第十五話 奏視点
入学してからまだ三日しか経っていませんが楽しい学園生活を送っています
冬香ちゃんに学園について教えてもらいながらも徐々に学園の仕組みにも慣れてきて
最近驚いたのが学食にお昼を食べに行くと冬香ちゃんが
秋刀魚の丼(大盛りで)頼んで一人で完食しまして
本人曰くあともう一杯食べられるくらい好きだそうです。
あと3日前のスカウトされた統治会に所属する方になって
美佐ちゃん、龍二さん、冬香ちゃん、そして悠君も喜んで歓迎してくれたけれど
・・・僕はとても困ったことになっています
「ぜひ野球部のマネージャーに!」「いやバスケットに!」「テニスに!」
「水泳に!」「料理好きって聞いたけどお菓子研究会は?」「占いに興味ない!?」
「写真部に!できなくてもモデルに!」「コスプレに興味ない!?」
3日間ずっとこの調子でこういう時になった場合はいつも
「おい、朝っぱらからうるせぇ」
悠君が声を掛けると皆怖がって散り散りと教室に帰って行った
あと悠君もちょっぴり・・・いや結構怒ってる
「お前の毎日の登校は随分と賑やかだがこうも毎日だと疲れるんだがなぁ?」ゴゴゴ
「ご、ごめんね悠君いつも助けてもらって」
「赤坂先輩、ご自分の顔を鏡で見たらどうです?
はたから見ればか弱い少女を脅しているヤクザにしか見えませんよ」
「はっはっは、警察に通報すれば一発でアウトだな」
校門前には僕と悠君、そして冬香ちゃんと会長さんが集まり
教室に迎いながら今後のことを話し合った
「奏はなにかやりたい部活とかあるの?」
「この学園の部活は色々ありすぎてどんな部活があるのかも分かんないし」
「いっそ入んなくてもいいだろ?統治会には入るんだし」
「赤坂先輩としてはそれが一番いい思っていますが多くの生徒は
委員会、部活に一つずつ所属してますしこれからもこの騒ぎが続いていきますよ?」
「それは・・・ん?部活・・・多すぎる・・・」
「悠斗、ちょっと耳かせ」
悠君が屈んで会長さんに耳を傾けて何か納得したよう頷いた
「俺もその案には賛成だ」
「だろう?まぁさっきお前も同じ様な案を考えていたようだな」
「まぁまさにその通りなんだが・・・どうする?」
「報告は学園の掲示板に書き込んでおけばいいだろうし今日の放課後で大丈夫だろう」
「こんなめんどくさい騒動早めに解決したいしそれでいいだろう」
「あの~話がよく見えないだけど・・・」
「奏は今日の放課後なにか急な用事あるか?」
「え?特には」
「じゃあこの案は採用ってことで悠斗に任せた」
「まぁそうなるか、悪いが今日は付き合ってもらうぞ拒否権なしだ」
「え?え?え?」
「相変わらず勝手な2人です」
―――
――
―
何だか今日は学校全体そわそわして、クラスの何人か昼休みに緊急会議だ!と言って
飛び出したりそもそも授業に出てない人もいた
そういえば今朝悠君と会長さんが話してた案が聞けなかったけど
この騒ぎにその案だとすればどれほど大きなイベントになるんだろう?
そして放課後になってみんな一斉に教室から飛び出していって残ったのは
僕と冬香ちゃんだけで暫くここで待ちましょうと言われ少し待つと
教室まで来た美佐ちゃんが来て準備が整ったから一緒に武道館まで来てほしい
「ねぇ美佐ちゃん?今日皆の様子が変だったけどこれってどういう事なの?」
「あれ?学園の掲示板に見てなかったの?まぁすぐにわかるからね~」
「大丈夫です。奏は私が守ります」
「う、うん・・・ありがとう(え?守るってどういう意味なんだろう?)」
そして武道館に着くとそこには全校生徒がいるんじゃないか思うくらいの大人数がいた
「皆の集~!!アピールタイムの準備してきたか~!!」
「「「「「「「オオォ~~~~!!!!」」」」」
「O~K~!!これより奏ちゃんのハート射止め!部活アピール大会を開催するぜ~!!!」
「な・・・なにこれ?」
「随分やる気あるよな、たかが一学生にこんなことまでするなんて」
「ゆ、悠君?こ、これって」
「あ?お前が部活決められないからこの場で決めてもらう為に
こんな催しがあるんだぞ?」
まず学園の掲示板、ツブヤッキーに僕がどんな部活があるか
よくわからないため今日の放課後に部活動アピール大会を開くと書き込んだところ
5分も掛からずに全校生徒に知れ渡り今に至る
「奏ちゃ~ん!こっちこっち~!!」
美佐ちゃんが手を振っているけど審判員みたいな椅子があるけど
まさかそこに座らなきゃダメなの?
唖然としている悠君が小声で話しかけてきて
「何かあってたら何時でも言ってくれ、今日はアピールで
今すぐ決めろってわけじゃないからできるだけ気を楽にして行ってこい」
「・・・ありがとう悠君」
悠君にそう言われると少し気分が楽になり肩の荷も軽くなった気がする
ステージに上がると会場が大盛り上がりになって歓声も沸きあがり
僕一人だけだったら緊張して逃げてしまうけど僕の信頼できる人達がいて
見守ってくれているから怖くなんかない
「ルールは皆知ってると思うが改めて説明するが最初に自己紹介させてもらうがよ
おれぁはおせっかい焼きにの岡本蓮次!!彼じ・・・って一斉にブーイングすんなよ!」
「うるせぇ~!」「およびじゃねぇ~んだよ~!」「彼女いないなんて皆知ってんだよ~!」「時間ねぇ~んだからさっさとはじめろ~!」
「なんだとこの野郎~!!」
会場がすごくヒートアップしてるけど僕ルールが分からないだけど
「前置きが長すぎですね、説明しますがこれから部活のアピールをして
次の日の朝に私に連絡してどの部活に入りたいか教えてください
強制ではないので別にどの部活にも入らなくても結構ですし本人達も納得済みです」
そんなこと言われてもこんなに用意してくれたのにどこにも所属しないのは・・・
「まず始めは野球部、サッカー部、バスケット部からのアピールタイムだ~!!」
それぞれこの学園じゃ有名な部で
ユニフォームを着た男子生徒がステージに上がって来て
なぜか頭下げてきた
「「「ぜひ!!俺たちの部のマネージャーになってください!!!」」」
・・・ま、マネージャー?で、でもそれぞれの部にもマネージャーはいるのになんで?
「「「ぜひ!!チアガール姿で応援してください!!」」」
ち、チアガールっていろんなパフォーマンスをして
選手を応援したりするけど僕は運動が苦手だしこれは断ろう
「ご、ごめんなさい!」
「「「な、なぜ!!??」」」
「僕にはとてもじゃないけど出来ませんから(運動できないから)」
「そ、そんなことはない!君ならできるから!!(チアガール姿で応援して欲しい)」
「む、無理なのは無理ですから!!(運動できないから))
「「「そ、そんな・・・」」」
もの凄く落ち込ませてしまったけど僕みたいな運動音痴には出来ないよ
(何か話が噛み合っていない気がしましたがチアガール姿・・・気分が高揚します)
「それでは次の部!」
「テニス部の大海です!俺とつきあウボァ!!!」バン!
「強制退場です」カチャ
「と、冬香ちゃん?そ、それは?」
「暴動用のゴム銃です。威力はかなり低いですからご安心を」
「いやいやいや!撃たれた人をものすごく痛がってるよ!?」
「じゃあ~次の部にいってみよ~!!!」「え!?続行!?」
「美術部でぜひモデルに!」「写真部でぜひモデルに!」「装飾部でぜひモデルに!」
「もはや勧誘ですらないよ!?」
「強制退場です」バンバンバン! 「えええ!?」
「ヌードでモデルしてももらおうなど最低です」「一言も言ってなかったよ!?」
―――
――
―
「―――という部活動を行っています!ぜひ入部してくだいさい!」
色々と問題はあった(主に告白してくる人と冬香ちゃんの対応)けど
色んな部活があったけどこれといって強く惹かれる部活動はなった
でもせっかくここまで用意してた人たちに失礼じゃないかな・・・
「・・・これはお前を強制的に部活動に入部させるを目的としたことじゃない
だから断ってもお前に非はないから安心しろ」
悠君が僕の気持ちを察したのか声を掛けてもらった
「で、でも・・・」
「いやいや入部しても相手が喜ばないだろう?素直に答えてくれ」
「・・・うん、いつもありがとね、悠君」
「友達だからな・・・当然だ」
そして次の日に発表された結果には部活動に所属しないと書かれていて
しょうがないという人もいれば不満をだす人、諦めていない人もいたが
しばらくは昨日ような騒動はないかな?




