悪質プレイヤー
ロバに乗ったオークの集団。
アルフィーが自分を脇に抱えたプライに対して、拳を振り上げては叩いていた。
「じょ、女王様、そんなご褒美を頂かなくても、我々は――あふぅ!」
叩かれて嬉しそうなプライを横目にしているのは、デュームだった。大剣よりも更に大きな鉄塊のような巨大な剣を背負っていた。
そんな物を背負う、巨体のオークを乗せて走るロバたちは速い。周囲で見ているプレイヤーたちが、驚くほどに速かった。
「てめぇ! 一人だけご褒美を貰うとはどういう事だ! 女王様をこっちに渡せ! 俺が叩かれる!」
ブレないオークたちに対して、アルフィーが叫んだ。
「いい加減に離しなさい! ポン助の救援に向かうんですよ!」
だが、それを聞いてもプライはアルフィーを離そうとはしなかった。
「……駄目です。それが、私とポン助君との約束です。三人は絶対に冒険者ギルドまで届けます」
アルフィーが下を向いて、抵抗を止めるとプライが少しだけ残念そうにしていた。
アルフィーも、プライの言っている事が理解できている。
誰かが残って時間を稼げば、自分たちは無事にクエストをクリア出来るのだ。
マリエラは、オークの腕から抜け出すとその背に乗って周囲を見回していた。
「見えてきた!」
冒険者ギルドが建物の隙間から見えるようになり、もう少しで到着することが出来る。
ポン助からロバを借りたナナコも、ようやくゴールが見えて安堵した。だが、ポン助のことを思い出す。
「ポン助さんは無事でしょうか?」
周囲を守るように併走しているオークたちは、少し悩んで本当の事を告げることにしたようだ。
「……相手はレベル制限をかけた悪質なプレイヤーたちだ。レベル差が大きすぎれば、攻撃した段階でペナルティが発生する。それを分かっているから、ギリギリのレベル六十で攻撃を仕掛けてくるんだ」
つまり、相手は手慣れているのだ。
「ポン助君は、たぶん時間稼ぎをしたら復活する。だから、大丈夫だ」
ナナコが俯くと、ロバが鳴いた。馬とは違う鳴き声は、まるでナナコを慰めている様子だった。
オークには厳しいのに、他の種族には優しいロバ。
だが、ここでアルフィーが気付いた。
(あれ? でも、ナナコちゃんは私たちがレベル上げを手伝いはしましたけど、私たちよりも明らかにレベルは――)
そう。ナナコのレベルは、ポン助たちのようにカンストしてはいなかった。
アルフィーが顔を上げる。
「おかしいです。それなら、なんであいつらはナナコちゃんを狙うような――」
自分の思考の延長で口を開いてしまったために、周囲にアルフィーの言いたい事は伝わらなかった。
ロバたちが急な曲がり角を、体を限界まで斜めにして走り抜けると冒険者ギルドの入口が見えてきた。
広場になっており、朝や昼とよりは少ないがプレイヤーたちの姿も確認できる。
「到着だ! これで――」
オークの一人が口を開き、安堵したところでロバの背中から後方へと吹き飛んだ。
「ギートォ!」
デュームが叫ぶと、パイナップル頭のオークが後方で転がり赤い光になって消えていく。
リーダーのプライがロバから飛び降り、大盾を構えると目の前にはニヤニヤとした四人のプレイヤーたちが立っていた。
ホスト風の髪型をして、醜悪な笑みを浮かべる四人組。
アルフィーもプライに抱えられたので、一緒にロバから降りて武器を構える。
「ギートのレベルはいくつですか! 貴方たちと同じでカンストしていませんよね!」
確認するようなアルフィーの言葉に、プライは視線を目の前の四人に向けつつ答える。
「新人ですけど、レベル三十まですぐに上がりますからね。今は三十六――どういうことだ?」
プライも気が付いたようだ。
そう……相手とのレベル差が開きすぎているのに、相手側にはなんのペナルティも発生していなかったのだ。
大剣を持った男が、剣をダラリと下げて構えると口角をつり上げてナナコを見ていた。
「み~つけた。あのオークが邪魔をしたけど、なんの意味もなかったな。なぁ? 今どんな気分?」
ポン助の行動を無駄と言い切り、そして笑っている四人組を前に八人は動けずにいた。
すると、ロバが暴れてナナコは無理やり下ろされた。
「きゃっ! ロ、ロバさん!?」
そのままロバはどこかへと駆けだしてすぐに見えなくなってしまった。
(……負けたのか?)
真っ暗な空間。浮いているような感覚の中で、ポン助は四人の悪質なプレイヤーたちの顔を思い出す。
ポン助は悔しくて手を握りしめた。ギチギチと手や腕の筋肉が音を立てるのを感じ、そして体が熱くなる――そう、熱くなった。
浮遊感の中、熱い何かが体に流れるのを感じる。
崩れた体がより強固に生まれ変わろうとしているのを感じ、そして野生がポン助の――明人の心を侵食しようとしていた。
(憎い! 潰せ! 奴らを殺せ!)
それはまるで本来のオークが持つ凶暴性のようなもの。
ポン助の心がのみ込まれそうになると……握りしめた手に暖かい何かを感じた。
クエストで手に入れた“優しき心”という名の石だった。
(……あの時の石?)
心が随分と穏やかになり、そしてオークの野生がどこかへと消えていく。代わりに少しだけ掌が大きく……手足が太くなった気がした。
直後、急に背中から落ちていく感覚に、目を見開く。
「っ! ……夢?」
今まで見ていたのは、夢だったのだろうか? そう思ったポン助は、右手を開いてみると前よりも少し大きな掌に小さな石が乗っているのを見た。
上半身をゆっくり起こし、周囲を見るとそこが神殿であると気が付く。
「復活したのか」
石造りのベッドから降りると、そのまま自分の武器を確認する。持っていた武器は壊れ、予備も使い物にならないガラクタになっていた。
ほとんどなんの装備も付けていない、褌姿のオークになっている。
「……急がないと」
石をアイテムボックスに放り込み、そして駆け出すといつも以上に速く走れている気がした。
気が急いて、興奮しているのか体が良く動く。
体に力が入る。まるで有り余っている感じだった。
神殿の入口から大きくジャンプをすると、数人のプレイヤーを飛び越して着地をした。
そのまま駆け出す姿を見たプレイヤーが、青い顔をしているが気にしない。
「失礼! 急いでいます!」
すると、そんなポン助の隣を走るロバが一頭。
「お前!」
首を動かし、背中に乗れと言ってくるロバ。
「……お前の事は、少しだけ見直した!」
ロバに跳び乗ると、ロバはそのまま一鳴きして全速力で駆け出す。
ロバに乗ったポン助に道を譲るプレイヤーたちは、全員が大きなオークの背中を見続けるのだった。
冒険者ギルドの前。
「ぐっ!」
銃で撃たれたデュームが、持っていた巨大な剣を破壊され膝をつく。
既にギド、デイダダ、モブ男の三人も消えてしまい、残っているのはプライとデュームだけだった。
ナナコたちを守ろうと奮戦するも、手も足も出ずにやられていく。
そして――。
「ふざけんなよっ! ――またかよっ!」
四人組に斬りかかったのは、冒険者ギルドから出て来たプレイヤーたちだ。ナナコたちの様子を見て、加勢してくれているのだ。
しかし、そんなプレイヤーたちも、二刀流の男に斬られて消えていく。
斬りかかっても、警告が時折出てしまうために体が止まるのだ。その瞬間に斬られてしまうので、手も足も出ない。
マリエラが弓を構えても、攻撃されていないために警告が出ていた。
「なんでよ! 悪いのはあっちじゃない!」
周囲ではGMにコールを入れているプレイヤーもいれば、遠くから見ているだけのプレイヤーたちもいた。
関係ないとどこかへ逃げるプレイヤーもいれば、興味がないのかクエストを受けて外に飛び出していく一団もいる。
だが、騒ぎは大きくなり冒険者ギルド前には、多くのプレイヤーたちがつめかけていた。
それを見て大剣を持った男が嫌そうな顔をする。
「んだよ、暇人共が。見世物じゃねーぞ」
そう言って剣先を周囲に向けると、短剣を持って猫背になったプレイヤーがゲラゲラと笑っていた。
「最高の見世物だろうが! 弱い奴が泣きながら許しを請うとか、最高だっての!」
それを聞いて、大剣を持った男は納得した。
「あぁ、そうか。それに、こいつらには刺激が足りないみたいだよな。二十二時から二時までは、こういうノリも普通だったのにさ」
元は二十二時から二時という、プレイヤーの多い時間帯で遊んでいたのだろう。時間帯が違い、ノンビリしている雰囲気を馬鹿にし始める。
「もっとゲームを楽しめば良いのによ。優等生みたいに、アレは駄目、コレは駄目……パンドラってゲームは、もっと過激なゲームだって俺たちが教えてやらないとな」
集まった顔ぶれを見ながら、四人はどうでも良さそうにしていた。
マリエラが歯を食いしばり、そして四人の行動に疑問を持った。
「……どうしてこいつらが放置されているの? それもそうだけど、なんでこいつらこんなに目立って平気そうな顔をしているのよ」
ここまで派手に暴れ回れば、ゲーム内どころかリアルのネットで叩かれるだろう。しかし、それを恐れてはいない様子だった。
アルフィーがナナコの前に立ち、剣を構えると数人のプレイヤーたちが同じようにアルフィーと並ぶ。
「おい、GMコールはしたんだよな!?」
味方をしてくれるプレイヤーの声に、アルフィーは頷いた。
「しました。私だけじゃなく、他のプレイヤーにも頼んだんです。でも……」
周囲を見回しても、GMやその関係者が来る気配がない。
左手を耳に当てていたプレイヤーが、青い顔をする。
「おい、まずいぞ。ゲーム内に負荷がかかっていやがる。誰かがGMコールを連発して、その対応に運営が追われているみたいだ」
運が悪い――と、言い切れない。
アルフィーは余裕の笑みを浮かべる四人組に向かい、たずねる事にした。
「貴方たち……何かしましたね」
それを聞いて、口笛を吹いた悪質プレイヤーの一人が答えた。銃に弾丸を補充し、そしてアルフィーに向かって構える。
「誰が答えるかよ、バ~カ。ほら、消えろ」
引き金が引かれると、アルフィーは剣で防ぐように構えた。銃弾が命中し、耐久値がなくなって課金で得た武器が消えていく。
「もう、予備が――」
直後、他のプレイヤーたちが斬られ、消えていく。
マリエラがナナコを庇うように後ろに下がらせると、二人に敵の刃が迫って――。
「邪魔だ!」
大きな腕が二人の悪質プレイヤーを殴り飛ばした。
ナナコが叫ぶ。
「ポン助さん!」
小さなロバに乗り、駆けつけたのはポン助だった。
ポン助は、ロバから降りると四人組の前に立つ。
四人組は、心底面倒そうな顔をしていた。
「またお前かよ。もう飽きたから消えてどうぞ」
シッシ、などと手で追い払うジェスチャーをする悪質プレイヤーを前に、ポン助は喋ることなく立っていた。
激怒しているオークの表情は、鬼気迫るものがある。
相手側もポン助の威圧に押されたのか、武器を持って斬りかかった。
「もう、死んどけや!」
二刀流の男が目の前に迫ってくると、ポン助は拳を相手に叩き込む。
顔面に沈んだポン助の大きな拳は、相手をそのまま地面に叩き付けた。
「痛ぇ! なんだよこれっ! なんでこんなに痛ぇんだよ!」
顔を押さえ、両手に持った剣を放り投げた男は顔を押さえ泣きじゃくっていた。だが、ダメージ量から言えばたいした事はない。
しかし、四人の様子がおかしい。
「痛い? 嘘だろ」
「ダメージはそんなに入ってないだろうに」
「……お、おい」
雰囲気のおかしくなった四人を前に、アルフィーがポン助に叫ぶ。
「ポン助、相手は何か不正な手段を使っています! そのまま戦うのは危険です!」
周りからも、これまでの不自然さに野次が飛んだ。
「お前ら、チート使ってんじゃねーのか!」
「消えろ、チート野郎!」
「誰か録画して、こいつらの顔をさらせ!」
周囲が四人組に対して野次を飛ばし、そして囲み始めると四人の様子が更におかしくなった。
「ちっ! もういい、こいつら消したら強制ログアウトだ。どうせここまでだ」
どうせここまでという言葉を聞いて、ポン助が顔を押さえているプレイヤーの腕を掴んだ。
「あ?」
相手がポン助を睨み付ける中、ポン助は相手側に一対一の決闘を申し込む。
パーティー同士の決闘で、代表者を決めて決着を付けるタイプの決闘だった。
それを、無理やり認めさせる。
「てめぇ!」
相手側が怒鳴り声を上げると、ポン助はようやく口を開く。
「時間無制限……一対一で相手が死ぬまでの勝負だ。お前ら、逃げられないぞ」
冒険者ギルド前。
そこに淡い光が円を作って囲いになった。
強制的に円の中へポン助と四人組が転送され、そして大剣を持ったプレイヤーの前に誰を代表として出すか選択画面が出てくる。
「ふ、ふざけんな! 誰がお前なんかに付き合うかよ! こんなの無効だ!」
チートと言われ始めてから、彼らが逃げ腰になっているのを感じたポン助はゆっくりと口を開いた。
「そうだよな。怖いよな? チートだとバレたとき、運営はすぐにでも対応して念入りに調べてくるもんな」
オンラインゲームにチートを使用する行為は、かなり悪質である。
例えば、チートで希少価値のあるアイテムを量産。数値的におかしい武器や防具の製造は、ゲームバランスをあっという間に崩してしまう。
運営は、その行動に対して厳しい態度を取る。時には訴えを起こすことだってあるのだ。
「……勝手な事を言ってんじゃねーよ。証拠でもあるのか? 証拠だよ!」
一転して強気の態度に出るが、ポン助は動じなかった。
「その判断は運営がする。こうして逃げられなくしてしまえば、後は待つだけだ」
周囲がポン助に対して歓声を上げた。
「いいぞ、オーク野郎!」
「チート野郎共を運営に突き出せ!」
「お前らの映像は残してあるからな。絶対に運営に届けてやるよ」
周囲の声に四人が焦りを募らせるが、ポン助を見て冷や汗をかきながら笑っていた。
「なにが閉じ込めただ。お前を倒せばすぐにでも出てやる。むしろ、俺以外の三人が、お前の仲間を何度も殺して――」
そこに、随分と見慣れない一団が登場するのだった。
「――何度も何だって?」
装備は明らかに希望の都では手に入らない物だった。見るからに強そうな一団の先頭には、ルークが立っていた。
「よぅ、ポン助! 遅れたけど駆けつけてやったぞ」
手を振ってくるルークを見て、マリエラやアルフィーが膝から崩れるほどに安堵の表情を見せていた。
ポン助は右腕を上げる。
「外に出た三人を頼む」
すると、大剣を持った男以外の三人が円の中から強制的に排出され、ルークたちに襲いかかろうとした。
追い出された三人のプレイヤーたち。
レベル制限を解除し、そして武装をメインに切り替えると全員がなんとも不気味な鎧や武器で武装している。
そんな三人に対して、ルークが斬りかかった。
だが、一人だけがスキルやアイテムを利用して、ナナコへと迫る。
「ナナコちゃん!」
マリエラとアルフィー、そしてオーク二人も前に出ると短剣を持ったプレイヤーは勝利を確信したのか笑っていた。
しかし――。
「俺たちが一番嫌いな人種を教えてやる……お前らみたいなチート野郎共だ」
フード付のローブをまとった一団が、フードを脱ぐと二人が前に出た。
今まで散々苦労させられた悪質プレイヤーを、いとも簡単に足払いしてそのまま地面に槍で縫い付けて拘束する。
「がはっ!」
槍で突き刺され、足で踏まれたプレイヤーはもがくが一向に抜け出せない。
ルークがアルフィーたちの下に駆けつけると、ルークの仲間が残り二人を拘束していた。
「あんたら……攻略組か?」
四人組。その中の二人はレベル上げをしているところなのか、前に出ていない。高レベルである二人が引率する形でレベル上げをしていたのだろう。
槍を握りしめた男が、円の方へと視線を向けた。
「……こういう奴らは嫌いなんだ。それより、あのオークは装備を持っていないのか? すぐに負けるぞ」
レベル上げをしなおしているプレイヤーが、クスクスと笑っていた。
「あんなに恰好を付けたのに、ここで簡単にやられたら可哀想じゃない? 誰か、予備でもあげたら?」
すると、職人プレイヤーがマリエラに声をかけた。
「おい」
「え?」
職人――職人たちは、マリエラにポン助の装備について確認をする。
「あのオークの兄さん、どんな装備スタイルだ? 重量はどれだけ余裕がある?」
「防具も良いのが揃っているから、教えてくれない?」
マリエラが困っていると、アルフィーが答える。
「重量は無視して構いません! 左に大盾の片手剣です。鎧は主に軽装を使っていました」
すると、職人たちが顔を合わせた。
「うち、軽装ならすぐに用意できるよ」
「片手剣もピッタリのがある」
「大盾は? 誰か大盾を持ってないか?」
職人たちが持っていないというと、一人がその場で道具を出して作り始めた。
「誰かアイテム持って来い! 鋼鉄だ! オークに重量なんか関係ない!」
周りのプレイヤーたちが、持っているアイテムを確認し、職人たちに渡していく。ソレを見たルークが、アイテムを一つ取り出した。
「アイテムボックスの肥やしになっていた奴だ。使ってくれ」
職人たちが目を輝かせた。
「レアアイテムだ! こいつなら、結構な奴を用意できる! おい、誰か手伝え!」
ポン助と向き合うのは、大剣を持った男だった。
「この豚野郎が。人の邪魔ばっかりしやがって!」
相手の憤慨した表情に、ポン助も睨み付けた。その凄みに少し驚いたのか、軽口を叩き始める。
「なんだ? 怒ったのか? たかがゲームで熱くなるなんて馬鹿な大人だよな。お前、リアルで誰にも相手にされないんだろ? 当たった? ごめんね~」
馬鹿にした口調。
頭にくるが、今はそれ以上にポン助は許せなかった。
「お前は俺の大事な仲間を攻撃して殺した」
「……は? ゲームで殺す、ってなに? どうせ復活――」
相手の言葉を遮り、ポン助は続ける。
「――どうでもいい。マナーとか高尚なものをお前に語るつもりもない。僕が言いたいのは……お前が気に入らない。だから潰す!」
大きな両の拳を自身の目の前でぶつけ、そして声を上げて咆吼する。
“力の咆吼”が希望の都に響き渡ると、マリエラが叫ぶ。
「ポン助! みんなが武器を用意してくれたわ!」
アルフィーも声を張り上げた。
「そんな奴ら、ぶっ飛ばしてやってください!」
ナナコも叫ぶ。
「ポン助さん!」
アイテムがポン助に転送され、ステータス画面を開く。
大剣を持った男がその隙を突くように斬りかかった。
「馬鹿、誰がそんな隙を――」
すると、ポン助は大きく跳び上がり反対側に着地をすると、光に包まれた。
脅威の跳躍力を見せつけ、振り返ると真新しい装備に包まれたポン助の姿が現われる。
「――くっ!」
大剣を構える男は、ポン助を見て冷や汗を流していた。
「さぁ、お仕置きの時間だ」




