下手にモンスターに採用すると保護活動が起こるとか?」

「もしくは実際のシマウマを知らないからそれっぽいのを出してきた?」

「あ」


 姉ちゃんのどこかメタい発言は置いておく。ありそうで嫌だが。

 リケラの実際のシマウマ、という単語で思い出したものがあるんだ。


「姉ちゃん、あれじゃない?絵本の『しましまうまうま』!」

「……あー!あの柄だわ確かに!」


 ここいら育ちの、オレや姉ちゃんの世代なら大抵誰でも見たことある絵本が『しましまうまうま』だ。

 といっても地方出版社で出された本だから、全国区じゃないはず。

 オレらのじいちゃん世代の、茂崎在住の絵本作家さんが自費出版した本だからな!


 中身は確か白いウマがシマウマになりたくて、いろんな縞模様を捜し歩く話だったはずだ。

 まあ内容は現状このモンスターとは関係なさそうだが。

 なお例によってしましまうま達は速度で自滅している。

 本当に攻撃パターンが少ないな、ここの道中モンスター。


 ドロップの方はといえば主に馬肉でした。

 そうだよな、あの主人公、シマウマになりたい「ウマ」だったしな。


「こんなぬるい50台っていいのかしら」

「普通のヒトにはあの集団突撃は十分脅威だぞ?」


 姉ちゃん、やっぱり感性が一般からずれてんなあ。レベル500越えてる逸般人だからしょうがないけど。


 何がやばいって、ここ攻略してても、オレ達3人とも殆ど経験値の取得がないらしいんだよね。

 つまり、垂水の50台はこれでも完全に格下だ。


 まあ聞いた話だと垂水は階層数マイナス5レベル、逆に茂崎は階層数プラス10レベルらしいけどな、モンスターレベル。


 だとしたら3桁後半以上しかいないオレらの経験値にはならないかもね、確かに。


 なお、肉に混じって、ワイルドベルガモット(ホースミント)とかホースラディッシュとか、ケッパー、ショウガ、それにクミンシードもドロップしている。


 前半はダジャレだが、後半はやや熱帯系だな?

 カレー粉必需品のクミン、ウマゼリともいうんですよね。

 余談:作者、アイスのしましまうまうまバー好きなんですよね、なもんでつい。


 そういやパンダンリーフ、ヤシ科じゃねえなあ……まあいっか。

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