魔法石
話が進まない(笑)
あの花売りの女の子は、あの後、ディエゴさんたちが戻ってきたときには姿を消していたそうだ。
操られてるのかもとか思ったけどやっぱり刺客なのかなぁ。あんな幼い子供まで巻き込まれているのか…
微妙な気持ちになりつつ、歩みを止めるほうが危険が高まると判断し、
私達はすぐに出発した。
しばらくして、そういえば、という感じでディエゴさんが口をひらく。
「なぜフィリス隊長は、姫様の居場所がすぐにわかったのですか?」
その疑問に、問いかけられたフィリスさんは、ロードさんの馬に乗っている私を見た。
ちなみに体格差があるからすっぽりと腕に包まれて後ろから抱きしめられている形になっている。
最初は結構抵抗があったけど、すぐ慣れた。
「あぁ、実は、攫われるときにとっさに魔法石を使ったんです。」
「魔法石?」
「えぇ。魔法石に魔力をそそいでから2つに割ると、その2つは1つになろうと魔力の場所を探しあうんです。なので、フィリスさんがその魔法石を手にしたとき、
私の持つ魔法石の場所を感じ取ることができたんです。」
同じ魔力を探知する。その魔法石の特性はあまり知られていない。
「ヘぇ〜なんか恋人のペアアイテムみたいですね!」
ずごっ!
あ、フィリスさんが馬ごとよろけた。
その後余計なことを言ったディエゴさんは、ロードさんの槍の刃が付いてない方で暫く小突かれていた。
馬に乗りながら器用な人だ。
「それにしても、姫様は魔道具の扱いまで心得ておられるのですね…」
ポルナレフさんが心から感心したように言うので照れ臭くてパタパタ手を振る。
「一定時間置くと魔力が薄れてしまいますし、魔道具というほどのものではないですけど。便利ですよ。」
実は方向音痴がゆえに、一度山で迷って家に帰れなくなり母を心配させたことがあるのだ。
そのときは母が探しに来てくれたから助かったんだけど…母強し。
それ以降は迷わないようにと私が発明して、1つを常に持ち歩き、1つは家置き、戻る目印として使ったりしていた。
母が生きていた時は2人で1つずつ、持ち歩いていたりもしたその石は、
思い出として1つに戻してネックレスなどと同じく肌身離さず持っている。
石のことを考えていたら母の最期まで思い出してしまった。
いけないいけない、しんみりしてる暇なんてないんだから…
ひとつ小さく息をつく。
前向かないと、ね!
「ロードさん!これから行くのって、港町ですよね?
せっかくだから、視察ってことで、見学していってもいいですか?」
「姫様…!早速国のことを知ろうと努力なさるそのお姿…ロードは嬉しゅうございます。」
いや、姫としてとかそういうつもりじゃないし目を潤ませるほどのことでもないと思うんですけど。
うーん、なんだかロードさんが涙もろい世話好きのおじさんに見えてきたんだけど大丈夫かな?
まだ若いよね?
読んでいただきありがとうございます!