フィリス-ディオルクの決意
お待たせしました!
久々のフィル。
なんかキザになってないか…?
ちょっと時系列的に戻ります。
神殿から帰ったとこらへんです。
そちら読んでからどうぞ
神殿から戻り報告をした後、それぞれ自室へ向かうティア達を見送りフィリスは王の元に残る許可をもらった。
今のうちに話しておきたかったことがあったのだ。
「かの大戦での功績を辞退した際、他に欲しいものができたら遠慮なく言うが良い、とおっしゃっておられました。覚えておいでですか?」
「あぁ、覚えておるとも!なんだ?改めて地位や土地が入り用にでもなったか??」
「いいえ。ですが一生をかけても欲しいものが見つかりました。」
「ほぅ?さぞかし珍しいものなのだろうな」
フィルは跪き、こうべを垂れて言った。
「恐れながら申し上げます、陛下。ティア姫様を、我が婚約者とするお許しをいただきたい」
「……………………なんだと?」
たっぷりと間を置いて、聞こえているであろうに再度尋ねる国王は、ぷるぷる震えていた。
「誰よりも姫様のお側にいたいと申し上げたところ、姫様の許しを得ることができました。陛下にもまずは婚約を認めていただきたく。」
あわあわと青くなる様は、もはや国王ではなくただの父親だ。
「…公爵家という身分であれば問題はないはずです。実績が足りなければ、さらに積み上げましょう。」
そう言って、渋る国王にフィリスは魔物の討伐隊隊長として自ら名乗りを上げた。
もちろん、きちんと成果をあげれば、婚約を認めてもいいとしっかりと言質をとってから。
そうとは知らないティアは、翌日すぐにヤエムへと出発することになり、その準備に追われていた。
部屋を訪ねると、ドレスやら髪飾りが並んでいて、あーでもないこーでもないと合わせている真っ最中。
淡いピンクのふわふわのシフォンドレスを着たティアはすでにぐったりだ。
出直そうかと逡巡したところでマリアがこちらに気付き、「飾りは別のがよろしいかも知れません。とって参りますわね」と退室していった。
「…ティア」
こんな優しい声が出せたのかと自分で驚く。
そっと頰に手を添えてそのまま指先で輪郭をつ…となぞる。
今すぐ腕の中に閉じ込めてずっとこの感触を楽しんでいたい。
そう思いつつも堪えて耳元に口を寄せて「似合ってる。可愛いよ」とささやくに留めた。
ここで暴走するわけにはいかない。
ちゅ、と耳にキスをして体を離したところでマリアが戻ってきた。
茹でダコのようになったティアを見て、マリアはじと目になる。
「……ディオルク様、何をなさったのです?姫様の顔色が尋常じゃないのですが」
「特になにも?」
ギョッとした顔でフィリスを見上げるティア。
「あれで特になにも⁉︎」と顔に書いてあるのがおかしくて、くつくつ笑いながら頭を撫でた。
結局、再び着せ替え人形状態になりそうだったので、そのまま部屋を出てひとつ溜息。
「…これは、ゆっくり話するのは帰ってきてからかな…」
正直、急いでいるとは思う。
ティアは、こと恋愛となると超がつくほど鈍感だ。
他の男がいつ手をつけようとするか気が気じゃない。
すぐに結婚は無理でもせめて婚約者として堂々と目を光らせたい。
そのために国王を頷かせる結果を出さなければ。
決意を胸に、フィリスは歩き出した。
読んでくださりありがとうございます(*^_^*)
この後はまた別の人の話挟みます。




