表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
33/34

守りたいもの

北門。

災害級魔物。

それが現れた瞬間。

王都の空気が変わった。

兵士達の顔は青い。

避難は終わっている。

でも、

恐怖は消えない。

巨大な魔物は。

ただ立っているだけで脅威だった。

◇ ◇ ◇

ゴォォォォォォ!!

咆哮。

地面が揺れる。

窓ガラスが割れる。

兵士達が耳を塞ぐ。

私も思わず身を縮めた。

怖い。

すごく怖い。

◇ ◇ ◇

でも。

目の前には。

ミルちゃん。

アレンさん。

ルーク。

レオンさん。

みんながいた。

だから。

逃げたくなかった。

◇ ◇ ◇

「ティナ!」

アレンさんだった。

「下がれ!」

ルークも叫ぶ。

「ここは俺達がやる!」

いつもなら。

言うことを聞いていた。

でも、

今日は違った。

◇ ◇ ◇

私は前を見る。

避難している人達。

泣いている子供。

怪我をした兵士。

震えている人達。

その光景を見た瞬間。

胸が痛くなった。

『守れ』

また声が聞こえる。

優しい声。

懐かしい声。

誰の声かは分からない。

でも、

嫌じゃなかった。

◇ ◇ ◇

魔物が前足を振り上げる。

狙いは。

避難が遅れた兵士達。

私は反射的に走った。

「ティナ!?」

ミルちゃんの声。

アレンさんもルークも驚く。

でも、

止まらない。

◇ ◇ ◇

ドォォォン!!

魔物の腕が振り下ろされる。

兵士達の顔が絶望に染まる。

間に合わない。

誰もがそう思った。

その瞬間。

私は手を伸ばした。

そして。

無意識に言葉が零れる。

「守って。」

◇ ◇ ◇

次の瞬間。

世界が光った。

眩しい。

真っ白。

誰も目を開けられない。

ゴォォォォォ!!

魔力が吹き荒れる。

◇ ◇ ◇

光が消える。

そして。

全員が見た。

巨大な光の壁。

王都を守るように。

兵士達を守るように。

空へ伸びていた。

魔物の攻撃は。

完全に止められていた。

◇ ◇ ◇

静寂。

誰も喋らない。

兵士

「嘘だろ……」

ミルちゃん

「ティナちゃん……?」

アレンさん

言葉を失う。

ルークも。

レオンさんも。

ただ見ていた。

◇ ◇ ◇

私自身も驚いていた。

「え?」

何これ。

私やったの?

知らない。

本当に知らない。

◇ ◇ ◇

その時だった。

黒ローブの男。

初めて。

心から驚いた顔をした。

「まさか……」

小さな声。

「ここまで目覚めているとは。」

◇ ◇ ◇

すると。

私の足元。

光が集まり始める。

ふわり。

ふわり。

優しい光。

暖かい。

懐かしい。

そして。

私の頭の中に。

映像が流れ込んできた。

白い花。

青い空。

笑い声。

たくさんの白猫の獣人。

そして。

誰かが私を抱き上げる。

『ティナ。』

優しい声。

『お前は希望だ。』

私は目を見開いた。

知らない人。

でも、

なぜか。

涙が出た。

◇ ◇ ◇

その瞬間。

ルークが固まる。

信じられないものを見るように。

震える声で呟いた。

「……長老。」

◇ ◇ ◇

そして。

黒ローブの男の笑みが消えた。

「あり得ない。」

初めてだった。

男が動揺したのは。

「死んだはずだ……」

ルークが男を睨む。

今までで一番冷たい目。

そして。

低く呟いた。

「やっぱりお前か。」

風が吹く。

誰も動かない。

男の正体。

そして。

白猫の里を滅ぼした真実。

その全てが。

少しずつ姿を現そうとしていた――。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ