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生きる為に。  作者: 井吹 雫
十六章
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~尋問・2~

 今日も更新時間が遅れてしまい、大変申し訳ございません。汗


 そしてブックマークを付けて下さった方がまた一人! ありがとうございます!!

 読んで下さっている方が少しずつ増えていくのが分かるっていうのは、やっぱり嬉しいです!

 いつも読んで下さっている方も、本当にありがとうございます!


「なるほど……。つまり、使い辛さを感じて早急に変えたい……と言うよりは、今後の為に自分へ合っている物を探しておきたいと」


 蓮花を見てはいるが、その瞳に蓮花を捉えてはいないライゲン。

 ゆっくりと近付きながらまるで物を品定めしているかのように、ライゲンは蓮花の身体を上から下まで見回す。

 今まで他人に、自身の身体をじっくりと見定められる事が無かった蓮花。

 異性の、ましてや端麗な容姿である大の男にじっくりと見られ、息が詰まる様な思いをしながら硬直してしまう。


「うーん、ちょっと失礼しますね」


 そんな蓮花の様子に全く気が付いていないライゲン。

 蓮花の事は気にも留めず、硬直している蓮花の身体へ手を伸ばす。


――……えっ。


 気付いた時には自身の腕をライゲンに持たれていた蓮花。

 思わずドキリとしてしまい、咄嗟に蓮花は身体が逃げそうとなった。

 しかし、真剣な眼差しで感触を確かめているライゲンの表情を見てしまった為、どうにか声を出さず必死に耐える。


――……っ。


 蓮花の必死で堪えている気持ちとは裏腹に、ライゲンはゆっくりと蓮花の身体をなぞっていく。

 掌で優しくなぞるように身体のラインを一通りたどっては、時々感触を確かめるライゲン。

 時折ビクビクしていた蓮花を気にも留めず「……うん。」と一人で納得すると、蓮花からやっと離れて声を掛けた。


「烈火さんはやはり、見た目通り平均よりやや華奢な身体つきですので、そんなに負担の掛からない物が良いですね」


 そう言ってライゲンは蓮花を見る。

 一方の蓮花は、ようやく身体に感じていた感触から解放されこっそり深呼吸をしていた。


「セルフィーナの様に重心がどっしりしていれば、斧など遠心力を利用出来る武器もお薦め出来るのですが」


 多分烈火さんだと、その遠心力に振り回されてしまいそうですもんね。

 なんて微笑むライゲンの顔を、ようやく見上げる事が出来た蓮花。

 ライゲンが「どうされました?」と聞いてきたので、思わず苦笑いをしてしまう。


「いえっ……大丈夫です、続けて下さい」


 そう言って蓮花は、ライゲンの言葉の続きを促した。

 不思議そうな顔をしたライゲンは一瞬間を開けたが、すぐに話を続ける。


「……それに、烈火さんは魔術も操れますもんね。ですので、そんなに凝った武器を選ぶよりかは、シンプルで扱いやすい物の方が良いと思います」


 やや微笑んでライゲンは話の続きを始めると、ふと顎に人差し指を当ててこんな質問をした。


「そういえば、烈火さんはいつも炎を放つ時に同じ手から出していますけど、そちらの手からしか魔術は出せないのですか?」


 そう言って蓮花の利き手をちらりと見たライゲン。

 蓮花もそんなライゲンの問い掛けに、慌てて答える。


「っ、えっ? ……いえ、別にそう言う訳ではないですけど……」


 一応、両方の掌から炎は出せます。

 なんて言って蓮花は、自身の両掌を交互に見た。


――どうして、そんな事を聞くんだろう……。


 ライゲンにとっては蓮花の武器を選ぶ為、より多くの情報を聞き出したい気持ちで質問をしているのだろう。

 そこに優しさがあるが故、問い掛けで済んでいるライゲンの質問。

 しかし先程の行為と言い、ライゲンの無自覚に放たれているフェロモンで蓮花はある一つの思いが込み上げてくる。


――本当、聞いたのも私だし、真剣に答えてくれているからこんな事を思っちゃいけないって、分かっているんだけど……。此処で聞かなきゃ良かった……、早く外に出たい。


 腹の底が読み取れないライゲンの優しさに、段々と見えない鎖へ繋がれていく様な感覚を覚える蓮花。

 一方全くと言って良い程違う事を考えてしまう蓮花とは対照的に、ライゲンは先程聞いた情報を新たに加え再び考え出す。

 何かを考える時の癖なのか、再び人差し指を顎へ当てて「うーん。」と言葉を落としたライゲン。


――……なんか、段々と見えない拷問を受けている気分になってきた。……いや、何かされている訳ではないから、尋問って所か。


 なんて事を考えだした蓮花へ、ようやくライゲンが話し掛ける。


「では、武器を変えると言うよりかは、単純に刃の長さを変える……と言うのはどうでしょう」


 そう言ってライゲンは蓮花を見つめて、こんな事を話し出す。


「要するに烈火さんは、今使っているナイフへ特に不満がある訳ではないですけど、出来ればリーチが長く、間合いがある程度取れる武器を見つけておきたいんですよね?」


 まるで確認するかのように、ライゲンは蓮花の反応を見ながら言葉を落とす。


「それでしたら、そのナイフから短剣……いや、それより少しばかり長い剣へシフトチェンジするくらいで、よろしいのではないのですか?」


 多分、烈火さんの肘から指先までの長さ位が丁度良いですね。

 なんて言ってライゲンは、優しく蓮花の腕を包み込む。


「烈火さんはそこまで筋肉が付いている訳でもないですし、それ以上の長さがある武器を使うとなると、きっと手からすっぽ抜けてしまいますよ」


 再びライゲンに触られた事でドキリとした蓮花。

 そんな蓮花へふっと微笑んだライゲンは、そっと手を放すとそのまま次の言葉を発する。


「剣術を身に付けていない者がいきなり刃の長い物を扱って闘うのは、きっと無理があります。ましてや今は連日催し物が続いていますからね。まともに訓練も出来ないまま闘うのは危険です」


 でもそれは、扱い方の違う他の武器も一緒です。

 一度蓮花へ背を向けて、樽の方へ向かって歩き出したライゲン。

 くるりと蓮花へ向き直ると、樽へ腰かけてこんな事を言った。


「でも烈火さんは間合いが取れる武器へ変えたい……。それなら自分の長さに合った短剣へ変えるだけで、十分解消されると思いますよ」


 そう言って蓮花へ微笑んだライゲンは、一度長い髪を掻き上げる。


「それとこれは、烈火さんの話を聞いた私独自の案ですけど……、今後の戦術として、烈火さんはそちらの手で魔術を操ってみては如何ですか?」


 何処か楽しげににっこりと微笑んだライゲンは、そう言うと蓮花の利き手ではない方の腕を指差した。


――えっ……?



「こっち……ですか?」


 ライゲンの仕草を流れるように見ていた蓮花。


「ええ。まあそれは、後で歩きながらでもお伝えしますよ」


 楽しそうに笑って言葉を落としたライゲンはそう言うと、何故か突然上半身に着ていた物を脱ぎ始めた。


――……っ! えっ? ちょっと!


 目の前で突然脱ぎだしたライゲンの行動に、蓮花は驚き慌ててしまう。

 しかし、そんな事はお構いなしにライゲンはどんどんと上半身裸へとなっていく。


「私が行きつけの鍛冶屋で良ければ、今から案内しますよ」


 烈火さんに合う長さの短剣を、探しに行きましょう。

 そう言って、どんどんと着替えていくライゲン。

 蓮花はそんなライゲンの無自覚な行動がただただ恥ずかしくなってしまい、小さく返事をすると共に、そっと視線を外す事しか出来なかった。




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