襲撃再び。
かえって街中を通った方が人混みに紛れ刺客も狙いづらいのでは…ということで
露店がたちならぶ通りを歩いて街を抜けることに。
いかにも騎士です!ってカッコすると目立つので、みんな旅人風のマントを羽織ったり軽装になったりしています。
まぁ騎士ならではの凛とした佇まいのせいか、注目されている気はするけど…。
特にロードさんとフィリスさんの美形2人はすれ違う女性達からチラチラと熱い視線を浴びてるし。
そんな中、私はというと…
「おーあれ可愛い!」
うふふ。
露店などあまり来る機会がなかったのでテンション上がりまくりです。
「お、これは…」
小さいけど魔法石が組み込まれたブレスレットか。
魔法石とは、魔力を込めることができる石のことだ。
魔力を持たない人にしてみれば、
単なる願掛けの石のようなものなんだけど、魔道師にとってはいろんなことに使える道具の1つ。
近くの鉱山で採れるのかな?
その後もあちこちお店を見つつ、
街の出口まで辿り着いた。
ここから馬に乗っていくことになる。
ロードさんとポルナレフさんが馬や食料などを調達している間、道の端で待っていた私たちのところに、
パタパタ軽い足音が近づいてきた。
花売りの女の子らしく、
花がいっぱい入った籠を腕から下げている。
一瞬警戒したフィリスさんを目で制して
女の子に目線を合わせると、籠を差し出してきた。
「うーん、どれも綺麗ね!じゃあ、コレをもらおうかな?」
花の1つを指差したその時。
背筋がゾクっとした 。
何か来る!?
私はとっさに女の子をかばいながらかがんでいた身を起こし、
フィリスさんとディエゴさんもすぐに戦闘態勢を整えた。
「…狼?」
そう、目の前に現れたのは狼の群れだった。
もちろん狼ごときにやられる騎士2人じゃない。
だけど数がやたら多く、明らかに私達だけを狙ってくるから、防戦一方になってしまう。
恐怖のあまり動けないのか逃げられずにいる女の子を背中にかばい、私も魔法で応戦しようと身構える。
その直後、背後から強烈な殺気が飛んできた。
「な…っ!」
いつの間に敵が後ろに!?
こんなに近くに来ていたのに気づかないなんて…!
しかし、振り返った私の前にいたのは、女の子。
どういうことだと身を固くしたその時、女の子から糸のようなものが飛び出し、私の手足に絡みつく!
「っ!?」
あっという間に糸に絡め取られ、横から現れた男に担がれてしまう。
「わわっ!?」
慌てて魔法を放とうとしたけど、うまく魔力を練ることができない。
どうやら手足にからんだ糸は魔力を封じ込めるものらしい。
ピーンチ!!!
フィリスさんが気づいてこちらに来るより男が逃げる方が早かった。
「フィリスさん!」
咄嗟に少しだけしか動かない手で
フィリスさんに向かってある物を落とす。
「ティア…!!」
フィリスさんの叫び声が遠くで聞こえた。
今日も読んでいただきありがとうございます。
長くなってしまってすみません(^_^;)